6.《ネタバレ》 この映画のテーマは宮崎アニメとしては画期的な「家族」だ。今回の主人公ソフィーは、今までの主人公像であった「成長し自立していく少女」とは別に、「母」という役割がある。ソフィーとハウルの出会いのシーンでは、「少女」として恋心を抱いているが、ハウルの苦悩が描かれていく内に単なる恋心から変化し、ソフィーは精神的な支えとなっていく。強大な力を持つ男と、精神的な支えである女。さらにハウルの弟子を子供役、元魔女の老婆を祖母とした擬似家族が形成されていく。テーマを「家族」として見ると、物語の背景にある戦争の描かれ方にも注目がいく。今までの宮崎作品ならば、主人公の少女が争いに絡んでいく役割を担っていたが、今回はむしろその逆だ。ソフィーの興味はハウルや城の掃除であったり、食事にある。ハウルが戦地に赴き、その帰りを心配しながら待つのが今回の主人公なのだ。重要な事は「ハウルが無事に城に戻って来られるかどうか」なのである。一方、ハウルのキャラクターは「千と千尋の神隠し」の「カオナシ」を再構築したキャラだったと言える。「ツギハギだらけの巨大な城の中にいる繊細な男」という設定は、宮崎氏の考える「現代の若者像」の比喩である。城自体がハウルの精神世界であり、これはエヴァンゲリオンの碇シンジとキャラ設定が似ている。エヴァでは「絶対的な巨大ロボットとアイデンティティーが曖昧な思春期の少年」で、エヴァンゲリオンとは碇君の母親そのものであった(詳しくは他のエヴァサイトなど参照)。ハウルでは「城=精神世界」に「ソフィー=母」という記号が注入され、「城=家」になり「家族」という記号に変化したと考えられる。ハウルが「家族」という守るべきものを得て、「父」として命がけで死守しようとする姿は、これまでの宮崎アニメの主人公達の姿に重なる。ハウルは「成長し自立する男性」であったのだ。ラストシーンは皆が家族として「生活」し、それに伴い戦争も終わってハッピーエンド。ハウルとソフィーが愛し合い、父性・母性が目覚め、家族が成立した時点で今回の物語は収束している。多少唐突に思えるラストだが、家族の成立が軸であるため、戦争であろうが何であろうが小さな事だったのだ。結局、血縁よりも絆で繋がった集合体が「家族」なんだという事だろうか。現代家族の理想像を描いていると言えるだろう。 【郁】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-10-31 03:59:03) (良:2票) |
5.面白かったです~。最初の方、老婆になったソフィーが強風の中、動く城に乗り込む場面、風にはためくマントの描写があまりに見事で、観てて涙が出そうになりました。「ピノキオ」や「ダンボ」などのディズニー作品でも、何でこんなシーン観て泣くんだろ、と自分でも不思議に思えるような場面で涙が出そうになることがあります。さてそんなワケで、本作も観終わった直後にはずいぶん興奮していたのですが、さすがに日にちが経ってだいぶ冷静になってきましたので、映画のかんそうを思い切り脈絡なく書き並べてみようと思います。(1)宮崎アニメのテーマは「翔ぶ」事だと思っていたが、最近のテーマは「溶ける」なのか? (2)ソフィーの声が倍賞千恵子なら、ハウルの声は前田吟という手もある (3)あの犬の正体は、ケンケンなのか? (4)荒地の魔女は怖そうだったが、見かけ倒しだった。あれなら本物の美輪明宏の方が強そうだ。美輪の方が魔法をたくさん使えそう (5)「○○は嫌いじゃ」は、一時、我が家の流行語となった(すばらしい) (6)主題歌は正直、イマイチだったなあ・・・ (7)カブの正体など、はっきり言ってどうでもよかった (8)ソフィーは最後の方、ずいぶん可愛くなった。ってか、可愛く描かれてた (9)本作は確かに楽しめたが、最近の宮崎アニメの暴走ぶり、いよいよ次回作あたりは観客がついていけなくなるのでは、と心配 (10)でも楽しみにしております。 