4.乱歩好きにとって、乱歩映画は、見るのがちょっとオソロシイのです。あの世界観を映像化することによって「ゲテモノ」に成り下がる可能性が容易に想像できるので。実際「ゲテモノ」系映画もありますし。そんな中で、本作は、原作を思いっきり換骨奪胎し、独自のワールドを作ったことで、映画として、なかなか上質なものに仕上がっていると思います。中でも、美術は素晴らしく、あのアトリエは、原作の描写にかなり忠実に再現されており、よくぞ作ったものだ、と感心します。「盲獣」というには、船越英一はキレイ過ぎる感じはありますが、緑魔子を配したのは大当たり。余談ですが、昨年の大河ドラマに彼女が怪しい老婆役で出ていたのを見たときは、感動しました。NHKもなかなか良いセンスしています。てなわけで、ラストへ向けて一気に倒錯世界が全開になるわけですが、まあ、とにかく、こんな作品が40年近く前に作られていたことに注目ですね。乱歩好きとしては、怖いもの見たさで『芋虫』を映画化して欲しいものです。ま、ムリでしょうが。 【すねこすり】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-07-28 15:49:12) (良:2票) |
3.船越英二氏といえば、近年ポリデントのCMで、孫役の娘に「おじいちゃん、口くさ~い」 なんて、暴言浴びせられながらも「えへらへら♪」と笑ってたダメダメじいさん的なイメージが記憶に残ってしまった というのが非常に哀しく残念で、自分的には、熱中時代先生編で 凛となさって優しく寛大な姿でいらっしゃった校長先生役のイメージが今でも鮮明に記憶に残っています。たかが私如きが言うのもなんですが、非常に良い役者さんだったと思います。 しかし、そんな船越英二氏が若き日にこれほど変態チックな 「●くら」役に挑戦なさってたなんて、、ちょいとびっくらいたしました。 ※ 「●くら」については今でいう差別用語にあたるのであまり連呼できません。 劇中、英二氏は これでもかってほどに何度も何度も連呼なさってましたね 古き時代を感じます・・
【3737】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-11-03 15:51:59) (良:1票) |
2.船越英二が“キチガイめくら”に成りきっているのがまず素晴らしい。
触覚だけが異常に発達した船越英二は、理想の体と肌を持つ女性を見つけ出し、自室のアトリエに監禁することに成功し、日夜からだを触りまくる。 そしてついにはその女を犯してしまう。
なんという偏執的でエロティックな設定なんだろう。 やっぱり、こういう設定を考え出した江戸川乱歩という人は偉大だ。 偉大すぎる。
しかし、その乱歩が描き出す世界は極めて小説的であり、それを映像化することは困難である。 本作がその困難さを乗り越えたかといえば、やや疑問。 やはり、乱歩が創りだした倒錯の世界は、小説の中だからこそ生きるのではなかろうか。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-11-25 01:28:51) (良:1票) |
1.スッゲェなぁ、こりゃあ…。盲目故に妄想を誇大化させ、触覚を鋭敏に研ぎ澄ませた男。獲物となった女は闇に囚われ、やがて自身も光を失い、触覚世界の住人となる。盲獣と化した雄と雌の根源的な本能が、暗黒の中で限りなく蒸留され純化していく。エスカレートした触覚の欲望は、痛覚の欲求へと至り、遂に禁断の領域へと達する…。ダリを思わせるシュールなセットの中で、イッちゃってる船越英二と処女だと言い張る緑魔子が、凄いコトになっていきます。江戸川乱歩自身をして、「ひどい変態ものである」と言わしめた原作が著されたのは昭和6年(満州事変の年)。こんな昔に、既に究極のフェティシズムが表現されていたとは、全く持って勉強不足を痛感致します。ということで、少し気後れしつつ気圧されて、つい8点献上。 【sayzin】さん 8点(2004-12-07 00:04:25) (良:1票) |