4.河竹黙阿弥の作で五幕八場の世話物「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」、通称「弁天小僧」を題材に更なるエンターテイメント性を加えた軽快で楽しい作品。女装でもろ肌脱いで入れ墨を見せ、啖呵をきるあたりは歌舞伎そのままに粋な演出。江戸っ子の中の江戸っ子を演じるには上方役者の雷蔵は何処かはんなりしているが、そこはお愛嬌で【STING大好き】さんおっしゃる通り雷蔵の魅力が満載だ。押し寄せる御用提灯と屋根瓦の上での大捕物にはワクワク。時代劇の醍醐味を存分に味わえる。 【黒猫クロマティ】さん 7点(2004-02-16 12:23:26) (良:3票) |
3.《ネタバレ》 市川雷蔵の前に弁天なし、雷蔵なくして弁天なし!とにかく市川雷蔵の美しさとかっこ良さ、その両方が遺憾なく発揮されている。歌舞伎役者としての市川雷蔵もこれもまた良し!女方を演じても、違和感なく見せれる貴重な俳優の存在、それがこの市川雷蔵という俳優の持ち味でもあり、それでいて、勿論、男らしい活きの良さ、粋という意味でも見せてくれる。男が男に惚れる俳優の一人である。市川雷蔵演じる弁天小僧菊之助が青山京子のお半さんに対して襲おうとする場面なんてどこか同じ市川雷蔵主演による人気シリーズ、代表的シリーズの眠狂四郎みたいです。宮川一夫のカメラは相変わらず美しく、市川雷蔵が屋根を登るシーンや部屋を出入りする時の外からの風景や川の水の美しさなども印象に残る。とにかく全てにおいて美しい。ところで、最初、あの遠山の金さん、勝新だとは解らなかった。しばらくして、ようやく勝新であることが解ったけど、なんだろう?遠山の金さんと勝新ねえ!何だかイメージ的に違う気がする。あまりにも良い人過ぎて物足りない。勝新にはやはり「座頭市」の市や「悪名」の朝吉のようなアウトローな役こそ似合う気がする。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-12-05 16:46:31) (良:1票) |
2.のちに「切られ与三郎」でも歌舞伎を題材にした伊藤大輔監督がそれ以前に同じく歌舞伎の世界を映像化した時代劇で、主演も同じく雷蔵。歌舞伎のワンシーンがそのまま雷蔵らによって演じられる劇中劇のシーンもあって雷蔵の映画俳優としてだけではない歌舞伎俳優としての魅力も伝わってくるし、相変わらずの演技のうまさも感じられる。伊藤監督の演出ぶりや、宮川一夫の作り出す映像美、西岡善信による美術セットも素晴らしくいかにも大映らしい完成度の高い映画で、なかなか楽しめたものの、個人的には「切られ与三郎」のほうが好きだな。あと説明台詞が多いのがちょっとくどく感じてしまったのが残念。遠山の金さんを演じているのはまだ下積み時代を送っていた頃の勝新であるが、やはり勝新はこういう白塗りメイクの二枚目風より座頭市のような濃いアウトロー役のほうがかっこいいと思う。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-14 19:40:24) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 歌舞伎の世界を映像でも再現するにはどうしたらいいかというような問いに対する格闘のような作品です。この作品と次の『切られの与三郎』で伊藤大輔監督の出した結論は、骨組みだけ借りてあとは映像の文法で再現していくというイメージ主体のやり方ではなく、歌舞伎の要素と様式は活かしつつ、一方で独自の解釈でもとの脚本を換骨奪胎するという折衷的な手法だったのではないかなと推察しました。だからかどうか、この2作品では、歌舞伎出身の市川雷蔵が歌舞伎を演じている(『切られ』では清元ですが)非常に珍しい場面が見られます。この『弁天小僧』では、歌舞伎の名場面を劇中劇で見せます。持っていき方がちょっと苦しい気もしますが、雷蔵というスターをいかに引き立てるかという点から見れば成功していると言えるでしょう。でも、雷蔵の魅力もさることながら、映像の中に大胆な様式を持ち込んでダイナミックな場面を作り上げるという伊藤・宮川両巨匠の手腕の冴えに、何より賛辞を送りたいです。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-02-12 21:24:53) (良:1票) |