【鱗歌】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-05-16 23:04:51) (笑:2票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 弱さゆえに悪魔に心臓を売り渡したハウル、帽子屋の一長女から飛び立てないソフィー、若い力を求めるが故に新鮮な心臓にすがる荒地の魔女、本当は強い力を持っているのにハウルとの契約に縛られているカルシファー、呪いを掛けられた案山子の王子カブ、摂政の魔女の元から逃げ出した飼い犬ヒン、マルクルはまだ子供だから特に縛りはないみたいだけど、登場人物みんなが何がしかの制約を受けている中で、ソフィーを中心にその呪縛を自ら解き解こうとする姿に、随所に涙誘われるシーンがありました。個人的には単なる老婆になってしまった荒地の魔女が心臓を欲するシーンに特に涙腺が緩みました。しかし、ソフィーは逆に老いてこそ人生の如く、ハウルの傍らで生き生きと輝き出す、この荒地の魔女との対比。老いって本当に切ないですよね。若い頃は考えもしなかったけど、家族が出来て、年を重ねるにつれて、全人類にのしかかる大きな呪いなのかも知れません。しかし考えようによって若い頃より素敵に生きることができるのかも。確かに全体的に説明不足の感は否めませんが、僕はこの種の鑑賞者の想像力に委ねる作品が大好きです。因果関係が不明なので、???な気持ちも分かります。しかし、話の流れから帰納的に自らサブストーリーを組み立てれば良いのではないかと思います。 僕には、皆さんが言うほど悪い作品には思えませんでした。この映画のひとつひとつのシーンを思い出しながら、その意味を深く考えても良いのではないでしょうか。映画館を後に、妻と二人、互いに感動した場面を語りあいながらのドライブ。映画の後でこんなに映画の話をするのも久しぶりでした。 【こじ老】さん 8点(2004-12-15 01:35:24) (良:2票) |
3.サリマンとサルマン(「ロード・オブ・ザ・リング」)名前似すぎだっつの。 【さそりタイガー】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-03-25 20:35:57) (笑:1票) |
2.面白かったです。今までの宮崎作品で2番目に好きかも。母のようにハウルを包み込むソフィーの大きな愛情に心を打たれるものがあった。ある意味、現代の女性が観て考えるべき映画なのかもしれないと思います。肝心のキャラクターもそれぞれの個性がしっかり出ていて良かった。特にハウルには、ここまで男性のキャラクターを魅力的に演出できたことに驚かされました。クールでいて、子供っぽくて、それでいて少しズルくて、どこか愛情に飢えているような。。典型的な女性が母性本能をくすぐられるようなタイプ。この物語の中心に常に「母のような大きな愛」というものがあったように私は感じます。ハウル役のキムタクの声もキャラクターに良くあっていたし、荒地の魔女役の美輪明宏もハマリ役(爆)そして何より、ソフィーの声が倍賞千恵子だったことに驚き。19才の若いソフィーから99歳のおばあちゃんまで、とても良く演じていました。木村拓也と倍賞千恵子がカップルかーと思うと何だか不思議な感じがするけれど。。(爆) 何はともあれ、とても良いお話でした。 【civi】さん 8点(2005-02-23 10:51:29) (良:1票) |
《改行表示》 1.《ネタバレ》 色々ご意見があるようですが、ハウルに魅了されてしまった人にとっては最高の出来でしょう。ほんとにハウルは素敵でした! 登場はまるで少女漫画の理想の男の子のように、ソフィーを助けて。 それが2度目に会ったときはお婆さんになったソフィーをいちべつして、冷たく「あんただれ?」。 それからキレイに髪が染まらない事で大パニック。「美しくなければ意味はないんだよ~!!(確かこんなセリフ)」ドロドロ溶けちゃうし。 ハウルのキャラクターが秀逸。目が離せません。 ストーリーの破綻はないと思います。へたにメッセージ性を探さずに、素直に上質なエンターティメントとして楽しめばいいと思います。 まあ、欲をいえば戦闘の場面をもう少し説明があったほうが、深みが出たと思いますが・・、あとハウルは金髪のボサ頭のままが良かったなぁ・・。 ハウルの魅力に惹かれて2度3度通ってしまいそうです。 【霧のターンパイク】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-12-17 21:46:42) (笑:1票) |