《改行表示》 4.《ネタバレ》 これは怖い。もはや、一種のホラー映画です。 なにゆえ怖いかと言うと、作品の主要な部分を占める一連のシーンが、夜だから、ですね。人の理性を狂わせる闇。何が起きるかわからない、何が起きてもおかしくない、不穏な時間の流れ。モノクロ映像が不気味な迫力を醸し出しています。 本来ならヒーロー役であるところのヘンリー・フォンダ、後の某作品で他の11人の陪審員に立ち向かって見せたヘンリー・フォンダなら、この事態を何とかしてくれるんじゃないか、とつい思っちゃうのですが、彼の正義感もここでは無力。彼の存在が一抹の希望を抱かせるけれど、その対比によって、絶望の闇はさらに深くなる。 では彼は一体、この作品に何のために登場したのか、何のために彼に相棒がいたのか、というと、相棒へ読み聞かせるという名目で、「手紙を読みあげる」ためにこそ、この主人公は存在したのだ、というラスト。 ただ、この手紙、人の心を動かすどれほどの内容が書かれていたのだろうか、と作品自身がだいぶハードルを上げてしまったので、正直、割とフツーの内容だったかな、と思わなくもないのですが(ゴメン)、映画を貫く緊迫感と迫力は、それを補って余りあると思います。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-04-15 11:41:20) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ここでの登場人物たちを、無知だと嘲ったり、野蛮だと蔑んだりするのは簡単だが、ネット時代になった今でも、人々が行っていることはまったく同じであることに気づいて慄然となる。この普遍性、そして予言力! 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-25 02:00:09) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 後にヘンリー・フォンダ自らが製作にあたった、「十二人の怒れる男」の前哨戦みたいな社会派西部劇。タイトル「牛泥棒~七人の黙れる男」。アカデミー作品賞候補になるほどの秀作という世評にもかかわらず、何故か未公開だったいう事で食指をそそられた作品。調べてみたらこの年の作品賞受賞作はあの「カサブランカ」。作品の内容そのものよりも、終戦後これが輸入されなかった裏事情の方に自分は興味を惹かれますね。ろくでもない愚作や珍作は幾らでも公開されていたのに。あくまで推理の範囲内ですが、アメリカ人が誇りとしている多数決優先議会制民主主義にも誤りもあるんだって事を、占領下当時の日本人には伏せておきかたかったんじゃないでしょうかねえ・・・?最後まで観た限りではそんな気がしてなりません。ドンバチ勇壮なウエスタンを期待する人には肩透かし。ラスト、首吊り処刑されたダナ・アンドリュースの手紙を読み上げるフォンダの目を帽子のツバで見えなくしてるのは、彼の滲んだ涙を隠す為のウェルマン監督の粋な演出とお見受けしましたが。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-01-25 13:57:45) (良:1票) |
1.お見事!お見事!!わずか76分間の間に見せる極上の人間ドラマです。牛泥棒と人殺しに罪を疑われた三人の男に「私刑」を受けさせるか否か!早く縛り首にかけ様とする男と裁判を受けさせようと必死に訴える男、とにかく色々な人間が出てきます。そこに見えてくるのはあの大傑作映画「十二人の怒れる男」に通ずるものがあるのではないのでしょうか?。人が人を裁く事の恐ろしさ、法の意味、そんな事を強く問い掛けてくる映画です。必見! 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-06-04 23:19:35) (良:1票) |