23.俺も身内に障害者がいる。この映画を見て心が温まっただとかギルバートとアーニーの兄弟愛に心を打たれたとか言ってるそこのアナタ。一週間でいいから彼らと共に生活してみて下さい。あの時ギルバートがどんな気持ちでアーニーを殴ったのかが分かるから。とにかく障害者との生活って想像でまかなえるほど甘いもんじゃない。彼はそんな生活をこれまで10年以上続け、これからもずっと続けなければならない。そしてそれを真摯に受け止め実行するギルバートの責任感、これはもう半端じゃねぇよ。たまに実家に帰るたびに父親から「もし俺が死んだらアイツのことだけはきちんと頼むぞ」と言われる。悪いが俺にはギルバートほどの度量はない。だけど、この映画がある限り自分の行動を省みることはできる。ギルバートのアーニー対するひたむきさとやるせなさをリアルに感じ取り、自分の中にフィードバックしていこう。そんなワケで、この映画は決して俺の中から消えることのない特別な存在だ。今度帰省したらアイツとどこかに出かけてみようか… 【コバ香具師】さん 7点(2004-03-16 16:06:02) (良:13票) |
22.ごくたまにだが、その作品をビデオで上映することで、作品そのものが風景の一部となり、あるいは自分がその風景に溶け込んだまま、静かに時間だけが通りすぎて行くような映画がある。自閉症の弟は他人との距離感を知らず、太りすぎた母親は自分の力で起き上がることもできない。世間とはまったく違う時間を生きる一つの家族が、この映画の中で風景として、ただ淡々と時の過ぎるのを眺めている。欠陥家族と呼んでしまえばそれまでだが、ギルバート・グレイプはこの家族を家族として受け入れ、愛し、力まず淡々と毎日を送ることで自然に家族を支えている。苦労話は尽きないだろう。彼の人生は辛く惨めなものだろう。それでも必要以上の悲壮感をこの作品が与えないのは、彼が確固とした自我を持ち、絶望もせず行き過ぎもせず、一日一日をキチンと積み重ねているからだ。人は環境を選べないが、環境は人を殺せない。人間として、自分に責任を持ち、与えられた環境を受け入れて行くことがいかに幸福なことであるかを、この映画は非常に控えめなタッチで伝えてくれる。ラッセ・ハルストレムの作品は、いつでも清潔な極上の干草の香りがする。この作品もまた、映像の形を借りた一つの詩なのだ。 【anemone】さん 8点(2003-12-03 23:32:29) (良:4票) |
21.生きていくうえでの痛みを乗り越えていくためには想像以上のパワーが必要になる。夫が自殺したら体重200キロを超えるまでバカ食いするのも当然だ。その重みで家が軋むのも、そこに住む家族の生活が歪むのも当然だ。今にも床が抜けそうになり、補強して何とか持ちこたえてる。 一番印象に残ったのはあの母親が留置場の息子を取り返しに行くために7年ぶりに外出する場面。彼女が外出して、ベッドで眠るために二階に登った辺りから、家族全体が回復し始めたように思う。彼女の死が家族にとって都合が良すぎる、と感じる人もいるだろうけど、もし彼女があの後生き続けたとしても、家族の足手まといにはならないようにそれなりの努力をしたと思う。あのとき彼女はすでにそれまでの彼女とは違っていたはずだから。ほんとうに家族を解放したのは彼女の死ではなくて、彼女の生への意志だったはずだ。 この映画はギルバートの心に背負った重荷を少しずつ捨てていき、歩いていけるくらい身軽になるまでを静かに描いたものなんだろう。終盤は冒頭をなぞるようなエピソードが多いが、それだけに確実に何かが変わったこと、それもいい方向に変わったことがわかる。死ぬために生きているような生活から、生きるために生きる生活へ。映画全体に、苦悩する登場人物たちをゆったりと見守るようなやさしい時間が流れていて、鑑賞中何度も泣きそうになった。 【no one】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-05 13:20:06) (良:3票) |
20.ディカプリオの「演技」よりジョニー・デップの「演技と思えない演技」の方が上。 【STYX21】さん 5点(2003-11-24 22:08:39) (良:3票) |
19.ストーリーにそこまで起伏があるわけでもないし、お金だってそこまで掛けてるわけじゃない。それなのに、ここまで感動できる映画が作れるもんなんだなあって、ただただ感心。ディカプリオは演技が上手い役者だって言う人は、たいていこの作品を観てると思う。キャリアどうこうではなく、彼のセンスがこれだけの演技をさせているんだと思う。じゃあ、この映画はディカプリオがすべてかっていうと、決してそうじゃない。ジョニー・デップもジュリエット・ルイスも素晴らしい演技。役者だけじゃなくて監督のハルストレムにとってもこれがベストの作品だと思う。全員が最高の仕事をしたからこそ、ここまでの傑作になった気がする。 【ブン】さん 10点(2003-10-22 15:38:46) (良:3票) |
