4.伝説的な戦士アキレスを主人公とした映画を撮ることになった時、ペ-タ-ゼン監督には、かつてフリッツ・ラング監督が映画化した『ニーベルンゲン』二部作のことが脳裏に浮かばなかったんだろうか…。あの第一部『ジーグフリード』において、竜の血を浴び不死となった主人公は、確か一枚の葉が背中に付いていた部分だけが不死身ではなかった。ちょうど、アキレスにおける“アキレス腱”のように…。 ラングはその後、ナチス・ドイツ政権下のドイツからアメリカへと亡命する。そしてハリウッドの「御用監督」として、娯楽映画を撮りまくったのだった。同様にペーターゼンも、(亡命じゃないけれど)ドイツからアメリカに招かれ、エンターテインメント大作の監督として重宝がられている。しかし、彼の前作『パーフェクトストーム』には、間違いなく〈運命〉というものへのゲルマン民族的(!)な感受性というか、眼差しがあったとぼくは信じているのだ。それが、あの映画を現代における《叙事詩》的なるものを、奇蹟のように実現してみせたのだと。…人は、どんなに抗おうとも自然(=神)の前に破れ去る。しかし、その抗う姿にこそ人間の「偉大さ」があることを描き、称えるのが《叙事詩》なのだから。 だからペーターゼンが、ホメロスの神話的叙事詩を映画化すると聞いて「やっぱり!」と期待していたのだったけれど… たぶん、「エンターテインメント」としては申し分のない映画ではあるんだろう。ブラッド・ピットは文句なしにカッコいいし、エリック・バナは儲け役だし、ローランド・ブルームだって損な役回りを懸命に演じているし。戦闘シーンも、どこまでがCGなのかぼくなんかには判断がつかないほど精巧で、スケール感において大したものだ。しかし、それだけのことだ。一瞬でもラングの名前を思い浮かべ、『ニーベルンゲン』を重ねようとした自分が、ひたすらバカだった… 見終わってその期待が、「やっぱり…」という嘆息に変わったことを、ここにご報告しておきます。映画が悪いというんじゃなく、ぼくが悪いんだろうけど。…嗚呼ペーターゼン 、本当にアンタは“この程度”のカントクなのか? 【やましんの巻】さん 5点(2004-05-28 13:03:33) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 トロイア戦争が神話なのか、史実なのかという議論はあるけど、本作はそのどちらでもない。 まずパリスの審判をスルーして、パリスがヘレンを寝取るとこから物語が始まる。 どっちにしてもパリスが悪いことに変わりはないけど、なんでそんなことになったのか説明くらいないと気の毒。 それから、カッサンドラが登場しないことにも驚いた。 トロイアの滅亡はカッサンドラの予言が信じて貰えなかったことによる悲劇だけど、そこをバッサリ削除するとは驚いた。 でも、カッサンドラが居たら困る理由はラストで分かった。 カッサンドラは戦利品としてアガメムノンに連れてかれるけど、そのアガメムノンが殺されちゃうというとんでもない改変。 そこ変えちゃっていいの? 主要な登場人物を勝手に殺しちゃう脚本にOKが出たことに驚かされます。 逆にパリスは死なずに生き残るという納得できない結末。 神話でも史実でもなく飽くまでもフィクションということなんだろうけど、酷い捏造を見せられた気分です。 トロイの木馬からアキレスが出てくる映画なんて、学生の自主制作でも却下されるよね。 でも、映像的には凄い迫力で、首元にナイフを突き付けられながらブリセイスにちんこ突っ込むアキレスはカッコ良かった。 あと、どうでもいいことだけど、オーランド・ブルームは弓が良く似合う。 【もとや】さん [インターネット(字幕)] 5点(2021-05-28 17:35:27) (良:1票) |
2.トロイ戦争を最古の愛のための戦争と位置づける史観にいかにもなハリウッド精神を感じわくわくして観にいったが、よく考えたらその為にはスパルタ王を主役にすえなけりゃ話がカッコつかないのだった。女には手の早いトロイの王子も、それ以外はやっぱりトロいの王子だった・・・・。お後の準備がよろしいようです。 【伯抄】さん 5点(2004-10-10 00:54:34) (笑:1票) |
1.途中で30分ほど寝ても話の流れは追える親切設計な映画。 【海野やよい】さん 5点(2004-05-31 21:49:38) (笑:1票) |