9. 昨今の映画は男女同権!どころか寧ろ女性が勇ましくメインを張る作品が多いから本作でのバーグマンの微妙なポジションを「打算的なズルい女」としてしか観られず酷評してしまうのカモ。そもそも戦前・戦中の米映画なんて完全に男性中心!よって彼女はボギーのダンディズムを引き立てる言わば”触媒”に過ぎなかったハズなのである。が!しかーーーし、誇り高きバーグマンは敢えて添え物の刺身のツマに甘んじるコトなく、予定調和な職人マイケル・カーティスに敢然と反旗を翻す!!その類稀な美貌と抜群の恋愛感情表現で月並みなメロドラマに過ぎなかったであろう本作に永遠の生命を吹き込んだのだ。加えてボギーの下積みを経た男の渋さ溢れる「キミの瞳に乾杯!」という台詞も相手がバーグマンなればこそ説得力を放つ。悪いがヴェロニカ・レイクやヘディ・ラマーみたいな妖婦タイプの女優がイルザだったらココまで語り継がれる名作のステイタスは(確信を込めて絶対に!)得られなかっただろう。オスカー作品賞・監督賞・脚色賞に輝いたのは戦時下でのウェルメイドなメロドラマに一票!てな感じだったのだろうが、個人的にはバーグマンの圧倒的存在感とサムが歌う「As Time Goes By」なくして本作を語るコトは出来ないと思っている。ドイツが生んだ不世出の名優コンラート・ファイト最後の輝きに…8点!勿論ボギーもニヒルでキマってるけどね。 【へちょちょ】さん 8点(2003-09-07 16:53:58) (良:4票) |
8.カサブランカはドイツ軍が「占領」していたわけじゃありませんね。 一応は、対独協調のフランス・ビッシー政府の行政権の下にありましたでしょう?そのあたりの微妙な歴史的背景の上に、カサブランカという街があったはずです。だから、ナチス占領下のヨーロッパから、自由の国アメリカへ脱出するために、仮想「中立地帯」のカサブランカに亡命者たちが集まってる・・・・・。 製作当時は直面する現実状況、今日的にはそういった歴史的状況から見ないと、作品の総体はたぶん認識できないでしょうね。彼がスペイン内戦やエチオピア戦役で、反ナチス・反ファシスト運動を支援したのは、たまたま敗者に味方したというのではなく、アメリカという国同様に一市民もまた自由の戦士である・・・、そういう立場の表明でもあったわけでしょうね。例えば、ヘミングウェーのように・・・。 まぁ、それはさておき、全てがセットで作られたにせよ、そういった時代の制約や背景を超越して、一つの作品としては、とても「よくできた」映画であることは否定できないでしょう。 最後に、警察署長が「ビッシー水」のボトルを屑篭に投げこんで、霧の立ち込めるなかをボガードと仲良く歩きはじめますが、それまでドイツ軍との狭間で優柔不断だった署長の「決意」を観客に示して幕となるところなぞは、なかなかに憎い演出でした。 |
7.《ネタバレ》 名台詞を目当て観てみたのですが、他のロマンス映画とは一線を画すほどの綿密な脚本にやられてしまいました。正直「君の瞳に……」だとかいうシーンはどうでもよろしい。ただのオーソドックスなロマンスのはずなのに非常に面白い!リックとイルザが初めて顔合わせしたシーンなんかは特にそれが良く出来ている様に感じました。観客が全く知らない関係が二人から自然に湧き出てくる。それを観続ける観客の居心地の悪さ。脚本と演出の力の強さを感じさせられた一本でした。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-03-14 00:23:48) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 最初の方のボギーの酒場の見せ方など、あまり上手い具合にいっていない部分があると思っていたのですが、バーグマンの登場で一変します。彼女は個人的に趣味ではないですし、このキャラクターの心情は男の私には良く分からんのですが、そんな問題を差し引いても多額のお釣りがくるぐらい本作では魅力的に見えます。 例えばボギーと予期せぬ再会を果たし目がウルウルしてくるところとか、夜中に酒場に訪ねて来てドアを開けると光が彼女を照らし出すところとか、こういった綺麗に撮ろうという配慮がなされているからこそ二股状態の曖昧なキャラクターにもかかわらずバーグマンが完全無欠のヒロインになっているのだと思います。 そんな彼女を見送るボギーも格好良くて、キザったらしくて聞いているこっちまで赤面してしまうような台詞をサラリと言ってのけてしまうところがボギーならではでしょう。 それからピアノ弾きが歌う「As Time Goes By」は言わずもがなですが、国家を歌い合うシーンもパワフルです。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-09-11 18:52:01) (良:1票) |
