9.《ネタバレ》 とんでもない傑作だー!私は幽霊や殺人鬼が出てくるホラーよりも、本作のような普通に見える人間が実は狂気を孕んでいた!というタイプのミステリー・ホラーのようが好き。物語はそう珍しくもない子どもの失踪もので、陳腐に撮ろうと思えばいくらでも撮れたはず。それなのに本作がめちゃくちゃ面白いのは、バニー・レークが一度も画面に登場しないのでアンとスティーブンが全く信用出来ない人物になってしまうからだ(散々指摘されているけど)。そこへ同タイプの映画のように怪しい人物や警察への批判じみた演出を織り交ぜることでおもしろさが増し、唯一無二の映画に仕上がった。ソール・バスが手がけたオープニングもかっこよくて文句なし!こういう映画をもっと見たい! 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 10点(2016-02-22 10:05:35) (良:3票) |
8.《ネタバレ》 これは…。度肝を抜かれました。奇妙な大家さんや園長先生の造形やドールホスピタルのシーンなどから、クラシックなホラーでありそして教科書的な作品なのだなと、したり顔してみていましたが、最後の15分。こんな展開ありましたっけ。クラシックでありながら最新型(オラには)。ひと一人の痕跡をそんなに簡単に消せるものかとか、転居前の住所地に問い合わせれば、バニー不在説はすぐ消えるだろうとか、無理筋もありましたが、それよりラスト展開の衝撃が勝る。使われている音楽も好きでした。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-06-12 17:08:54) (良:2票) |
《改行表示》 7.地球上でボーマン船長の姿が拝める、貴重な映画。ってのはどうでもいいんですけどね。 映画の4分の3くらい、大して何も起こらない、というより、そもそも何かが起こったのかどうか自体がよくわからないんですけれども、にも拘らず、スリリングでぐいぐいと引きこまれます。 何しろ、どのシーンを見ても登場人物が画面内を動き回り、カメラも登場人物たちを追いかけて、とにかく動きのある映像が展開されまくります。その計算された構図に息をのみ、あれよあれよという内に物語が進んでいく。 終盤、物語の展開に動きがあり、ほとんど物語が破綻するかしないかの瀬戸際になって、そうなるとカメラも一層、不安を煽って見せる。もうハラハラもの。 という訳で、まさに出色のサスペンスです。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-01-04 17:07:01) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 いかにも英国ミステリーらしさがあふれる一篇で、監督はハリウッドの異端児オットー・プレミンジャーだけど英国映画なんです。このプロットの映画は本作の前にも後にも幾つか撮られていて自分も何本か観たことがありますが(たとえば『フライト・プラン』とか)、この映画がやっぱりいちばん面白かったんじゃないかな。まず消えた女の子バニーを事件が起こる前に観客に見せないのが上手い。これが俗に言う「実存的不安」をかき立てる良い効果を出しています。いかにも変態っぽい家主のノエル・カワードや保育園の女主人マーティタ・ハントといった怪しげな登場人物たちがまたいい味出しているんですが、この人たちは伏線なのかと思いきや単なる賑やかし屋だったのはもったいない。でもキャロル・リンレーの不安げで神経症気味な演技は良かったと思います、サディスト監督の異名を持つプレミンジャーのことだから、そうとう彼女を追いつめる演出をしたんだろうな。大ネタばれになるのであまり詳しく書けないけど、終盤の彼女の演技というか脚本構成が実に巧みなのでぜひご覧あれ。 でもバニーの父親は実はあの人じゃないかというモヤモヤがどうしても残るんですけど… 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-09-18 23:37:07) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 私の大好物な観客の心理誘導に秀でた極上サスペンス。脚本、演出、キャスティング、どれを取ってもこの手の映画の中では抜きん出た出来。特にヒロイン、アン=キャロル・リンレイ嬢の扱い方が秀逸。【以降鑑賞中】タイトルバックめっちゃ洗練されてる!誰の手に依るものかと思えばソウル・バス氏!⇒えっ!引っ越し直後なのに鍵もかけずに外出しちゃうの?大丈夫なん?この人(←ちょっとヘン?)⇒まあ、娘がいきなりいなくなっちゃうんだもん、取り乱すの無理もないよね。あ、この男性旦那じゃなくて実のお兄さんなんだ、ほほぅ・・・⇒お菓子の箱買ったことが証拠にはならんでしょうに。何言ってんだか(←ますますアヤシイ)⇒アメリカからの乗船名簿にこの母子の名前なし?!じゃあ一体・・・(←いよいよアヤシイ)⇒人形修理に出したからって娘がいたっていう何の証拠にもならんわい!(←絶対アヤシイ!!おい!いい加減に白状せい)⇒力技使って病院から脱け出すなぁ・・・、完璧にこれサイコだろ⇒ええええええええっ!!!そういう事だったんっ???※こっから先、怒涛のクライマックスに突入するのでネタバレ伏せます。粗筋やオチを知らずに観れば、深読みしないヒトならラストまで愉しめる映画だと思います。観客は警部役のL・オリビエ氏の視線で、このヒロインの行動を生温かく見守ってあげれば良いかと。彼女が病室のベッドから抜け出すシーン、一瞬軟体動物のように蠢く動作をした為、私はヒロインの女性が4歳の娘と実は同一人物で「ふしぎなメルモ」的変身を遂げるのかと、危うくミスリードされそうになりました。そしたら全然違うジャンルの映画になっちゃいますよね。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 9点(2022-08-03 22:46:30) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 ~Bunny Lake is Missing~邦題ズバリ。 