4.性格の異なる祇園の姉妹に関わる周りの人間たちの生活模様が面白いほどリアルに描かれています。山田五十鈴の'おもちゃ'最高!! 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-05-10 14:04:05) |
3.2012.01/25 鑑賞。まず監督は別として助監督が森一生、脚本が依田義賢に驚く。そして山田五十鈴の若さ美しさ、進藤英太郎のスマートさにビックリ。あとは余り知らない昭和11年作品。 モノクロ映像の上手さ、でも室内暗すぎる、音声聞き取りにくい(この時代では仕方ないが・・) ・台詞のリアリティさには驚く・姉妹の生き様考え方の対比が素晴らしい(男は大半が姉派・・) ・男の色好み、身勝手さ、後ろめたさが会話、振る舞いで見事に表現・全く知らない祇園の世界の明と暗等等を笑いと人情のきびを通して魅せる。地味だが素晴らしい作品。これが75年前の作品とは驚き!!! 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-01-25 14:07:32) |
2.溝口健二の作品の中ではテンポが良い作品。進藤英太郎と山田五十鈴のやり取りにはゲラゲラ笑いました。対称的な二人の女性とその回りで京都の男達、これらの人間像が深く描写されているので、今観ても楽しいのだと思います。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-09-03 12:02:56) |
1.場面のほとんどが縦の構図を狙った引きのショットから始まり、そのまま長回しでワンシーンを丸ごと収め終わったかと思うと、今度はゆっくりと横移動を始め、さらに別のお芝居がフレームに入ってくる。『浪華悲歌』(36)と同様に、全編に渡る「引きの長回し」がとても素晴らしく、キャメラワークはまさしく逸品です。後の『残菊物語』(39)と比べると、多少、人物の動き(出入り)が少ない分、舞台的に映っている感もありますが、それでも引きで固定されたキャメラが、人物の動きにあわせておもむろに横移動しだす瞬間はまさに芸術。溝口作品を観る楽しみの一つはこの横移動の美しさであって、少々大げさかもしれませんが、これを観るだけでも十分価値があるのではないかと思います。有名なラストのおもちゃの絶叫シーンも、それまで引きの画に終止し、横移動を繰り返していたキャメラが最後の最後でいきなり縦に前進移動するからこそ、凄みがあります。それまで客観的な視点をもっていたキャメラがまるで魂を吹き込まれたかのように突然前進してとらえる急転直下のクローズアップ。静寂を打ち破るかのようなこの主観ショットは、クローズアップとはこう使うのですよ、というお手本であると同時に究極のリアリズム表現。それにしても溝口監督の描く男の姿とはなんと愚かで、情けないのでしょう。おもちゃが次々と男を騙していくところなどは、滑稽に、いわば喜劇として描かれていますが、こんな馬鹿げた男たちにでさえ、最後には打ちのめされてしまうという、女の現実がほんとうに切実で胸が詰まる思いがします。ただ、そうは言っても、おもちゃの悲鳴の中には、「男になんか負けるものか」という、「女の強さ」も確かに感じ取れます。いや、むしろあのラストの主観ショット。あれは敗者に対する演出では断じてないでしょう。溝口監督が描きたかったのは「女の悲劇」ではなく「女の強さ」の方であったに違いないのです。おもちゃも梅吉も最後まで自分の信念を決してかえようとはしない。そして、この映画において、封建的な社会に対して一撃を加えるのは女性。小津に「おれには創れない」と言わしめた本作ですが、おそらく小津に描けないと感じさせたのは、全編を通して感じられるこの凄まじいほどの「女の強さ」ではなかったか、と思います。溝口の代表作とする人も多い傑作です。 【スロウボート】さん 9点(2004-02-24 22:49:57) (良:2票) |