5.膨大な制作費に見合う収益を上げるには、原作を読んだ人も、読んでいない人も、楽しませるものではなくてはならない、、、「指輪物語」という題名をそのまま拝借する以上、原作をできる限り忠実に再現する必要がある、、、、という難しい方程式を10時間近くかけて解いたら、出てきた答えは限りなくゼロに近いものであった、、、、今はそんな気持ちです。、、、、、舞台芸術でも映像芸術でも、原作がある場合には、舞台、映像制作者の「解釈」が必ず介在します。あるいは、そういう解釈者の仲介なくして、古典的な原作は、現代に蘇ることはできないといってもよいでしょう。オペラにしても昔の衣装、舞台をそのまま忠実に踏襲するのは希だし、ギリシアで評判を得た蜷川のオイディプスも、勘九郎のニューヨークの舞台も、古典劇に対する自分たちの解釈を問うものであった筈です。、、、、、、で、この映画では、トールキンはどのように解釈されていたのでしょうか。、、、、、迫力ある戦闘、城の鳥瞰、闇に与するものの崩れた容姿、、、そんな解釈しか浮かび上がってきません。しかも、それらはみなどこかの映画で垣間見たことがあるような映像だと思います。、、、、なぜ、小さき者であるホビットに指輪が託されるのか、なぜ、スメアゴルに最後まで重要な役割が与えられるのか、フロドとサムの身分差をどう捉えるのか、王の血統をどう扱うのか、なぜ指輪を葬らねばならないのか、そしてそもそも指輪とは何なのか、、、、そうしたことの解釈の跡を、残念ながら映像から確認することは殆どできませんでした。、、、、、だから、見終えて、問いかけられたように感じるものは何もなく、残ったのは強いてあげれば、静かな怒りに似た感情なのです。、、、、そして何とも言い難い幕切れ、、、、、、フロドは、あの先の角を曲がれば、新しい世界が開けているかもしれないと歌いつつ、新しい冒険の途につくのではなかったかと、、、、、。 【王の七つの森】さん 5点(2004-07-27 16:45:30) (良:6票) |
4.《ネタバレ》 こんなにたくさんの人が見ているということにはとても驚くし、見た上にレビューまで残す人がこれだけいることにも驚く。さらに絶賛する人が多いことにも…ちょっと驚いてしまった。 悪口を言ったら袋叩きにされそうだが、私はここのレビュワーさんたちを信じている。少数意見を蔑視しないところだと思っている。 放送日の都合で2と3を見た感想だが、もう1を見なくてもいいという気になった。 私にはピーター・ジャクソンは凡庸な作り手に思われる。それは、リドリー・スコットとかキューブリックとかフリードキンとかいうアクの強い天才と比べて。ジャクソンはいかにも健全に見えます。「健全」で「健康」なのです。よって、彼のような作り手は、子供向けの作品で才能を発揮できるでしょう。 映画「ロード・オブ…」3部作はいったい、誰に向けて発信された作品なのか。ジャクソンはどんな観客に見て欲しいと思っていたのか。それは明確に「お子様」です。 そのために、ジャクソンは大人の観客の中で、「画」以外の要素に多くを求める一定の種族については無視してもいいと決めた。というようなことだと私は思う。 よって、すばらしい映像に平坦なストーリー展開、「意外性」のかけらもない作品ができた。 私はこのながーいヤツを見ているうちに、いいかげん字幕を追うのも英語のセリフを聞き分けるのも「もういいや」と思ってしまった。だって、皆が皆それらしいセリフしか言わないんだもの。 セリフを言う前に、だいたいどんなことをしゃべるか決まっているんだもの。アクションをする前に、次に何をしそうか予想がついてしまうんだもの。王は王らしく、姫さまは姫さまらしく、ホビットはホビットらしく、邪悪なものは邪悪らしく。これ以上つまらない展開もない。 戦闘の前の気勢を上げるセリフなんかもう、同じようなのを何回も聞きすぎて耳タコ状態に。「誇り」がどうとか「○○の息子たちよ」とか大マジで言われるととても恥ずかしい。こうした決めゼリフは1回まででしょう。 とにかくどこまでも平坦なので、危険な作戦とわかっていても誰も悩まないし、たいした衝突もなく裏工作するやつもなく、皆が皆勇敢。そして危険をくぐりぬけ、勝利を手にしてメインのメンバーが生き残ってOK。コアとなるキャラクターは決して死ぬことはない。なんてつまらないんでしょう。 つまりはお子様向けの戦争映画です。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-06-17 14:33:04) (良:5票) |