18. ありゃま、どなたもディカプリオ、デップ、J・ルイスって、そればっかり…誰もラッセ・ハルストレム監督のチョット真似できない鮮やかな演出には触れていないの?傑作「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」に続いてハリウッド進出後の監督作で忽ちレオナルド・ディカプリオ、ジョニー・デップ、ジュリエット・ルイスの持てるポテンシャルを存分に引き出した功績はもっと称えられてもイイのでは?と個人的には思うけどナァ…。そもそも俳優ってのは監督次第で途轍もなく光りもするし、逆に全く冴えなくもなるモンなのさ。時にユーモラスに、時にシリアスに緩急織り交ぜつつ、何とも心温まる作品に昇華させたハルストレム監督の見事な手際を称えて…8点! 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-30 05:29:09) (良:3票) |
17.ミスチルが録画したのはこの作品ですね。大昔に見た「大草原の小さな家」のような、健気に生きる家族にトラブル続出みたいな話ならイヤだなと思って避けていたのですが、案外ほのぼの系でした。どちらかといえば、やはり大昔に見た日本のATG映画から熱気と湿気とエロを削ぎ落とした感じ。世間的には誰も関心を払わないが、本人たちにとっては一大事という私小説的な悲喜劇でした。劇的に何かが変わるわけではなく、どこまでもナイーブなところがいい。 例えばジョニー・デップが父親について話し、ジュリエット・ルイスが「似た人を私は知っている」と答えるシーンなんて、何気ない会話のようですがけっこうグッと来ます。そこまで2人の距離が近づいたというか、慈愛に満ちているというか。 邪道ながら、ジョニー・デップの「シザーハンズ」は3年前の作品、ジュリエット・ルイスの「ナチュラル・ボーン・キラーズ」は翌年の作品。カルトな作品に挟まれて奇跡的に交錯したのかと勝手に想像すると、また感慨深いものがあります。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-05-09 02:39:35) (良:1票) |
16.よく分からん。この映画の良さが分からん。 知的障害者を描くことに、甘えてんじゃないの? 観客としては「つまらん」と言いにくいだろう、みたいな。 いや実際その通りよ。不幸を描く映画は一般的にそうなんだが、「馬鹿馬鹿しい」とか「つまらん」という評価はしにくい。特に描く対象が障害者の場合はね。 だがこの映画のストーリー、身の毛がよだつほどつまらん。よくこんな脚本、2時間の映画にしたわ。 「いい映画」スタイルをとった駄作。 【佐吉】さん [DVD(吹替)] 2点(2009-08-04 22:38:19) (良:1票) |
15.まるで演技ではないかのようなディカプリオの見事な役作りに目を奪われ、一見ギルバートはただ家族のために自分を犠牲にしている良心と忍耐の人のように見えるが、実はギルバートも自我が薄弱で自分の感情に鈍感すぎるというある意味心の障害を負っている人物なのではないかと思った。人に夢を聞かれて他人の望みばかり答え、自分自身の希望を聞かれると「いい人になりたい」なんて言ってしまうのは、単なるお人好しのレベルを超えている。どうみても絶望的な閉塞状況にあって、この映画が不思議な明るさとあたたかみに溢れているのは、たまたま天に授かったこの兄弟それぞれの心の偏りが絶妙なバランスをなして奇跡のような家族愛にあふれた生活が描かれているからだと思う。それにしてもディカプリオはこの頃が一番光ってた。今じゃ才能を持てあますトッチャン坊やになってしまってもったいない。 【lady wolf】さん [CS・衛星(吹替)] 9点(2006-11-08 14:29:43) (良:1票) |
14.とても重いテーマなのに、描かれ方がとても温かい。おそらく監督も、家族や諸々の人間関係を一人で背負わなければならない者の悲しみを知っていたのでしょう。冷え切ったアニーを風呂場で見つけたギルバートの落胆と悲しみは、想像よりはるかに深いものであったと思います。それを見守る視点に立って眺めるからこそ、大切なものたちの板挟みになっていた彼のつらさがひしひしと伝わります。10点献上。 【トナカイ】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2006-04-30 14:24:35) (良:1票) |