ダフネ先生は見つからない、見守りを頼んだドイツ人の料理人は辞めてしまう、目撃者はゼロ。バニーちゃん行方不明からの描写が丁寧なぶん、アンと共に不安になり、スティーブンと共に苛立ってしまう、丁寧で上手な観せ方。 園長室の異世界っぷり。マイペースなフォードお婆ちゃんといい、軽快な音楽といい、まるで別な映画、千と千尋の湯婆婆の部屋みたいだ。 アンの家も異世界になっていた。ネチネチとアンに絡んでくるホレイチョ・ウィルソンの気持ち悪さは鳥肌モノ。なぜあの家主の家を選んだか。 ジャンケット(フルーチェみたいなものだろうか?)食べながら、一見、回りくどい捜査をしているけど、ズバズバ核心をついてくるニューハウス警視。この人が主要登場人物の中で唯一(?)の一貫した良心の持ち主だと後々気がつく。 スティーブンの豹変ぶりに驚き、それを受け入れてるアンにもっと驚く。何だこの兄妹?この映画の“時代の先取り感”は何だ?モノクロだけど'65年作品だから、カラーの時代のモノクロ作品。 “初日の部屋”“人形の病院”耳に残る名前。「みんみ~~」人形の声可愛い。 バニーちゃんは4歳だから、5年前にアンがちょっと付き合ってた学校の友達が父親。って事だけど、やっぱスティーブンが怪しい。近親相姦的な…そうなると一番不幸なのはバニーちゃんか。 最初から成立しようのない“バニーちゃん=架空の友達”説。でも観ているとバニーちゃんの存在が怪しく見えるから不思議だ。一度も登場してない、都合よく写真もない。 ガラスを割ってバニーちゃんを助けに入るアン…と思いきや、保育園からバレずに誘拐したスティーブンを褒めてる。いきなり飛び込んできたアンに驚かないスティーブン。もしかしてこの事件全体が兄妹の遊び、行方不明ゲームなのか? しかし何故、アンがブランコでスティーブンの気を引いてるとき、バニーちゃんは人形を抱いて寝たふりをしたのか?そしてどうしてそれを劇中丁寧に流したのか?4歳児の気持ちになって考えてみなくては… 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-07-09 23:34:56) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 サスペンスとは何かという私見は他の映画にレビューしたので置いておいて、この映画においては作品後半までは主人公兄妹の怪演やアフリカ帰りの大家、保育所の老女などの脇役の存在により本格ミステリーの体でいながらも、人形の修理店からの一連のプロットでこちらも非常に良質なサスペンスに様変わりするストーリー構成に唸らされました。 前半のミステリーについては、バニーを保育所に預けるシーンや渡英シーンを提示しておらず、観ている側としては警察が疑うのと同様、そもそも本当にバニーは実在するのかという疑念を抱かずにストーリーを追うことは難しく感じましたし、幼少期のアンの架空の友達ごっこのエピソードや、アンとスティーブンがあたかも夫婦であるかのような親密さも謎めいた様相を感じさせ、上述した脇役たちの存在を含め凄く引き込まれる感覚で観れたと思います。 後半の人形店のシーンで、何で室内の照明を付けずに手持ちのライトを持たせるのか一瞬不思議に思いましたが、何てことのない小道具をストーリー進展のキーアイテムに変換するテクニックや、本性を現したスティーブンの顔を抉るようなカメラのズームインなど、小説では決して表現され得ない演出はまさに絶品のひと言。 その後、冒頭で出てきた屋敷に戻ったシーンでは特に庭の遊具で遊ぶシーンが印象的で、「You cheated.(君はズルをしたね)」で心理的な不安感を煽り、極めつけのブランコのシーンでの「higher! higher!(もっと高く!)」は、観終わってしばらくしても耳に残っていたほどですし、カメラを激しく揺れ動かすショットも非常に扇情的なラストとして強烈に脳裏に焼き付く印象的なシーンでした。 ただ一つ気になったのが、オープニングで紙を破って剥がしながらクレジットを見せる演出なのですが、これが謎。玉にキズ。 (突っ込むのも野暮ですが)結局、劇中に紙を破るシーンが一度も出てこなかったのが勿体なく、これが伏線として機能していれば最高だったのにと考えてしまい、上手く利用できなかったのかor他のタイプのオープニングに出来なかったのかなどと難癖を付けたくなってしまいました。 【もっつぁれら】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-25 23:51:15) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 女の子を想像の産物と思わせて、本当は存在していたと明かす展開は面白い。お兄さんの描き方に筋が通っていたらもっと良かったです。主人公がお兄さんを途中まで怪しまないっておかしいでしょう。記憶喪失にでもなってたのですか? 【次郎丸三郎】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-01-12 22:36:25) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 兄と妹がセットで動くってなんかおかしいなあとは思いつつ、“サイコ”要素が入ってくるとは予想外。ネタをばらされてみると色々プロットに粗が見えてきてしまうのが玉にキズ。お母さん、娘が行方不明なんですから、しかも自身が疑われてるんだし「いや実はうちの兄、少しおかしいんですよ」と警察に相談しないかね。とは言っても、そう感じたのは観終わってからでのこと。鑑賞中は孤立してゆく母親の焦燥感とか事件の不思議感の引きが強くて、わーどうなるんだろう、と楽しむことができました。モノクロのシャープな映像も印象的です。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-25 00:04:29) (良:1票) |