3.1~3部まで観た総評として書きます。ファンタジーの古典である指輪物語の看板を背負うために豪華な装丁になっていますが、やはり映画としては長すぎで、見せ場が散漫です。同監督の作品「ブレインデッド」はひたすらチェーンソーで人肉を切りまくっていましたが、この「ロードオブザリング」も単調さは同じ。ひたすら派手なCGで押し捲っているだけで下品です。フロドとサムの友情も第1部からずっと同じ調子で見せられてるので飽きてくる。アラゴルン、レゴラス、ギムリの活躍もしかり。全シーンがクライマックスじゃ疲れるんですよ。所詮はファンアイテムで、名作と呼ぶのはとてもじゃないけど無理。唯一褒めたいのは、スタッフの情熱だけは溢れるほどに伝わってくる点。第1部を面白いと思えなかったなら、あとの2編は観なくてもよい。9時間費やして鑑賞しても、何かが胸に残るような映画ではない。 ン億円かけて作った「指輪物語」の動く挿絵。 【337】さん 5点(2004-10-21 07:24:23) (良:1票) |
2.3本で一作だから、ここでやっと総評が書ける。そうね。全体として、なんか、まるで、エッダとアーサー王とシェイクスピアをチャンポンで見せられたような気がするけど、原作がそういうものだから当然かな。総評は、つまらなかったな。脚本はね、凄いと思う。あんなに長大で冗長な原作を、あそこまでツボを押さえた作品に纏めたんだから、凄いですよ。ただ、ツボを押さえ過ぎてて、そつがなさ過ぎて、つまりストーリーの先が読め過ぎるのよ。次はこうなるなと思うと、ガッカリするくらいそうなっちゃうのよ。原作ありきの活劇物の悲しさで、全体像が分かるのは仕方がないとしても、役者の演技まで、かくあるべき者が、かくあるべきようにしか演じてないだけに、意外性もないし、息を呑むようなものもない。映像も、別に特撮おたくでもないせいか、特に凄いと思うところもなかったし、むしろ、これまで使われてきたものを馬鹿げて壮大にしただけな印象だったな。ガッカリで言えば、O・ブルームのレゴラスは、エルフというより、冒険に憧れるどこぞの貴族のボンボンで、どこがエルフなの?って感じだったし、極めつけは、帰還した王アラゴルンの貧相さ加減。放浪の騎士だった時は、あのうらぶれた感じが「いいじゃない」と思ったのよ。なのに、帰還した王が戴冠したシーンは、もうちょっとこう、何とかならなかったんだろうか。そら、本作の主役はあくまでホビットだということ差し引いても、存在感なさ過ぎ。だから、王との契約とかいうシーンでも説得力がないのよ。ともかく、全体として、一見緻密に見えるけど、実は大雑把な作りで、要するにゲーム仕様のファジーな感覚なんだな。でも、そこが、言葉より手紙より、メール文字に愛着を覚える今風に合ったんだろうね。ただ、オスカーを総なめにするような作品かなぁ? 【由布】さん 5点(2004-04-26 22:48:49) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 特にこのシリーズには思い入れもなく、優待券を使わないと損だからという理由だけで昨日消化試合的態度で鑑賞。大団円に向っているのは、始まる前からばればれなので、どんなにフロドが危機的な状況に陥ってもどうせ助かるのだろうなという冷めた目でみておりました。ちょっと見せ所がたくさんありすぎるのですね、この映画は。それでこちらの感覚が麻痺して、却ってストーリーが平板に感じられてしまう。ま、フロドが指輪を最後どうするかの場面は思いっきり星飛雄馬になっていたし(なかなか投げない、眼の光りがコワイ、周りで火が燃えている)、ドリンク剤のCM「ファイト、一発」な場面も見せてくれたし、戦闘シーンまっただなかで、「人間(man)には俺は倒せない」「アタシは男(man)ではない」などという超ベタな駄洒落の仕込みをさせてもくれたので、収穫が全くなかったわけではありません。 【南浦和で笑う三波】さん 5点(2004-02-24 06:23:27) (良:1票) |