9.淡々と流れていく日常の中で、登場人物が誰1人悪意を持って子供達に接していないところが自分にはとても辛かった。あまり辛すぎて、何度も途中で止めようかと思った。でも、絶対に泣いてはいけないと思った。泣く事ではなく忘れないということがこの映画を尊重する事だと思う。この映画は事実より作られているが、実際の事件とは全然違う話なので、ドキュメンタリーではなくて一つの『映画』として見るべきかな? 【さら】さん 8点(2005-03-22 10:54:26) |
8.「誰も知らない」――鑑賞中、この題名を何度も頭の中で呟いていた。 来るはずのない母親を駅まで迎えに行く二人の姿、モノレールの光。援助交際で得た金を受け取ることができず、街を駆け抜ける明。暗い飛行場で穴を掘るガリガリという音。暗い道を子供だけで歩く場面を観ていると、子供の頃に迷子になってしまったときの心細い気持ちを思い出す。 あの頃は、ちょっと親とはぐれてしまっただけで、もう二度と会えないんじゃないかとパニックになって泣いていた。この映画を観ている間、ずっとそんな心細さが胸を占めていた。子供たちはこんなにも危ういのに、「誰も知らない」。哀しく、辛い題名だ。呟くだけで、寄る辺ない感じ、どうしようもない心細さが襲ってくる。安心できる居場所、守ってくれるものが何もないという途方もない寂しさ。痛みに満ちた映画だ。この痛みは決して忘れることができないと思う。 【no one】さん 8点(2005-03-20 10:06:05) (良:2票) |
7.是枝監督という人は、そのドキュメンタリー的手法を用いて、いわゆる「物語」の枠組みからこぼれ落ちてしまうモノ(物・者)たちを画面に捉えようとしている作家だと思う。・・・と何だか偉そーな言い方をしてしまったけど、要は現実ってそんな起承転結とか、或いは良いモンと悪モンとか、分かりやすくなってるわけではないじゃん。それを強引に分かりやすい形で解釈しようとすると見えなくなってしまうものがある、と言いたいのじゃないかな。例えば・・・例えば、第二次世界大戦中のユダヤ人とか、或いはフセイン政権下のイラクの人々とか、そんじゃなかったら今の北朝鮮の人々でもいいんだけど、大体「悲惨」という風に思われてるでしょ。いや、実際悲惨だろうし、ナチやフセインや将軍様を正当化するつもりは毛頭ないよ?んでもさ、だからって人々が四六時中ずぅーっと悲しがってて良い事なんか一つもなかったか?っつったら、それも違うと思うんだよね。きっと悲惨な暮らしの中でも、ささやかな喜びとか幸せとか笑いとかあると思う。人間は弱いようで強いし、誤解を招くような言い方だけど悲惨な状況下にある人々を単に「かわいそうな人」と捉えるのってかえって失礼な気もするんだ。で、話を映画に戻すと、確かに現実に起こった事件も映画の中の出来事も「悲惨」だし、その罪を問われるべき人もいると思う。でも、そういう中でもおそらくあったはずの幸せとか喜び(別の言い方すれば、人としての「尊厳」)が、この映画の中には込められている、と思う。で、カンヌとかは別に関係なく、僕はこの映画、好きです。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-10-27 19:57:21) (良:2票) |
6.まだ12歳なのにしっかりしているなと思いきや、途中から不協和音が聞こえだし、母親の身勝手さを散々見てきたのに、それと同じようなことをしてしまうというそのギャップが印象的です。 柳楽君の演技はカンヌで賞を取るほどのものでしたが、僕はこの四兄弟の中の長女役の子がもすごいと思いました。兄を見るときの眼差しがすごかったです。 これが実際の事件を基にしていると言うから驚きです。母親の無責任さを憎むものでもなく、子ども達に同情するでもない、どういう感想を持ったらいいのか分からないけれど訴えかけてくるものがある不思議な映画でした。 【暇人】さん 8点(2004-09-28 10:21:36) |