5.男2人があまりにも男前で、自分勝手な女のクソっぷりにイライラしっぱなしだが、いかんせん凄く美人なので説得力はある。女々しいながらも人情家で芯が男前なハンフリーに惚れます。渋く、クサく、男のかっこよさに満ちた名作。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-01-14 10:19:52) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 主人公リックがハードボイルドでカッコ良過ぎ! カッコイイです。ダンディーです。ハードボイルドの鏡です。憧れますわ。 男の僕でもその「男らしさ」に惚れてしまいます。 だって僕は「男らしさ」を持って生まれてこなかったもので、、、 ヒロインイルザの涙が美しい。 「君の瞳に乾杯」。ハードボイルドさに乾杯。最後の友情に乾杯。「カサブランカ」に乾杯! この映画を賛美する僕は「アメリカに媚びている」と言われてもしょうがありません、どうかお許しください。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-01-14 03:57:24) (良:1票) |
3.あるドキュメンタリー映画でハリウッド女優が「男は足の裏みたいな顔でも役があるのに女は若くて美人にしか役がない」というようなことを愚痴っていた。「足の裏みたいな顔」というステキ発言に対して、私がまっさきに思い浮かんだのは申し訳ないがボギーだった。そんな足の裏が、「君の瞳に乾杯」なんて大真面目に言っちゃう名作。渋いボギーの魅力、バーグマンの美しさに加え、翻訳のこの映画への貢献度はかなり高いと思います。最優秀翻訳家賞があるとしたら殿堂入りです。
【きむねぇ】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-06-26 22:30:51) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 実はウディ・アレンの『ボギー、俺も男だ』(カサブランカのパロディ)を見たいがためだけに見た映画だったんですけど、さすがに面白かったですね。ていうか、署長唐突にかっこよすぎるだろ!ってとこが一番良かったですね。あとプロパガンダ映画って書いてたりするんですけど、DVDの解説を見る限り、少なくとも国主導の作品ではないようです(ただ当時は検閲があったので、どうしたって国は介入しますが)。原作は未発表の戯曲だったようですし、結果的に戦意を高揚した的なことを言ってました(でも、明らかにそういう意図は見えます)。ただ戦争中につくられた映画に中立性や客観性を求めるのは酷というもんです(検閲があんだもん。それに普通心情的に自国と同盟国をどうしたって良く描くでしょう)。この映画はむしろ娯楽映画としてのできがいい。今でも人気があるんですから。ただ主人公二人はあまり善人じゃない。 |
1.最初に見たのは多分中学生の時。当時流行っていた「ベルサイユのバラ」で今のフランス国歌がどのようなものなのかをかじっていたので、歌合戦のシーンで熱くなったのを覚えている。その後何度も観ているが、現在の私にとっては、これは、俳優ではなく、酒場が主役の映画。個人的な感触では、酒場の映画と聞いてこの映画をあげる店主が開いている店にはまずはずれがない。突っ込みどころとしては、確かに美人なのだがスウェーデン出身の大女をどのように撮っているかが面白い。バーグマンはボガートより身長が若干高いはずなのだが、フランスにいたころの回想シーンなど、二人が並び立つシーンでは、ボガートの方が背が高く撮られている。多分、上げ底の靴を履かせたか、「雪洲」させたか、何がしかの工夫がされたのだろう。ラズロ役に身長190cm以上の役者を配したり、最後の飛行場のシーンのように、男二人はまっすぐに、女は斜めに帽子を被らせたりなど、なんとかしてバーグマンの背の高さを目立たせないような演出をしているところに作り手の苦労の跡が見える。 【南浦和で笑う三波】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-11 16:54:05) (良:1票) |