4.《ネタバレ》 こんなに幸福なラブシーンがあるだろうか。女の子がなりたいものは「お嫁さん」という気持ちもわかる。かつては、こんな幸せな映画があったのだから。今は2時間の映画の中で女性と男性が出会って、すぐラブシーンなんかあるから、何か薄っぺら~いもののように感じられて、性の解放なんて叫ばれたが、やはり人生は二人の男女が共にお互いを大事に思い、その愛の結実として、二人が抱き合う、そういうものではないか。結婚が何かつまらないことのように感じられて、少子化である今、このような映画こそ、創られるべきではないか。というより、熊井啓監督は飽きさせない展開で、この純愛を描いた。が、男女の恋愛というのは、本当飽きさせない展開で、若者は映画なんか観てるより、お互い大事に思える異性を探すべく、「旅」に出るべきだ!などと思ってしまった。社会派の熊井監督は、この男女の背景に当時の社会的状況を置いて、この映画を描いたが、本当は男女の愛とはこうあるべきだというテーマこそ描きたかったのではないか?この映画を観て、夜、レンタル屋に返しに行く町の風景が、東京から故郷へ帰る夜汽車から見えた地方の町の風景と同じように感じられた。 【トント】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-05-17 23:49:12) (良:1票) |
3.話そのものは今から見るとどうってことはない少し暗めのラブストーリーなのだが、全体的に白黒であることを生かした美しい映像が印象的だった。熊井啓監督は撮影時、体調がすごく悪かったと聞いていたが、それでも(傑作かどうかは別として)それを感じさせないとても完成度が高い作品になっているのはちょっと驚かされる。ヒロイン役栗原小巻がとても美しく、今までも「男はつらいよ」シリーズのマドンナ役とか見てるけどここまでとは思わなかったし、見ていて可愛らしく思える。相手役の加藤剛は実は「砂の器」しか見たことなかったのだが、ここでも暗い過去を持つ役柄を演じていて和賀英良と少しダブって見える。(劇中、彼が演じる哲郎の口から「宿命」という言葉が出て、やっぱり意識した配役なのかと思ったら、「砂の器」よりも前の作品だった。)そんな二人が初夜を迎えるクライマックスは卒倒しそうなくらいにドキドキしてしまった。このシーンをめぐって吉永小百合が降板したエピソードは有名だが、原作小説が出た60年代の初めにも映画化が企画され、監督には川島雄三が予定されていたんだとか。洲崎橋でのシーンや哲郎の実家が青森という設定なのを見ると、ぜひとも川島監督で見たかったという気持ちになり、個人的には川島監督で実現しなかったことがとても残念に思えてならない。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-15 23:58:08) (良:1票) |
2.クライマックスにヌードシーンがある事で、当初ヒロイン役に予定されていた吉永小百合が拒否して役を下り、栗原小巻が新たにキャスティングされたという逸話が残されている映画。この年のキネマ旬報ベストワンにも選出された作品。全編、ホントにキレイキレイ、まるで栗原小巻が着る丹精こめた手織りの花嫁衣裳みたいにキレイな映画。モノクロ映像も、主役コンビお二人も、ストーリーも、細部に至るまでとにかくきめ細やかな美しさに彩られた作品です。「相寄る魂」っていうのはこの映画の主役二人にあるような言葉みたいです。今はもう残されていないであろう、下町木場洲崎あたりの材木貯水池の情景なんかもすごくいいです。自分、昔の日本映画で舞台になった東京の風景を、暇な休日とかにテクテク歩いて探してみるのが結構好きなんですが、残念ながらもはやほとんど失われているんですよね、30年前のこの頃の風景でさえも。あまり映画の印象と変わらなかったのは柴又帝釈天くらい。・・・なんか悲しいなあ。ついでにこの映画のレビュー数の少なさも。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-12-09 11:14:59) (良:1票) |
1.忍ぶ川というのはヒロインの志乃が働く小料理屋の名前。 そこで訳有りの27歳の大学生哲郎と出会って、というラブストーリーなのだが主演するのが栗原小巻、加藤剛というこの時代きっての美男美女カップル。当時はただもううっとりロマンティックだった。 久々の再見ではそれ以上に、傷ついた魂が寄り添いあうような純愛が静かに激しく感じられてやはり感動する。
二人とも家庭的に暗い影を負っているが木場、洲崎とそれぞれの思い出の土地を歩き過去を打ち明けあう。 お互いの傷を感じて親しみを増し、志乃の実家栃木を訪ね家族に会うが父の死で一家は離散、紆余曲折の末彼らは哲郎の故郷秋田で結婚する。暗い過去に決別し、二人がここから新たな人生を生きていくというまさに人生の門出。
昔見た時もこの結婚初夜が印象的で、特に毛布に二人でくるまって雪明りの道を行くソリの鈴の音を聞く所が美しい。 加藤剛は和製G・クーパーといった感じなのでそれはもうウットリの美しさで、小巻さんもしとやかな美しい女性像なので男性ならメロメロでしょう。 この年このカップルで「忍ぶ糸」というのもあったが、こちらよりはずっと印象深い作品です。
【キリコ】さん 8点(2004-06-06 16:39:28) (良:1票) |