6.《ネタバレ》 実際の事件(参考:http://ifinder.jugem.cc/?eid=190)とは大分違うが、この事件をそのまま描いたらすさまじく陰惨な映画にしかならないことは想像に難くないので、この程度の描写が限界だっただろう。そうであっても、この映画が描き出している事柄は重い。
■この映画での長男は、並大抵の大学生よりはきっと「大人」だろう。誰かにやさしくしてもらいたいくらいの年頃で、誰にも頼ることもできず、一人で3人の弟・妹の面倒を見続けてきた。(頼ってくる人はいても)頼れる相手がいないという意味では「孤独」だったのだろう。一方の弟・妹も、(恐らく)生まれてから一回も外に出たことがないような生活を強いられるというのは想像を絶する。
■子供を産むということは、それだけ責任を伴うということだ。それまでは自分の好き勝手に生きることを許されていただろうが、親になってしまえば自分を頼ってくる子供がいるのであり、それに答えられる人間に親はならなければいけない。この映画の母親は、そのステップを踏みそびれてしまい、「のんきに遊んでいられる一若者」の精神で子供を次々作ってしまったのだろう。
■ただ、映画の展開としていくつか気になるところもあった。例えば、途中からかなり尽力してくれる紗希が中学で激しいいじめを受けているという設定があまり生かされていないように感じた。彼女は数少ない外側の世界との接点なのだから、そこはもっと踏み込んでもよかったと思う。 【θ】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-08-27 01:34:12) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 カンヌ国際映画祭で賞を受賞し、世の人々に注目された本作。賞がなければ文字通り「誰も知らない」作品になっていた可能性もあるくらい小さな作品なのだが、インパクトとメッセージ性は大きい。本作で注目したいのは、「いつの間にか」や「何となく」の表現の仕方。現実の世界で、つい最近出会った人と「いつの間にか」仲良くなっていたという経験はないだろうか?初対面のことは覚えているのに、仲良くなっていった過程は「何となく」しか覚えていないのである。例えば、明が近所の中学生と友達になる過程。ここでは明がゲームセンターへ行き、店内を見て周るというシーンしかない。その後、明が笑って友達と自転車に乗っているのである。同様にして、紗季と出会うシーンもそうだ。こんな風にして、人との出会いは「いつの間にか」ということが多い。しかし、本作にはそれが落とし穴なのだということが描かれていたように思える。母は、きっと「何となく」生きてきて、「いつの間にか」子供が4人もいて、そしてまた「何となく」生きているのだ。子供を持つことは「何となく」では済まされない。本作が「誰も知らない」作品にならなくて本当に良かったと思う。 【こばやん】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-11 21:41:15) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 わたしは冬になると着込んだ子どもを見るのが好きです。三頭身がもこもこしている姿が単純にかわいいということもあるけれど、子どもに寒い思いをさせまいという親御さんの愛が感じられるからです。 だからこの映画はきつかった。ネグレクトという暴力にさらされる4人の子どもたち。下の妹は外出するための靴すらないではないか。 社会に衝撃を与えた事件でしたから、よく覚えています。冒頭で監督が述べているとおり、この作品は実事件をモチーフにしたものですから、報道された内容よりマイルドではあります。 映画はドキュメントではなく出来事の本質を訴える媒体であると考えるに、本作はその役割を果たしていると思えます。陰惨な描写のみに終わってしまえば観る者の心を折ってしまうし、それは監督の狙うところではないでしょう。 子役がお芝居しているように見えないこと、特に柳楽優弥の瞳の饒舌さには心を射抜かれました。柳楽が全身で訴える傷だらけの13歳。明を思うと心の震えが止まりません。 「誰も知らない」のではダメなんだやっぱり。明に手を差し伸べることができるなら、お節介おばさんに積極的になろうと思いました。 【tottoko】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-01-12 23:34:06) (良:1票) |
3.演技レベルの高い映画でした。みんないい顔してる。 悲しい映画だけど、子供の強さを見た。小さな幸せがすべてな世界だった。 すごくピュアな世界があった。 そしてそれが、たまらなく悲しい映画だった。 【しゃっくり】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-02-11 02:31:32) (良:1票) |
2.どこまでも希望がない話で、見ててつらかった。母親が帰ってくることを信じて、狭いアパートの中で一日が過ぎるのをじっと待っている子供たちの健気さに胸が締め付けられた。YOUは地で適当な性格に見えるからあの母親役ははまり役だったと思う。ゆきが死んだことも知らず、おちゃらけた手紙とともにお金を送ってきた母親に本当に腹が立った。親だけでなく、コンビニ店員とか近隣の住民とか誰かしら子供たちに気づいていたはずなのにもう少し踏み込んで子供たちを助けることはできなかったのかなと思うとやるせない気持ちでいっぱいになる。 【およこ】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-11 12:30:18) (良:1票) |
1.柳楽優弥が賞を獲ったけど、出演者みんなよかった。個人的にYOUが助演女優賞でもよかったじゃないかと思った。リアルに帰ってきそうにない。「あの後どうなったの?」と言いたくなったけど、そこから「きっといい方向に向かっていっただろう」と想像し、願った。 【Syuhei】さん 7点(2005-03-23 15:36:04) (良:1票) |