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13.夢を持つことは素晴らしい。青年は夢に向かって進むべきだともいう。だが本作の主人公は違う。きっと彼にも夢はあっただろう。何もかも捨てて夢を追う選択肢もあったはずだ。しかし彼はそれを選ばなかった。知的障害のある弟、病的肥満の母親が彼の足かせになったのだ。昨日と変わらぬ今日を生き、今日と変わらぬ明日を生きる。その繰り返しの毎日。そんなある日、旅の途中の少女と彼は出会った。自由に生きる少女。彼女に惹かれたのは必然だったのかもしれない…。彼女との出会いが、彼の心を少しづつ自由にしていく。だからといって彼の足かせが無くなる訳ではない。これからも現実と折り合いをつけて彼は生きていくのだと思う。ただラストシーンの彼の笑顔を見ていると、きっと今日と違う明日が待っている。そういう気がしました。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-20 23:26:53) (良:1票) |
12.太るのはよくない。 【ケンジ】さん 7点(2004-12-14 22:28:06) (良:1票) |
11.見ていてなんともやるせない映画でした。270【ドレミダーン】さんのいいたいこともすごく分かります。あのラストでギルバートは幸せになれたのでしょうか。映画というのはやはり、非日常の物語、マイナスをプラスに変えてくれるもの、と信じている自分には、リアルすぎるこの家庭の物語には、プラスのエネルギーをほとんど感じられません。それは「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」でも感じたことです。やはり名作であるので6点としましたが、心情的には5点かも。全部見るのにとても時間がかかりました。台詞も訛りがあるのか聞き取りずらかったです。(VIDEO・字幕スーパー) 【mhiro】さん 6点(2004-09-29 10:29:22) (良:1票) |
10.今になってこの映画を初めて観ました。評判通りディカプリオの演技はすごかった!昔の映画「奇跡の人」でヘレン・ケラーを演じた人を彷彿とさせられるようなリアルさと凄まじさを感じた!(ヘレンは三重苦で知的障害とはまた違うけど)あと、ジョニー・デップの演技もギルバートの苦悩がとてもよく伝わってきた。弟の面倒を見るのが自分の役目で、周りの人間にもそれが当たり前と思われていて、彼自身の感情は考えてもらえず、家族さえも誰も彼を理解してくれていない。弟をはじめ家族に対する愛情や義務とか自分自身の人生の意義に悩み、でも不満を絶対に口や手に出すまいとしている彼の姿にとても感情移入できた。もしも主人公が、いつも行動が立派で誰からも尊敬される聖人みたいな人だったら、ディカプリオのほうにしか印象が残らなかったと思う。 |
9.(ちょっと長文) グロテスクで悲惨、そして死に魅入られた獄中の様な日常から人間の生きる意味を浮かび上がらせる、爽やかな人生賛歌。原作・脚本のピーター・ホッジスは、まるでジョン・アーヴィングの小説並の完成度でこの物語を紡いでいる。この映画には不要な人物がどこにもいない(写真だけしか出てこないグレイプ家の長兄にさえ重要な役割が与えられている)。不要なエピソードが一つも無い。だからもちろん不要なカットも無い。ラッセ・ハルストレムも撮るべくして「サイダーハウス・ルール」を撮ったんだなぁ、と納得。アーヴィングが忙しいんならホッジスに脚本を任せ、ハルストレムと共に既存のアーヴィング映画を全部リメイクして欲しい。その後、新作にもトライして欲しい。そう思った程、ずば抜けた出来の映画でした。それにしても、きっとジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオが出てなかったら、この地味な作品がこれだけの人にレヴューされることも無かったでしょう。そう考えると、スターってホント重要ですよネ、8点献上。 【sayzin】さん 8点(2004-09-12 00:04:55) (良:1票) |
8.評価がべらぼうに高いようだが、あんまり好きじゃない。何が好きじゃないってギルバートが好きじゃない。家族の面倒みるのは当然じゃ、別にえらかあない。家族を捨てて自分のしたいことをするのも悪いことじゃあない。一度きりの人生、したいようにするのは当然。それを、これみよがしにドラマチックにやっちゃって、非常に目障り。唯一の救いはジュリエットルイスの他の作品ではまずみることのできない爽やかさ。しかしそれもギルバートにかっさらわれ、フラストレーションは高まるばかり。 【ドレミダーン】さん 3点(2004-07-24 16:06:47) (良:1票) |
