7.《ネタバレ》 娯楽作品とは言い難い内容ですが、見る人を選ばないとっつきやすさがあります。シンプルな内容だからこそ、ディテールにこだわって非常に質の高い作品に仕上がっている気がします。 はっきり言って、お金をネコババしようが、警察に届けようが、もっと上手いやり方はいくらでもあります。つまり、この作品の何がすごいって、穴のあるストーリーにも関わらず、ハンクをはじめとする登場人物たちの選択が、『本当にそれしかない』と思わせる演出の上手さだと思うんです。 で、そのストーリーなんですが、人間の隠れた負の部分をひっぱり出しちゃっているんで、見ていて決して気分の良いもんじゃないです。 特に、いわゆる『世間からのはぐれ者』であるジェイコブとルー、それに対するハンク夫妻の対比が凄い。人としての道を確実に踏み外していくのは、良き夫、良き妻であるはずのハンク夫妻のほうである事実が怖いですね。世間一般の水準にあてはめた『善人』『真面目』なんてものが、いかに表面的なものかってのを見せつけられます。ジェイコブとルーなんか、お金が手に入ってもそんなに変わらないので、逆に人としてまともに見えます。 ジェイコブの『飛行機なんか見つけなければ良かった』という台詞が切ないです。ラストまで見たときに、冒頭のハンクのナレーションが意味を持ち始めます。欲にかられて失ったものの大きさを実感させられます。 好きなタイプの映画ではないので、この点数が精一杯です。ですが、私個人の好き嫌いを抜きにすれば、単純に映画としての評価は満点だと思います。ハンクたちは失うものばかりでしたが、この作品を観る人は教訓を得られます。 ただ、小説や映画に感情移入しやすい人は注意が必要かもです。鑑賞前は『これはフィクションです。』『これはフィクションです。』『これはフィクションです。』と3回くらいおまじないをかけておいたほうが良いかもしれません。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-04-20 14:16:06) (良:2票) |
6.元々は警察に届けないでほとぼりがさめるのを待つだけの単純な計画だったのに、偶然が重なり思わぬ方向へと進んでいく。殺さなくてもよかった人間まで殺してしまうことになり、最愛の兄までも・・・。よくありがちなストーリーにもかかわらず、しっかりとした構成と巧みな心理劇で良質のものになっている。冒頭の真っ白な雪と真っ黒なカラスも印象的。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-05-05 21:55:44) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 やっぱり、肩入れしたくなるのはB・B・ソーントン演じる冴えない兄貴。自分でも負け人生を自覚していて、良心のとがめにふらふら優柔不断で危なっかしいねえ。ああ、こんなのが仲間にいたらうまく行きっこないぞう、と予想できちゃう。その弟夫婦、一見、世間的にはまっとうなこの人たちがかなりの曲者。けっこうな小ずるさを正論で糊塗するハンクも嫌いだけど、欲に遠慮の無い鬼嫁ブリジットが怖い。ことごとく裏目に出る彼女の計画ったら冷血だわー怖いわー。ついにはヨメよりはるかに小心の主人公、札束焼却にて証拠隠滅。しかしヨメとの溝はもはや埋め難く残ったであろう。手に入らなくとも大金とは人生を狂わせるものなのね。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-08 00:30:37) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 なんでこんな事に。。。 【ないとれいん】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-04-26 00:02:22) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 楽しい作品ではないですが、欲に目がくらんだ人間の変貌ぶりが堪能できます。なかなか良い所に目を付けていると思います。これって嘘を付くとそれを隠すために嘘を付くのと一緒です。飛行機がバレないようにと、人を殺し。殺しがバレないようにと事故死に見せかけ。事故の真相がバレないようにと友達を殺す。善人だった主人公の転げっぷりには驚きましたが。やっぱり、この話が面白いのは、ただ単にお金を拾っただけなのに殺人まで犯してしまうと言う所ですね(しかも身近にありそうな話)。主人公も怖いけど、最後までお金に執着していた奥さんも怖かったです。 【taka-104】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-09-15 00:20:54) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 この映画に描かれた人間模様が果たしてリアルなのかリアルでないのか、それすらも普通の日常を暮らしている私たちにはわからないような設定ですが、やけにどこかでありそうな物語なのが面白かったです。スノーモビルの事故に見せかけてしまうところは当然ながら、雪国という設定をうまく生かした展開や演出が秀逸です。夫婦間の諍いで収められてしまったブレント・ブリスコーは可哀想な気がしましたが、似てもいないしあまり釣り合っていない兄弟のようでしっかりお互いを思い合っているビル・パクストンとビリー・ボブ・ソーントンのコンビがよかった気がします。最初は消極的で自他共に認める有識者だったビル・パクストンの言い分が徐々に変わっていく様子が、静かに狂い出す人間像をリアルに表現していて、観ていて少し恐ろしくなりました。それでも結局は札束を隠して得をするような、非道徳的な結末で終えなくて良かったです。ラストに札束を守ることとは別の切り口の山場が用意されていたのも良しです。 【Thankyou】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-11 23:33:16) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 「人間にとって、一番大切なものは何か」。まさにシンプルながらも、未来永劫、語られ続けるであろう普遍的なテーマがサスペンスを下敷きにして見事に描かれている。
それは人によって違うかも知れないが、当然のように身近にあるものほど、その恩恵や大切さには気付きにくいもの。最初、主人公は既にその「大切なもの」をほとんどすべて持っていた。だが、その事に気付いていなかったが故の悲劇がここにある。
突然手に入った大金に目がくらむ事は誰にでもあるかもしれない。しかし、貧しいながらも傍らにあった、当たり前のような「日常の平穏」や「家族」「友人」を犠牲にしてまで手に入れる価値のあるものなど、多分ありはしない。 【FSS】さん 7点(2004-07-25 20:04:00) (良:1票) |