《改行表示》 8.砂糖を軽くすくい上げ、 すり切る。 スプーンの上に残った分がジョン達にとっての「まっとうな人間」なのだ。 じゃあ、切られ、床に落ちた分は何か... それが、ブランドンなのだ。 どんなに認める人がいようと、愛する人々がいようと...彼らの立場は、まだそんな扱いなのかも知れない。 じゃあ、スプーンの中と床に落ちた砂糖は違うのか? “同じ”だ。 まったく同じ砂糖。床に落ちようが、払いのけられようが、その甘さに違いはない。 “同じ”成分だ。 悲しいことだが、これは一場面で、今日も世界の何処かで、スプーンの上の砂糖はすり切られる。 残酷すぎる一場面が「ボーイズ・ドント・クライ」だろう。 【MAZE】さん 7点(2004-11-17 01:47:24) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 フランスの哲学者ボーヴォワールの「女は女として生まれるのではない。女になるのだ。」という言葉を残した。つまり女性性や男性性というのは社会が作り出したものでしかないという意味だ。男性として生まれた者は男性「らしく」、女性として生まれた者は女性「らしく」振る舞い、行動るすことを社会から強要される。そしてそれを拒むと社会から排除されるということが今でもあるので、ボーボワールの言っていることはとても興味深い。この映画は性差別の中でも性同一性障害について描かれていて、性同一性障害についてよく分かる良い作品であると思う。しかしこの映画には差別の本質を曖昧にしているという致命的な欠陥がある。我々が当たり前のように口にする「男らしくない」とか「女なんだから」という言葉は、性同一性障害の人や同性愛者をある性別の枠組みに無理やり当てはめさせようとすることだ。そしてそういう意味では性同一障害の人に対して誰でも加害者になり得る。このように性別によって、人をある枠組みの中に押し込めようとすることが、性差別や性同一性障害の差別の本質なのだ。この映画では、男は彼女(ヒラリー・スワンク)の男性性を否定し、彼女を女性という枠組みの中に押し込めるために彼女をレイプしている。しかし、映画を見る限り男が何故彼女をレイプしたのかという理由にはほとんど触れていないし、男は狂気に駆られてレイプしたようにしか見えない。しかも、レイプは単純に犯罪として描かれ、性同一性障害への差別として描かれていないのである。すると当初の性同一性障害の話はどこかに行ってしまい、単にレイプされた可哀想な女の子の話として完結してしまっているのだ。性同一性障害の差別の本質を浮き彫りにするためには、何故男が彼女をレイプしたのかという心理に迫る必要があったはずだ。この映画はその一番大事なところがポッカリ抜けてしまっているのだ。これではヒラリー・スワンクの迫真の演技も報われない。残念としか言いようが無い。 |
6.「I love men」な私に、性同一性障害の方の心情は理解は出来ないけれど、ヒラリー・スワンクの熱演を見て、痛みは充分に伝わって来た。二時間の間、ただただ痛い。そして見終わった後、人間という生き物が「他との差異」を認められないうちは、「自由の国アメリカ」にも自由はないのだという絶望感だけが残った。長く人類全体が抱える、肌の色による差別、信教による差別といった重いものから、「ちょっと素敵だな」と思った人が、PCのデスクトップピクチャをモー娘にしていて幻滅するという下らないことまで、人間という生き物は、差別をせずにはアイデンティティーが保てない生き物なのだと、改めて痛感した。それを超えてティーナを愛したラナの、可愛くて、少々野暮ったくて、危うくて温かい、新しい生き物みたいな生き方に、生物としての美しさを感じた。ただここまで、娯楽要素を排除して、見る側の胃を痛くするような映画は、反則技だと思う。良い映画ではあるが、早く忘れたいとも思ってしまう。 【ともとも】さん 7点(2003-12-15 22:09:33) (良:2票) |
5.実話やって知ってめちゃビックリしたケド,でも,救われたのは『ラナ』てゆう人物がほんまにおったってゆうコト。ヒラリーが『性同一障害で,病院に通ってる』て言うた時に『私も,完璧な人間じゃない』て返したのは,見てるこっちも救われた。自分がああゆう立場に立った時に,そうゆう風に相手に言ってあげれるんやろか‥。人にはすすめへんと思うケド,ヒラリーと『ラナ』に9点。 【小星】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-11-14 18:28:37) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 主演女優賞を受賞したヒラリー・スワンクと、助演女優賞にノミネートされたクロエ・ゼウィ二ーの観客を圧倒させるほどのリアルな演技は本当に素晴らしすぎて言葉に出来ない。だから0点は本当に本当に嫌で心が痛むのだが、俺はこの映画に点数をあげる気にはとうていなれない!では理由を交えて書こうと思います。【理由①】 最も描かれていなければならないはずの「性同一性障害」が全然強く描かれていない。これじゃあ「グリコのおまけ」じゃねえかよ!「性同一性障害」の人は本作を見て何か感じ、 得るものがあるだろうのか?絶対に感じるものはないし、得るものもないはずですよ。共感すら出来ないでしょう。【理由②】 例のやり過ぎなレイプシーン&ブレンダンが射殺される後味が最悪すぎるラストシーン(いくら実話でもここまでする必要は絶対にない!)。はっきり言って残酷すぎて「吐き気」がしたし、激しい頭痛になりました。残酷なのは知っていたが、こんなに酷いなんて予想以上でしたよ(汗)。この痛みが完全に消え去るのには数日は間違いなくかかるでしょう・・・。とにかく『ミスティック・リバー』などと同様に高い料金を払って不快な気持ちにあなたはなりたいですか?俺は絶対に嫌です。何があっても固くお断りさせていただきます!だから俺は本作をもう2度と見ることはないでしょう(好きな方、本当にごめんなさい)。 ≪追伸&補足≫ ジョンとトムのイカレ馬鹿野郎2人をボコボコにシバキたいと思ったのは俺だけじゃないはず。本当にムカつきました!みなさんそう思いません?あと本作が実話だと知って本当に驚きました(そう思うとヒラリーの入魂ぶりも納得かもねぇ)。改めて、こんな人権を無視した凶悪な事件は2度とあってはならないと思いましたね。それにしても、、、女と女、愛しあって何がいけないのだろうか?性(さが)がどうであれ、好きな人には変わりないんだからさぁ。「周囲の偏見?」そんなものクソくらえだ!バッカヤロー! 一番大事な事は「自分が自分らしくあるか」ってことなんだよ!!(一部:リンキンパークの♪ナム&ジェームズ・ディーン『理由なき反抗』より) 【ピルグリム】さん 0点(2004-03-26 14:00:42) (良:1票) |
3.話の展開の唐突さ、心理描写の不足、障害自体に対する突っ込みの甘さなど、技術的な穴はいろいろあります。しかし、ラストも含めて、作品としてのインパクトは絶大なものがあります。主人公を、聖人君子としてではなく、むしろすぐに遊び回りたがる困った人物として描いているのが、逆に説得力を強めています。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2003-12-28 02:09:05) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 痛くて痛くて最終的に吐き気をもよおした。でも感じなければならない吐き気だと思う。事件の真相(本当に同性愛者か、それとも男装は自衛の為だったのか)が気になるところ。しかし、映画としてはやや中途半端さが残る。 【らいぜん】さん 5点(2003-11-02 00:32:35) (良:1票) |
1.ラナがブランドンを人間として愛したってところに泣けてしまう。THE BLUEST EYES IN TEXASを聴くだけで胸が締め付けられます。二人の愛は映画のレイプ等の不快を超えて美しいと私は思うからこの映画は大好き。 【クロエ】さん 8点(2002-09-23 18:23:34) (良:1票) |