5.危ない映画。「バトルロワイヤル」以上に18禁でしょう。子供達をこんなにエロチックに描いた日本映画は稀かも。明のほとばしる汗、ユキの可憐な指、清楚なセーラー服。東京の無表情な四季を通して、子供達の性と生と死を非情に描いている。ユキを羽田に埋めるシーンはまさしく“禁じられた遊び”の無垢なるいたずら。ロリコン・美少年趣味・死体愛好家の皆様は大喜び。変質者がかった見事な演出に拍手を送りたい。名作! 【つむじ風】さん 8点(2004-09-23 02:01:27) (良:1票) |
4.演出をしてなく、とても観にくい映画であった。だが、演出されていないということは、ある種の感動やある種の憎悪を増長しないということだ。そのため、多分見た人は同一の答えを持ち合わせない映画と思う。つまり、自分自身がどう考えているかを認識できるという映画だということだ。 自分は、どう感じたかというと。子供は、親の枠でしか生活できないが親の枠から外れた時こそ本当の幸せを手に入れることが出来るのだと思う。(公園で遊んでいた子供たちの笑顔)また、少年少女達の非行は大人汚されることによって起きているのだと思う。(援助交際のシーン)そして、その汚れを落とす為に誰かに擦り付けたり他人にも自分と同じ汚れを与えようとするのだと思う。(イジメのシーン・万引きの強要) たぶん、これは自分がまだ子供だからそう思うのだろう。 【NAYU】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-09-03 20:03:23) (良:1票) |
3.柳楽くんだけじゃなく子供達みんながセリフをしゃべっている、演技しているという感じがしない。母親のYOUと子供達のやり取りでもそう。回しっぱなしの隠しカメラで日常を撮ったように自然な感じがする。 それくらい普通っぽくリアルな映像で淡々と描かれるのでとても不思議な感じのする作品になっている。
長男の明は無責任な母親にあとをまかされるとなんとか兄弟の世話をして期待にこたえようとする。この世でたった一人の頼りになる大人がいなくなったのに、子供なりに知恵を絞って生きていく様子がけなげで逞しい。 映画は母親や父親、接点のあった近所の大人たちなどをことさら非難するでもなく、子供達を哀れむようでもなく、ただ淡々と子供だけが放り出された生活を描写するが、子供達の表情や生活状況からは少ないセリフ以上のものが伝わってくるので様々な思いがわいてくる。それこそがこの映画の狙いかもしれない。
題材がそもそもインパクトが強いこともあって、面白かったとか感動したとかじゃない、一言ではいえないような複雑な、たくさんの感慨がのちのちまで尾を引いて残る。 子供達が演技してるんだか素のままなのか判断がつきかねる、、というのでは「ポネット」のビクトワールちゃんが一番近い感じかもしれないと思い出したが、こういう作品(作りも感想も)はとても珍しかった。 明以外の子供達もみんな素晴らしくてびっくりだったが、それを引き出しカメラに収めた監督が一番うまかったのかもしれないと思う。柳楽くんは子供を代表して賞をもらったという気もする。 点数は悩んで・・7.5点といったところだけど未だにインパクトが強いのでやはり8点に。 【キリコ】さん 8点(2004-08-26 21:11:57) (良:1票) |
2.是枝監督の映画は全て見ているが、今回の作品が一番痛い。 子役の演技は素晴らしかったです。彼ら全員に賞を与えてもいいような…。 無責任な大人には絶対ならないぞ!と、心に誓った僕です。
【ふくちゃん】さん 8点(2004-08-24 23:45:26) |
1.胸をかきむしられた映画でした。下の彦馬さんの書き込みによれば監督が泣き顔は撮らないと言っていたそうですが、なるほど確かに泣き顔はなかった。それが象徴しているように非常に淡々とかつ綺麗に映画はすすんでいきます。そして僕の胸をかきむしり傷跡を残したのはその静かさによるところが大きいとは思います。ただそれはそうなんですが、あまりに禁欲的すぎたような気も。難しい所ですが。もう一度映画館で見たい気もしますが、最初の家族5人揃ってるシーン見たら号泣しちゃいそうで怖い。 【馬飼庄蔵】さん 8点(2004-08-23 15:43:23) (良:1票) |