10.《ネタバレ》 小学校の頃全巻制覇した記憶が有る「江戸川乱歩・少年少女明智小五郎シリーズ」には、確か『盲獣』なんて作品収録されてなかったよなあと、無邪気な少年の頃に戻った気分で鑑賞しはじめました。・・・えっ?・・・あれ?おいおい、これって・・・ちょっと・・・ひいいいっ!なんじゃあっ、こりゃあっ!!ガキの時に、もしこんなん読んでた日にