9.フランス・ヌーベルバーグの監督たちに大きな影響を与え、辛口の映画評論家として知られていたフランソワ・トリュフォー監督が絶賛したという中平康監督のデビュー作。日活の青春映画というと明るくはつらつとしていて健全な印象が強いので、本作には明るさがなく、暗くドロドロとした展開なのはある意味ではすごく新鮮だった。が、ストーリー的には退屈とまではいかないものの、あまり面白さは感じられずに終わってしまった感じ。この年、「太陽の季節」でデビューして2作目の映画出演にして早くも初主演の裕次郎がこの頃から抜群の存在感を発揮していて、既にスターのオーラがムンムン出ているのがちょっと驚かされる。津川雅彦も「ろくでなし」を見た時と同じく今とはまるで違った印象だけど、やっぱり二人とも中年以降のほうがいいなあ。衝撃的なラストにプラス1点。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2019-11-28 00:29:56) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 「要するに退屈なのよ、現代ってのは」という台詞が、六十年前の映画にて発せられている事に驚きです。 2016年を迎えても、未だに「退屈な現代」が続いているように思える今日この頃。 ですが、退屈を感じる事が出来ない社会というのも、それはそれで落ち着かない気がするので、恐らくそれは歓迎すべき事象なのでしょうね。 本作の登場人物も、腹が減れば食事し、トランプで賭け事を楽しみ、海に出掛けてボート遊びに興じてと、一見すると裕福な、満たされた生活を送っているように思えます。 それでも若者特有の倦怠感、人生の諦観からは逃れられないみたいで、何だ哀しくなってきますね。 作中にて「時代遅れの年寄り」を皆で貶すシーンがあるけれど、この時代の若者達も、今では老人となり、現代の若者から白い目で見られているのだろうなと思えば、実に興味深い。 これが初主演作となる石原裕次郎に関しては、後の「嵐を呼ぶ男」などと比較してみても、まだ演技は拙い印象ですね。 他の出演陣にしても、年配の演技巧者が少ないせいか、全体的に棒読みに聞こえてしまう台詞、わざとらしい動きに思えてしまう場面が多かったりもして、そこは残念。 ただ、時代を越えて眩しさを与えてくれる「モノクロ映画の中の光」も確かに存在していて、それをおぼろげながらも感じ取る事が出来たのは、嬉しかったです。 先駆性の高い作品ゆえか、細部が粗削りで、現代の作品ほど洗練されていないのが気になったりもしたけれど、それもまた新鮮な感覚。 「ご縁と命があったら、また会いましょう」なんて台詞を、劇中の人物が、さらっと口にする辺りも御洒落ですし、裕次郎演じる夏久が、ヒロインの恵梨に頬を叩かれた後、無言で抱き締めてキスをする件も良かったですね。 後者に関しては、今となっては見慣れた演出なのですが「もしかして、この映画が元祖なのかな?」と思えるくらいのクオリティを感じられました。 衝撃的なラストシーンに関しても、大いに評価したいところなのですが、主人公の弟が冷徹に狂うまでの描写が、やや不足気味かも。 もう少し濃密に、兄に対する猜疑心や劣等感、ヒロインの恵梨に対する愛情や執着などを描いてくれていたら、もっと感動出来たように思えます。 そんな長所と短所が入り乱れる本作にて、最も印象深いのは、裕次郎が甘い歌声を披露する場面。 演技の巧拙などを超越した「大スターの片鱗」を窺わせてくれる、忘れ難い瞬間でした。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-08-04 06:24:06) |
7.今、見てみれば何ともダサい感じですが仏のトリュフォー監督が絶賛するほどですから公開当時は何処の国の映画かな?っと思うほどしゃれていて進んだ映画だったんでしょうね?!金持ちのボンボン達の男女間のもつれを描いた秀作。 【白い男】さん [地上波(邦画)] 6点(2015-05-20 23:42:42) |
6.どうせかったるいラブロマンスじゃねえの~と、全然期待せずに見ましたがなかなか面白かったです。まだ多くの国民が貧しかった時代に洋酒を飲んでオープンカーを転がし、ヨットで遊びまくるなんてどんだけ金持ちやねんと思いました。でも若い時は皆さんキレイですね。あの爺様の津川雅彦がこんなにも美少年だったとは驚きです。頭もモリモリのフサフサ(笑)ラスト、良かったですね~まあ、今だったらもっとえげつない描写になっていると思いますが昔の映画はソフトなので何よりです。そりゃそうとタバコを電車の中でもブティックの中でも吸いまくってます(汗)今では考えられない古き良き時代だったんですねぇ~ 【イサオマン】さん [地上波(邦画)] 6点(2013-06-01 02:36:08) |
《改行表示》 5. 胸がドキドキするくらい、北原三枝さんが素敵ですね。自分が生まれるずっと前だもんな、この映画。こんな素敵な女優さんと世代をともに出来なかったのが残念です。 ま、あまりにもヒロインに魅かれたためその他の欠点が一切気にならなく成りました。 しかし、昔は少し遊んでる感じでも言葉遣いが男女とも上品でうらやましい。 平成24年4月2日 得点のみ7から6へ 【rhforever】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-04-02 12:54:15) |
4.《ネタバレ》 金持ちのボンボン兄弟が人妻を取り合ったあげくに破局がくるという映画。当時の風俗はよく出ていますが、それ以上に魅力は感じない。中平康の演出はたしかに光っていますが、今見ると、特にどうと言うほどのものでもなし。歴史的価値は感じますが、それ以上に持ち上げるのはどうかと思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-08-31 16:49:05) |
3.なるほど、「狂った果実」とはこれまたタイトルの付け方が上手い。何だか全体に暗さが残るために観ていても面白いというようなものはない。ただ人は津川雅彦の選んだ行動を起しかねない。そういうものをギラギラした映像と俳優陣の演技で見せる映画として評価はしたい。正直、この映画における石原裕次郎はさほどかっこ良いとは感じなかった。北原三枝がまぶしいほどセクシーなのが作品全体を観れる映画にしているようで、それにしてもここでも津川雅彦ってスケベだと思った。ラストの津川雅彦の表情を見て、この映画の津川雅彦の演じた役柄なんて若き頃の「太陽がいっぱい」の頃のアラン・ドロンにぴったりのような感じがする。あと、石原裕次郎に北原三枝、何か足りない。そうだよ。石原裕次郎と来れば芦川いづみがいないのが残念。だけど、この内容には芦川いづみに似合う役はないような気もするし。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-15 17:49:16) |
2.有閑ブルジョワジーのけだるい不満が、夏のひと時の中でよく出ていました。お互い我がままな人間関係を、愚かな行動を絡めて描いた作品。苛つくけど可愛げもある津川雅彦の演技は良かった。目がグリグリさが純真な嫉妬の怖さを感じさせる。 【チューン】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-04 22:12:56) |
1.生真面目な人間がブチギレると怖い…という感じ? 冷静に考えると微妙ですが、カタルシスを味わうという点では悪くはないです。何気ない会話のテンポの良さが新鮮でした。 【番茶】さん 6点(2004-09-25 08:01:18) |