4.《ネタバレ》 久々にDVDで見直しましたがやはり何度観てもいい映画です。僕のお気に入りのジャンルにロードムービーがある。そしてそれがバディムービーならなお良い。その2人の男が不器用でカネも無いけどささやかな夢があり、憎めない愛すべき連中ならなお良い。そんな奴らが旅をするのは埃っぽいアメリカの中西部ならなお良い。旅はヒッチハイクや貨物列車のタダ乗りがいい。そんな二人が喉の渇きを癒し、空腹を満たすのは街の中のしゃれたレストランではなく、寂れた町の埃っぽい道路脇に佇む小さな店でなければならない。そんな店でまずは煙草か安葉巻に火を付け、熱いコーヒーかよく冷えたビールを頼む。食事はオートミールやトーストにスクランブルエッグ、ベーコンやポテトがいい。(一度アメリカに旅行してこんな店でこんな食事をするのに実は憧れているんですよね。)つまり本作は僕の大好きな設定がこれでもかと言う位揃っているのです。大男で血の気の多いマックスと小柄で実は繊細なライオン、このコンビも実にいい。マックスが小柄なライオンの肩を抱き語りかけるのですが、これがまたいい絵なんですよね。更にこの作品は最初と最後が素晴らしい。殺風景な田舎の一本道で二人が出会う。お互い意識しながらも微妙な距離感を保っている。そんな様子が可笑しく、そんな二人を結びつけたのが一本のマッチの小さな炎というのがまたいい。デトロイトには悲劇が待っていましたが、「俺一人じゃダメだ。あの電話ボックスに戻ってやり直そう」と語りかけるマックスの姿は何度観ても泣けます。マックスがデトロイトーピッツバーグ間の往復切符を買うラストは2人のこれからに小さいながらも確実に希望を感じさせてくれます。そして靴の中に隠した金を出すマックスを見て寝る時も靴を枕元に置いて片時も離さない理由がよ~く分かりました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-06-29 19:51:31) (良:3票) |
3.「成功した映画」かどうかはともかく、ワタシにとっては「好きな映画」であるという、ただその一点。物語だけを取り出してみれば、実は結構、作り物めいたクサイお話なんだけども、2人のクセモノ俳優による自由で気ままな(に見える)やりとりが、違和感を感じさせず、これぞまさに映画の勝利、だと思う。映画冒頭にて、まるでどこか地の底から湧いてきたように登場する、どこの馬の骨とも知れぬ2人の風来坊、最後まで馬の骨に過ぎない2人であるけれども、映画を通じて、我々も彼らにある種の友情を感じずにはいられない。この映画の主人公2人とは、人生の主役(ハックマン)と人生の脇役(パチーノ)であって、この物語は結局、「脇役が最後に主役にさせられてしまった瞬間の悲劇」を描いたものだと思っている。それにしても何と暖かく描かれた悲劇であることか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-05-16 12:00:36) (良:1票) |
《改行表示》 2.大学生になりたての頃に観て、すごく衝撃を覚えた作品。最初のマッチ擦り擦りの出会いから最後の靴のシーンまで、ストーリーは淡々としたものだし、派手な展開もないけれど、作品自体がとても「向き合っている」という印象を受ける。その当時、凡百のエンターテイメント作品に飽き飽きしていた僕にとって、この真摯なロードムービーはかなり心に堪えました。人が真っ当に生きていく為に大事なものとは何か? 信じることに疑問が生じ、優しさに裏切られ始めたあの頃。人生って、ちょっとしたボタンの掛け違い、ほんのちょっとした思い違いで取り返しのつかない事態を招いてしまう。それは当たり前のことなんだけど、取り返しのつかなさがあまりにも境遇的なところに因っていて、そのどうしようもなさが辛い。。。 誠実さの行く末とはいつもこんなものなのかなぁ、と。ある意味でそれはアメリカ的な現実で、そんな現実の側面に当時の僕はささやかな衝撃的を受けたのだと今では思う。それは単なるニューシネマ特有の青さかもしれないが、僕にとってものすごく切実だったのです。とても思い入れのある映画、故に大傑作です。 【onomichi】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 16:08:29) (良:1票) |
1.初めは異常な厚着だったハックマンがいつしか薄着になっているところ。アル・パシーノの抱えたプレゼントがいつしか薄汚れていることろ。いつも他人のことに頑張って、いつしか自分が壊れていくライオン。カーウオッシュをやろうと言われて、すぐOKするところ。いつのまにか潜水服姿になってるライオン。思い出すと目が潤む。私のベストワン。 【SIG】さん 10点(2003-01-24 19:16:25) (良:1票) |