7.いや~良かったです!こういう淡々とした映画って大好きです。ギルバートと、それに関わる人達の心の葛藤を、ただ淡々と描いているだけなのに、こんなにも感動してしまうのは何故なんだろう。。。もうジョニー・デップに感情移入しすぎちゃってヤバかったです…。そして、もう私が書くまでもないのですが、やっぱりレオナルド・ディカプリオが良かったです!すごい演技力にただただ圧倒されてしまいました。ハデなアクションや血が多い映画が溢れる中、こういう映画の存在ってとても貴重だと思います。若い内に出会えて良かった★ 【Ronny】さん 8点(2004-05-12 00:26:17) (良:1票) |
6.8年ほど前に見た時は、まったく感動しなかったし、デップのエラもすごく気になった。多分、その頃の私は子育てに忙殺されていて、別世界に連れていってくれない映画なぞ見る価値はないと思っていたんだろうな。「主演の人、顔が濃くて嫌!」とか文句言いながら.....。ところがびっくり。今回見たら、もうどっぷり。自分が家族を築いてきたことで、少しは判ってきたこともあるってことなのかな。それに、J・デップが本当にいい。もう、抱きしめてあげたいくらい。年とるって、いいこともあるのね。守備範囲も広くなるし。 【showrio】さん 8点(2004-04-16 22:49:52) (笑:1票) |
5.家族ってなんだろう?過食症の母親と知恵遅れの弟を愛せる主人公はすごいけど、私は主人公の人間像にリアリティはないと思う。もっとあの拒食症と知恵遅れの2人に対して軽蔑や憎しみがあっても良いではないか?それが人間の本当の姿ではないだろうか。ギルバート・クレイプは、良い奴だとは思うが感情移入できなかった理由はそこにある。 家族だから、という理由だけでこんなにも苦しみを背負うくらいなら私だったら逃げるだろう。なぜ自分の幸福のために家族を捨てていけないのか? 私から見ればギルバート・グレイプは非のうちどころが無いスーパーマンだ。だから心の弱い私には共感できない。 しかしもう少し深く考えてみる。もし、あの2人を愛さなかったら兄や姉妹は負担がだいぶ減るだろうと思う。でも愛しているからこそ苦しんでいる。 と、いうことは苦しむということはまったく無駄なことではないのかもしれない。愛するからこその苦しみなのだから。 【花守湖】さん 10点(2004-04-01 22:06:29) (良:1票) |
4.これぞ映画「作品」と呼ぶべきものだと思った。今のくだらない生活に嫌気がさし、都会に出たい、母親や弟と別れて1人で暮らしたい。夢を追いたい。しかし、色々と思い、考えながらも家族をとり、何も無い町をとり、都会を捨て、夢を捨てた。これがもしただの大衆向けの映画だったら、家族と町といい関係を保ったままきっと都会にも行き、夢もかなえ、田舎で家族は幸せに暮らし、という終わりだっただろう。 もしそうなっていたら、デップは家族や田舎から逃げただけのくだらない人間だ。そんなの夢じゃないし、そんな夢は逃げるための口実でしかない。町に残る事に人間の成長が夢があるんだと思う。まぁ、最後は出て行くわけだけど、そこには一回り成長した顔のギルバードがいる。強引ではあるけれど、でも隣には弟がいて、弟がいるからこそ自分がいることができるという喜びがあると思う。でもそんな舞台となった美しい町にもハンバーガーショップの波が押し寄せている。あと何年あの美しい自然がある人情味のある町でいられるのだろう。そう思うとすごくむなしくなる・・・ 。 後最後にバスケットボール・ダイアリーズのとこでも書いたが、ディカプリオは確かにうまいけどそこまですごいとは思わない。知的障害の役は確かに普通の人から見ればかけ離れているから難しいと思うかもしれないけど、本当はかけ離れている分外見だけ本物っぽく演じていればうまく見えてしまうもの。逆にジョニー・デップの演じた明らかに普通の考えを持った自分らに近い性格の人間を演じる方が難しい。だって、外見では何もわからないから、自分と向き合って、表に出したくないいやな自分や自分が今までしてきた経験を出して、普通のキャラを普通じゃないように演じていかなくてはいけないんだから。少なくとも僕はそう思う。ジョニー・デップが苦しんだのも、彼が自分を出して自分と向き合っていたからだと思う。デップはものすごくうまく演じていたと思った 【野次られLOW】さん 7点(2004-01-24 21:53:06) (良:1票) |