5.おっさんたちの顔がイイね! 【k】さん 8点(2004-05-31 12:27:43) (良:1票)(笑:1票) |
4.エネルギーの主流が石油に代わり、非効率な石炭は姿を消していきます。利益を追求する資本主義の世の中では当然のことですが、そこで生活してきた人たちにとっては、受け入れ難い現実でもあります。こうした時代の波に流される炭鉱の町を通して、経済的に豊かなことが幸せであると思われがちな中、人生には、それ以上に重要なことがあることをこの作品は示しています。誰にでも、金で買えない、妥協できない、大切なものがあるはずです。彼らにとって、それはまさに、ブラスバンドの演奏でした。悲しく厳しい現実の中、悩み苦しみながらも、最後は、見事な心意気を見せてくれます。家具がなくとも、アルバートホールでの優勝のほうがはるかに誇りになることか。貧乏でも威風堂々の人生を歩むべきなのかもしれません。 【パセリセージ】さん 8点(2004-03-30 00:54:23) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 イギリス・ヨークシャーの炭鉱町のブラスバンドが全英コンテストを勝ち抜いていく素晴らしきミュージカル映画、、、ではない。この映画は、とてもポリティカルな作品であり、その全てがダニーの最後の演説にあったのではないか。
ロイヤル・アルバートホールでの大会決勝戦。炭鉱の閉鎖、失業、借金、家族離散、闘病、自殺騒動など、幾多の困難があり、それでも音楽を自らの誇りとして、バンドメンバー達は決勝の舞台に立つ。最高の演奏をして、優勝を手にした彼らの喜びは本物であったに違いない。バンドが生き甲斐であり、全てだったダニーが観客を前に言う。「以前は音楽が大事だったが、人間の大切さには及ばない」と。炭鉱が閉鎖され、失業し、生活の糧を失って、それでも彼らは音楽を続けていくことができるか? 答えはノーだと。
1984年の全英ストから10年。イギリスはサッチャー首相の元、「小さな政府」を政策の根本として財政を立て直し、様々な民営化や規制緩和を進めた。その結果、新自由主義、経済至上主義の中で地方経済はズタズタとなり、失業者が溢れることになった。そういうイギリスが抱える背景の中に、この物語はある。
アルバートホールでの決勝戦、彼らは素晴らしい演奏をして優勝した。しかし、音楽は彼らの生活を救わない。その将来に明るい希望は見えない。最後の演奏は彼らの音楽に対する信と自らの誇り、そのギリギリの成果であったが、将来に生きる希望がなければ、その意志は持続しないのだと。状況は、正にBrassed Off (うんざり)なのだ。
それでも、僕は思う。この映画の素晴らしさは、やはり音楽にこそあると。ダニーの病室の前で、メンバーたちがヘッドライトを付けながら演奏する「ダニー・ボーイ」。テナーホーンを失ったアンディが口笛を吹く。音楽は、言葉や政治、諍いを超えた感動をもたらす。それが何かを生み出すという可能性。ダニー親子を救い、彼らをギリギリのところで繋ぎとめたのは音楽だった。そういう音楽の力を感じさせる素晴らしきミュージカル映画、、、かな。やっぱり。 【onomichi】さん [インターネット(字幕)] 8点(2012-07-23 08:14:35) (良:1票) |
2.炭鉱閉鎖がらみの映画に出てくる頑固親父って、なぜか人間的魅力が溢れてる気がします。前半はどってことなかったんですが、「ダニーボーイ」で涙が出たら、もう後は滂沱の涙。普通のおじ様方が、普通に楽隊が好きで演奏してる、でも生活もあるんだよーという葛藤が心に沁みいります。 【HIDUKI】さん 8点(2004-01-10 02:38:49) (良:1票) |
1.「フル・モンティ」最近では「リトル・ダンサー」そしてこの「ブラス!」。こういうイギリス映画を観るたびに、今の日本を嫌でも考えてしまう。サッチヤーは鉄の意志をもって構造改革を成し遂げたが故に、現在のイギリスの復活がある。日本人は果たしてその痛みに耐えられるのだろうか。「ダニー・ボーイ」、「威風堂々」ブラスバンドの演奏も良かったし、ピート・ポスルウェイトの飄々とした演技も味があった。 【向日葵】さん 8点(2001-05-13 10:37:15) (良:1票) |