《改行表示》 5.何とも思い切った題名だ。「めし」つまりは日常生活そのものを意味するのだろうか。名女優原節子も、ここでは炊事洗濯に明け暮れる普通の女性、今まで見たどの原節子よりも所帯じみている。 私の子どもの頃はお米はスーパーで売っているものではなく、お米やさんからの「配給米」であった。だから1人でも家族が急に増えれば、「お米たりるかしら」と心配をしなければならなかった。(小学校の修学旅行は米持参だった) この炊事洗濯に子育てが加わり、日常生活は女は家事に男は仕事にと忙殺される。(この映画の主人公夫婦にはまだないが、それ故に危険度大) そしていつしか平凡な生活の中にある幸せが見えなくなってしまうのだ。 この映画は成瀬監督の映画だけあって、大上段に振りかぶってはいないが、倦怠期を乗り切る夫婦の姿がある。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-08-05 15:32:29) (良:1票) |
4.相変わらず成瀬巳喜男監督の描く世界には人間が生活している空気というものがあって良い。ごく当たり前のことのようだが、そういう当たり前のことを描くのには余計な描写やうるさい音楽や無駄な台詞はいらない。流石はこの監督はその辺のことがよく解っている。平凡な暮らしをしている夫婦の間に東京からやってきた夫の姪が入ってくることで二人の関係がどこかおかしな方へと進んでいく中で、原節子の見せる表情がこの作品のピリピリした空気に合っている。この映画は空気を感じて見せる映画だと思う。あの綺麗な空の下で生活している夫婦の感情を「めし」というタイトルで表すなんて、いかにもこの監督らしい。それにしてもどうしてこんなにも女性の心理を描くのがこの監督は上手いんだ?いつもながら感心させられる。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-01 12:50:32) |
3.日常的なものを描いただけなんだけど名作。上原謙が原節子を迎えに来たシーン。こういう再会の場面はやっぱりいい。言葉が少なめなのもGood。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-14 19:07:44) |
2.原節子のイメージが、若干変わりました。奥さんらしい態度、嫉妬に小言。なるほど、美人で他人から見るとうらやましがられる夫婦でも、こういう感じなんですね。この歳になるとわかるなあ。これが夫婦生活なんですね。最後は良い方向に向かっているけど、また繰り返すような感じもしました。まあ、それでも生きていかなければ、という事なんだろうな。「おい、腹減ったな。めし」って、言ってみたい。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-13 23:38:27) |
1.地味ながら情感豊かな良作だと思う。ただ、成瀬は女を撮るのに長けていたと聞くが、僕はその点では小津の方が上だと思う。本作での原節子は何かゴツい。強そう。今の時代こういう話を作るとフェミニストがうるさいんだろうな。良くも悪くも日本的な妻像ですね。 |