4.《ネタバレ》 シリーズ47作目。カメラマンと(の)人妻の出会いと恋という、当時ブームになった『マディソン郡の橋』(イーストウッドの映画版公開の前だから小説版)からインスパイアされた作品。45作目の『髪結いの亭主』といい、流行りものを寅さん世界に落とし込む作風の一つですね。
ゲストは牧瀬里穂で、お父さんは郵便局長。過去にも『郵便局がスポンサーなんだな』って回はありましたが、今回は大々的でした。この映画の公開当時、牧瀬里穂は郵便局のイメージキャラクターでしたね。当時私は大きい郵便局で、年賀状を仕分ける短期アルバイトをしていました。そして記念品(お年玉?)として牧瀬里穂のテレホンカードを貰いました。同年代で貰ったって人、結構居るんじゃないかなぁ?そして映画の最後の方で、牧瀬演じる菜穂が郵便局の緑の制服を着て出てくるのは、ちょっと嬉しいサービスショットでした。当時を思い出して懐かしくなりましたよ。
今回も満男の恋が描かれますが、“3M”の一角を占めるトップアイドル菜穂とボンヤリした満男では、いくら映画だとしても不釣り合いに感じます。“国民的美少女”の泉とお調子者の満男は、同じ部活という繋がりがあったにせよ、それでもやっぱり不釣り合いで、振り返ると前作の亜矢くらいが、一番バランスが良かったんじゃないでしょうか?
寅がほとんど動けないのと、それでも工夫して撮ろうという配慮が伝わってきます。寅が騒動を起こす場面は、カメラの回ってないところで起きて、人づてに語られる手法です。仕方ないとは言え、スッキリ出来ないのも事実です。 それでも鉛筆売りの勝負は寅さんが満男に教えられる、世の中の生き抜き方って感じで良かったな。 満男以外の主要メンバーの高齢化も目立ち、笑えるところも多いとは言えず、コメディに分類して良いのかとても悩ましいところ。残り一作なのが解っているから付いて行けるけど、リアルタイムには観る側も辛かったと思います。寅さんメンバーの、年に一度の安否確認の意味合いが強い作品でした。 【K&K】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2024-04-04 01:47:06) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 90年代に入ったくらいから、寅さんはもちろんとらや(くるまや)ファミリーまで一気に老け込んできたんだけど、それより先にスタッフの方が力尽きたというか息が上がってしまったの?と思うくらい、内容に乏しい作品。●かたせ梨乃はマドンナとして機能していないし、逆に女優としての魅力も引き出されていない。牧瀬里穂は、最初の方の不機嫌なシーンが、本当に怒っているようにしか見えない。よって、その後に満男君相手に急にいい関係になっても、不自然にしか見えないのです。●この作品の最大の意義は、谷よしのさんの登場シーンです。次作には出演しなかった谷さんは、これがシリーズ登場最終作品になりました。その谷さん扮する宿屋のお婆ちゃんに対し、寅さんは「世話になったね。ありがとう」と挨拶し、心付けを渡します。脚本上はまったく必要のないシーンでです。これは絶対に、長年にわたりシリーズを飾り続けてきた谷さんに対する制作者の感謝の表れであると考えています。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2021-03-02 21:03:01) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 【今回のマドンナはかたせ梨乃さん。その後の幸せ願うだけで満足 琵琶湖のほとり篇。】
やはり今回もマフラー巻いてるんですね 似合わないからやめてくださいとか茶化す気さらさら無いですが、その姿が痛々しいのがつらいとこ。いよいよ寅はつらいよ 哀しさ誘う。 そんな第47作、1994年、もしも当時、この作品をリアルタイムに目にしたとしていたならば自分は一体どんな心境で目にしていたのだろうか もはや、面白くないじゃないかよ チェッ とか もうやめちまえよ チェッとか思ったのだろうか それとも、ギネス更新の為にまだまだ頑張ってくれ まだ後3作ほど出来るんじゃないのか? とか願っていたのだろうか もはや、答えはリアルタイムじゃないので分からない。ただ、 渥美清さん一人に限ったことではなく、おじちゃん・おばちゃん、そしてタコ社長の老化による精彩の無さは明らかなわけでありまして、そろそろ次回辺りで一度清算してください でもその時には一つ大団円にて終わってください 綺麗な最終回願いますよとか思ってみたのかもしれない 答えは分からないですが。
ただ、今となって実際思える事は一つ。 現実 男はつらいよ まだまだ続いていたわけです まだこの後も楽しめるわけです 続いてくれていてありがとうなのです。ラストに向け哀しみ増した今作。ただし、哀しみのコメントばかり言ってても仕方がない。とらやの一家団欒でとっさに鉛筆二本を使い、家族みんなを軽く唸らせた商売ネタや、元気の無い演歌歌手を嘘も方便元気与えて終わるところ、そして甥っ子満男に対して誉めて慰め顔色伺うばかりが伯父の役目じゃない キチンと熱く説教して定刻通りに去ってゆくところは やはりいつも通りの拝啓車寅次郎様であったではないか 喜劇部分が物足りないのは もはや仕方がない。でも開き直りも必要、ラス前にしては良い作品だった。実はもっと後から沁みてくるんじゃないかとも思います。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-09-21 22:51:27) (良:1票) |
1.「僕の伯父さん」から始まった新シリーズ、満男&泉ちゃん篇。 でも、僕にとってのこの新シリーズは満男&伯父さん篇なのです。 大学・就活・社会人生活に恋に悩む満男のドラマが描かれる。寅さんのマドンナらしき人も出てくる。 そんな中に挿入される寅さんと満男のドラマが大好きなのですが、本作はその良さがとてもよく出た一本。 まずは序盤の鉛筆をめぐる寅さんお得意の名調子と満男、そしてとらやの人々。 次は長浜で「男がいたっていいじゃねえか。そいつと勝負すりゃいいんだよ」 この時の寅さん、カッコいいんだよなあ。そして鎌倉の別れ際もいい。
2人の師弟関係なのか、友情なのか。この伯父と甥のドラマはいつも本当にいい味わいがあります。 ラストの満男の心の声。「近頃僕は伯父さんに似てきたと言われます」と言う。 そうそう。満男君、僕は本作のだいぶ前からそれに気付いていましたよ。 どんどん伯父さんに似てくるなあって。
更に本作の一番最後と冒頭に出てくる、寅さんを先生と呼ぶ小林幸子演じる演歌歌手。 初期の作品の旅の一座と一座の花形大空小百合ちゃんを思い出します。 旅先でのちょっとした心の触れ合い。寅さんの優しさ。 やっぱり寅さんにはこういうのが似合うなあ・・・。
さて、順番はめちゃくちゃで好きな順番にレビューしてきましたが、ようやくこれで寅さん全作品レビュー完了です。 もうこれで寅さんの新規レビューが出来ないと思うと、ちょっと淋しくなりますね。 既に全作品を複数回見ていますが、これからも見続けますよ。 あなたの一番好きな映画は?と聞かれれば、僕は迷わず「寅さん」と答えますから。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-05-19 21:16:48) (良:1票) |