19.映画はどんなにリアルに描こうとも虚構の世界にすぎない。中でもティム・バートンの映画はその虚構性がぶっ飛んでいる。一方人生は現実そのもの。しかし人生の「今」だけが現実であって過去は既に現実ではなく虚構をおびたものに変貌する。中でもこの作品に登場する父の語る人生劇はその虚構性がぶっ飛んでいる。ぶっ飛んだ虚構性を「子供の時は楽しめた」と言う息子の言葉はバートンの映画を子供向けだと言っているのと同じ。結婚式のスピーチに対しての息子の意見は、観客を無視した作り手の自己満足映画だと言っている。しかし息子は最後には虚構を楽しむこと、そして虚構の中にこそ真実があること、さらに虚構を創作することの幸せを発見してこの映画を締めくくる。まるでティム・バートンの遺書のような映画。個人的には息子だけがのけ者というのが気に入らない。のけ者は虚構を語る父であってほしい。息子がぎりぎりセーフで父の語る人生劇の最終章を作り上げるというのも感動はできるけど別に感動しなくてもいいので「らしさ」を出してほしかった。はやまるな!バートン! 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-10-18 12:04:17) (良:1票) |
18.ホラ話だからだめというわけではないのだが、何がいけないのかというと、父の回想(昔話)の部分が、異様にめまぐるしく、内容を詰め込みすぎている点。しかも、大事な部分は説明台詞で済まされてしまっている。だから、どんなにそれっぽく盛り上げても、制作者側の自己満足にしか見えてこない。もっとポイントを絞った上で、その内容ではなく、それを語る父の表情・状況・スタンスにこそスポットを当てるべきだった。大事なことは、何を喋っているかではなくて、何のためにそれを喋っているのかということなのですよ。点数は、メルヘンチックな色彩と、求愛シーンの面白さに対して。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-10-18 03:43:43) (良:1票) |
17.前宣伝で水仙のお花畑の場面がかなり写っていたのでムーランルージュみたいな映画だと 思ってみていたら良い具合でファンタジーと現実が交差していた。でも中盤退屈かも。 【わーる】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-04-03 13:35:25) (良:1票) |
16.今年観た映画で一番は、Mrインクレディブル、はたまたカンフーハッスルか と思ってたりしてた私は井の中の蛙、いやミミズもしくはウジ虫だ。この映画 を知らずにそうほざいていたのか?劇場に足を運ぶこともなく、惰眠を貪り、 床に転がりながら、期待もせず、小さい家のテレビごときでこの映画を観たのか? チャップリンですら劇場で観ている映画通(トシなだけか)であるはずのこの私が この為体なのか?この目はヤツメウナギの目にも劣るのか?
この映画がファンタジー映画であるとは思わない。人生とはもともとお伽話であり、 人が感じたことだけが真実だからである。つまりこれはカテゴライズするのも恐れ多い the映画だということだ。
青くなった指輪と葬儀の赤い服と黄色い花、ピアノを教えられていた黒人、口からはき出された金の指輪、魔女の配役と口紅の色、赤い車等々どうでもいいことから本質まで、一貫した気配りを持って「配色」されている。音声を消した状態で観ても十分伝わってくるこの伝播力は何なんだ!
