7.《ネタバレ》 オープニングでいきなり「ジュテム、ジュテム」と電話口で繰り返すジャンヌ・モローを観たとき、何なんだ?この話はぁ~???とハテナマークが飛び交ったんですが、なるほど夫殺しの話だったのね。夫殺し、妻殺しの映画を観て思うことは、そんなにイヤなんだったら離婚すればいいのに。離婚してくれないならともかく、財産も欲しいなんて欲を出すからダメなんだよ、といささか冷めた目で見てしまう傾向にあります。ところがこの映画に関しては、ジャンヌ・モローのあまりにもの思い詰め具合に引き込まれて、もういいとかダメとかそんな判断能力がぶっとんでしまいました。また、コトの真相が解った後のジャンヌ・モローの行動力といったらアッパレの一言。愛人を探して夜の街をふらついていた彼女と同一人物とは思えないほどです。しかも花屋の娘を「小娘」と言い切る彼女は貫禄充分。ロープを忘れるヘマをし、エレベータに閉じこめられ、車を盗まれて殺人容疑がかかり、警察に捕まっていただけの男より、よっぽど彼女自身が夫を殺害したほうが成功率は高かっただろうに。暗室の現像液の中から浮かび上がる写真には本当にドキっとしました。あまりにも綺麗な笑顔だったから。このうえなく幸せという顔をしたジャンヌ・モローが写し出される一方で、絶望の淵にたたき落とされた彼女がいる。すんごい対比です。ただ、あの写真、誰が撮影したんだ~っという疑問は残りますが。 【元みかん】さん 8点(2003-10-24 00:56:55) (良:2票)(笑:1票) |
6.《ネタバレ》 格調高き、元祖・オバカ映画。恥ずかしながら、つい最近初めて見ました。昔ほんのチラッとTVで見かけたときの印象と、あまりに有名なマイルスのテーマ音楽から、こむずかしい話だと思い込んでたので。BSで放送されることを知り、なぜかふと「食わず嫌いはよくないよね~」と見始めたら、「あはははは、おかしい、この映画」とびっくり。ストーリーの発端からしてアホだし(ふつうロープ忘れる?あのシチュエーションで。ありえないことを描くのが映画でしょ、と思ってる私でさえ、口あんぐり。)、全編、アホのオンパレード。やっぱりこんな昔にこんなヘンテコリン(ほめコトバです)な映画を作って喝采を送ってたフランス人て、私たちとはエライ違いだわ。スティール写真やタイトルからは想像できない映画、という点が惜しいですね。こういうの大好きな人が、確実に見落とし(いい例が私)、文芸ものなんかが好きな人が見て、腹立ててる可能性が高いと思うなぁ。とにかく私のようなオバカ映画好きには、出てくる人たちがみんなオバカで(いや刑事は違ったけど。あーそういや、高校の頃、某俳優と名前を間違えて、「リノ・バンチュラ、好き」と言って友だちにびっくりされたっけ。すぐに自分のミスに気づいたけど、当の俳優の名が思い出せず、笑ってごまかしちゃった・・)うれしいし、それと、冷たい雰囲気の美男子、モーリス・ロネがいいわー。今見るとジュード・ロウはロネに似てますね。だから「リプリー」にキャスティングされたのかな(これってもしかしたら有名な話?)。 【おばちゃん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2004-01-04 12:26:45) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 ルイ・マル監督が25才で放ったデビュー作ですが、いきなりこの面白さですから、これはもう素晴らしいの一言です。映画史的にみれば、これはフィルムノワールの傑作とも言えます。ただ、このフィルムノワールの持つサスペンスフルな展開をベースに、都会的ラブストーリーを乗せたことで、次世代、ヌーベルバーグの香りが漂います。個人的には、フィルムノワール、つまりは犯罪映画というよりは、むしろラブストーリーとしての印象の方が強いです。その第一の要因が、全編にわたるマイルス・デイヴィスの甘いトランペットの旋律。次に、ファーストカットです。ジャンヌ・モローの大写から始まり、「愛してる」「愛してる」「君の声が頼りだ」「臆病なのね」「愛は臆病だよ」とくれば、これはもう完全に正真正銘のラブストーリー。そう、これは愛の物語。そして「愛は臆病」であって、それゆえに、愛ゆえの「完全」な犯罪などは到底不可能なのです。実のところ、この冒頭のシーケンスで、この物語の結末が暗に示されていると言っても過言ではないでしょう。若いカップルが車を盗んで、モーテルに駆け込むあたりはヌーベルバーグ。エレベーターという密室の圧迫感と、ラストで現像液から証拠写真が浮かび上がる様はフィルムノワール。そもそもヌーベルバーグと言っても、それこそ様々な古典から影響を受けまくった監督たちが多種多様の映画を生み出しているので、これがヌーベルバーグの草分け的作品であるという位置づけは、正直微妙なところだと思います。ただ、この映画が作成された時期が、フランス映画の一つの「流行」の転換期であったことをこのフィルムが教えてくれるのは確かでしょう。もちろん、こうした映画史的な位置づけ云々を別にしても、非常に完成度の高い、「面白い」映画であることは間違いないと思います。名作です。 【スロウボート】さん 8点(2004-10-11 15:35:27) (良:1票) |
4.サスペンスと言えばだいたい真実に導いてくれる探偵役がいて、観客は探偵役と一緒に事件の解決に向かっていくので、安心して事の成り行きを見守り、必ず明かされる真実の重さみたいなのを感じるのが一般的だと思う。ところがこの映画はまったく逆!真実は解ってるのに登場人物の誰も近づけず、むしろ遠ざかりまったく別の物語を創ってしまう。最後には真実に到達するわけだけど、別の物語ができる切っ掛けが些細な事なら、真実が明らかになる切っ掛けも頼りないものです。別の物語を創造していく過程がやや作為的?な印象もあるけど、真実と言われるものがいかに頼りなく出来ているのかが伝わってくる映画でした。 映画全体としては、事件が思わぬ方向に転がっていくあたりからはテンポも良くていいけど、前半はダルイです…フランス映画にありがちですけどね。 【ペリエ】さん 8点(2004-06-27 15:18:13) (良:1票) |
3.主人公のプレッシャーが観客に伝わる映画。良作。 【Snach】さん 8点(2003-02-07 21:22:14) (良:1票) |
2.白黒ならではの光と影の演出、二人のカップル達の対極的な印象、エレベーターの箱そのものを死刑台にかけてたり、主人公達のあまり大きく動かないが必死になっている表情と最後の写真での笑顔など、いろいろ印象に残ってる映画です。フィルムノワールの一つとして傑作だと思います。 【恥部@研】さん 8点(2002-12-18 16:09:21) (良:1票) |
1.これはいかに一つの殺人が簡単に崩れていくかがクリアに表現されている。映像も音楽もうまい。 【プリン】さん 8点(2000-11-14 12:47:26) (良:1票) |