この映画がピンとこない人は10年後もう一度観て欲しい。撃たれなかったのは単に 若いとかそーゆーのじゃなくタイミングの問題だ。大きく振りかぶって放たれた 渾身の右ストレートは、再び擦るだけかも知れない。がしかし!例えば心が立ちすくんでいるとき!あなたは確実にKOされ、蘇生されるだろう。
見終わった後、テレビに映された、同じ映像をコマーシャルをはさんで3回ずつ見せるワンパターンなバラエティを観ていて気がついた! テレビを消そう!町へ出かけよう!思い出を作ろう! 【正義と微笑】さん 10点(2005-02-10 23:59:29) (良:1票) |
15.医師が語った「息子が産まれた日の父の本当の行動」で、それまでティム・バートンが私たちに見せてくれていた夢物語は終わり、「現実」の窮屈さや虚無感が私たち観客を包む。このホラ話だらけの父親を見ながら、かつて小説家太宰治が「自分が明るい時ほど暗い小説を、暗い気分の時ほど前向きで明るい小説を書く。」と語っていた事を思い出した。きっと、父は営業周りで各地を飛び回り、苦労して疲れ果てる自分の姿など家族に見せたくなかったのだろう。息子にも、余り現実に捉われすぎず、自由な発想で生きてほしかったのだろう。その思いが、自分が死ぬ間際にやっと息子に届いて、、父は幸せな顔をして逝った。息子は父親の本当の姿を知った上で、その死に際を自分のホラ話で彩った・・・中盤でも何箇所か涙腺を突いてくるシーンはあったが、この辺りからはもう涙が止まらなかった。もうじき父親になる息子も、きっと辛い顔を見せずに子供と接していくのだろうと思うと、「父が話となってずっと生きていく」という息子のラストの一言に、希望を見出せた思いだった。ぜひたくさんの人に、このティム・バートンの描き出した優しさを感じて欲しいと願いつつ、2004年(に見た映画の)マイベストの作品に9点。 【wood】さん 9点(2004-12-12 21:06:26) (良:1票) |
14.縁あって関わった人達すべてを幸福にしてしまう主人公。そんな力は私にはないが、せめて縁あって一緒になった女房ひとり位は幸せにせにゃいかんな。 【つむじ風】さん 10点(2004-07-19 11:26:53) (良:1票) |
13.なんともファンタジー溢れる映画でした。私も父親を持つ身ではあるので、その点感動しました。しかし、それだけなんですよ。残念なことに。 【クルイベル】さん 6点(2004-06-21 13:29:19) (良:1票) |
12.映画っていうのは所詮がホラ話なんですね。そりゃもう巧妙なホラ話。それをリアルに見せれば見せるほど人は満足したりするんです。不思議なことに。そうすると、「この映画は真実に迫っている!」なんて杓子定規な評価が出たりしまして、これは映画っちゅうものの成り立ちからしてそういう傾向があるから、仕方のないことなのかもしれませんけど。映画のジャンルを問わず、ドキュメンタリーであろうが何であろうが凡そ人が撮るものには必ず演出ってものが付いてまわるもんだし、言ってみりゃあ、それは思い込みとヤラセの世界ですよ。映画ってものはそもそもそういう了解のもとに観るべきものなんじゃないのかって僕は思うんですけどね。ホラ話だって、そこに夢や希望が感じられれば十分に幸せを与えられるんです。ということで、ティムバートンの「ビッグフィッシュ」っちゅう映画なんですけど、これが実に大らかでいい作品ですね。クソ面白くもないエピソードを延々と見せられてつまらんという評価もあるみたいですけど、あのつまらん(?)ディテールがラストに大団円となるところが「蒲田行進曲」的な映画愛だとしたら、僕がほんとに評価したいのは、そっちのつまらんディテールの方でして、あれこそがティムバートンなりのささやかな日常への賛歌なのだと思いますよ。映画もホラ話も、大風呂敷な夢や希望があるのはいいけど、それが日常に繋がる「誠実さ」もなくっちゃね。その観せ方には十分なリアリティがあったような気がしますよ、この映画は。実は親父も自分と同じ弱さを抱えたひとりの人間なんだって、この「自分が存在することの原理」みたいなものを認めなければ、本当の意味で自分が親父を赦し、自分を自分として認めることはできないんです。映画の中の息子と同様に、観ている僕たちが知らず知らずのうちにそのことを了解してしまう、そういう父子にとっての現実的な物語でもあるんです。 【onomichi】さん 9点(2004-06-19 11:36:35) (良:1票) |
11.あの手この手の細かい作りで映像は楽しめるのですが、各エピソードは面白味に欠ける。想像力の力足りず。「ねェ面白い話があるんだけどさ~」で始まり「僕って面白いでしょう?」で締めるつまらない人の話を大事に聞いてしまった感じ。今までのティムバートンの作品を見た後味と変りありませんでした。今の日本の若手お笑い芸人の方がツボを心得ている。 【チューン】さん 6点(2004-06-15 09:29:15) (良:1票) |
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10.畳み掛けるラストの展開に鳥肌が立った。このキャストでこのストーリーを見せてくれたバートンに心から感謝します。同じ脚本でもスピルバーグだったら、トム・クルーズとか使ってベタベタの涙ものにしたに違いなく、紛れもないティム・バートン映画だと思う。 【PLANET】さん 10点(2004-06-11 19:46:08) (良:1票) |
9.5回目ぐらいのレビュー変更。本当に大好きな作品なんで、何と書いてもしっくりこないのです。既に台詞まで覚え始めているぐらい観ているのに、泣ける。更に「また観たい。」と思わせてくれる。そんな不思議な魔力がこの作品には込められている。もうこれ以上は何も言うまい。ティム・バートン監督、ありがとう。 【こばやん】さん [映画館(字幕)] 10点(2004-06-07 00:33:06) (良:1票) |
8.気付いたら涙が溢れ頬をつたっていました。元々涙もろい私ですが、こんなに自然に涙がこぼれた作品に初めて出会いました。「シザーハンズ」と「ユアン・マクレガー」が好きで絶対観に行こうと決断し、予告編などを観てしまいある程度の展開を予想してしまう私は今回映画の予告編も観ず、TVで特集されていてもチャンネルを換え、とにかく一切内容を知らずに観賞しに行きました。観てびっくりです。独特のファンタジーさ、映像の美しさ、そして絶妙なストーリー展開。あぁ想い出すだけで感動・・・。愛って素晴らしい!! 【MINI1000】さん 10点(2004-06-04 21:30:18) (良:1票) |
7.「自分が死ぬ瞬間」を伏線に、様々なほら話(と現実)が見事に連携しクライマックスに進んでいく。うまいなぁ~、と思いながら泣きじゃくりはじめ…と、思いっきりこの映画を堪能しました。■しかし、野暮を承知で文句を言えば…。父と子の断絶、「傍役」でしかない奇形者たち、愛してもらうことを生涯待ち続けた女性、その決着を「ファンタジー」で終わらせていいのだろうか? 「主役の死」を「素晴らしい人生だったね」と手放しで悼むことが出来るのだろうか? ■恋人を奪われた元婚約者に対する悪意が、いかにもティム・バートンらしいが故にこそ、「ファンタジー」が現実となる葬式のシーンには違和感を覚える。ユアン・マクレガーの無邪気な「いい奴」ぶりを悪意で塗り固めること、それがバートンなのではないか? 「バットマン」の作家が、ほんとーに、これでいいわけ? ■(追記)と、書いていたのだけど、やはりどうも違和感がある。6点という中途半端な点は、ティム・バートンに対し不実だと思い直し、正々堂々と0点をつけることにしました。それは、やはりラストシーンの「主役」の「いい人生」ぶりが、あまりに嘘で、いい加減で、不誠実で、卑怯で、ハリウッド的に過ぎると感じるから。この映画に泣いちゃいかんよ→私。 【まぶぜたろう】さん 0点(2004-05-23 19:35:53) (良:1票) |
6.ありきたりの実話より、とてつもないホラ話のほうが、みんなを幸せにしてくれる。すばらしい大人のおとぎ話。 昔と今、夢いっぱいの嘘に、点々と交差する真実、そしてユニークな登場人物たち。 いろいろな要素が見事に絡み合って、ずっと胸を熱くして観ました。あれこれ考えることなく、この大人のファンタジーに入りこんでしまうのが楽しみ方のコツ。 五十歳を超えたオジサンですが、すなおな気持ちに還って、心から大感動できました。 主人公世代の人生の達人たちにも、ぜひ映画館へ足を運んでいただきたいです。 【ちくわ】さん 10点(2004-05-21 20:44:43) (良:1票) |
5.私が映画館で観た作品のなかではまさに最高の作品。期待以上の素晴らしさに、観た後なんともすがすがしい気分になったよ。(ちなみに、原作は読破済。)ある雑誌で紹介されてて、観たくて観たくて、今年の初めからずっと待っていたけど、本当に待った甲斐があった。バートンさん、極上のファンタジーと人間ドラマ、美味しかったですよ、ありがとうございます!! |
4.最初は主人公同様、父親の過去の真実が知りたいと思ったが、最期にはどうでもよくなった。父の人生の何が嘘で、何が本当かを知る、それが父親を理解することだと信じた主人公が、最期に知ったもの。どれが嘘で、どれが本当かなんてどうでもいい。ただそこに父親が在り、その人生に多くの人々が交わり、そして共に幸せを分かち合った。精一杯に自分と人々の幸せを祈って生き、人々に惜しまれて去った充実した人生があっただけ、それこそが全てで、それで十分なのだ。人生というものの、なんと面白いことか、それを息子に伝えたい一心で、父親は誇張した思い出を語ったんだろう。自分そのまま、幸せで豊かな人生を息子に生きてほしい、心から純粋に、そう願ったに違いない。そうして創りあげた幻想的な思い出の数々も父親にとっては立派な自分の人生の一部。たとえ奇人と呼ばれたって、人の幸せを祈り、人に愛される一生は、素晴らしい。出来ることなら、こんな素敵な最期で一生を終われたなら。嫌味もなく、純粋にそう思える映画だった。 【six-coin】さん 8点(2004-05-18 03:09:58) (良:1票) |
3.ラストの息子の語りは確かにイイ。しかしそれ以外のエピソードが?。フォレストガンプと同じ匂いを感じたのだが、その微笑ましさを素直に受け止めれなかった。 【るう@】さん 6点(2004-05-17 19:06:54) (良:1票) |
2.同じベトナム戦争の時代を扱ったおとぎ話風の作品「フォレスト・ガンプ・・・一期一会」に8点をつけたのでこの作品は9点か10点しかありえないのですが、下の二人の方の10点と全米平均の8点を横目で睨みながら真ん中の9点をつけます。ベトナム戦争の是非なんていう天下国家の問題を扱った作品じゃないし、それに「フォレスト・・・」でのトム・ハンクスの演技が光っていたので点数を離したくなかった・・・なんていうのは屁理屈なので無視していただいて結構です。一言、「良かった。」と書くだけでも十分なのですが、これから鑑賞される方のためにもう少し詳しく書いておきます。まず、「フォレスト」との比較になりますが、この時代を描くのにCGをあからさまに使わなくても、大統領の実写を使わなくても、主人公のIQが平均より低くなくてもOKどころかそのほうが作品を「おとぎ話」として成功させています。年月の経過とともにつらかった事実の記憶は風化し、父エドワードがベトコンの拠点に乗り込んで捕虜になるか殺されるかのシーン(会話はベトナム語でアメリカでの上映でも字幕が入ります)でさえもノスタルジックに脚色され、密林のゲリラ戦で恐れられたベトコン兵たちの結構可愛い日常の素顔が印象的でした。ベトコン兵のカンフー張りのアクションにはまいりましたが・・・ベトナム人って本当にこんなことするの・・・でも楽しいシーンでした。この他にも、桃源郷(理想郷スペクター)、サーカス、空の落書き、水仙などの数々の美しい場面が網膜に焼きついて離れません。父エドワードは激動の時代にいろいろつらいことも経験しただろうけれど、息子に語る内容は楽しいことばかりになっているのようなので、この人の人生は結構幸せだったと言えるでしょう。 【かわまり】さん 9点(2004-04-28 08:32:32) (良:1票) |
1.マンハッタンで上映数が残り僅かになった今になって、やっと見ました。当初、何の映画かもチェックせず、全く見る気が無かったのですが、友人(男性)2人が共に「感動して泣いた」と言ってたので、興味を持った次第です。結果はこの点数通り「最高~」でした。全てのエピソード(お父さんの法螺話)が複線となって自然とラストの感動の場面に繋がっていく。泣き虫の自分は当然泣きましたが、「悲しい・嬉しい」涙ではなく、素直に感動してキレイな涙が止まりませんでした。寓話でもない現実でもない、不思議な映画の設定でした。ただ、上述の友人の奥さんと自分の奥さんは、共に「全く感動しなかった。どこがおもしろいの?」という反応でした。男性だけにヒットする映画とは思いませんが、もしかしたら、父親と息子の関係が根底に存在しており、男性の方が感情移入しやすいのかもしれません。(でも、勿論女性にもお勧めです。ジェシカ・ラングもいい母親を演じてますし。) |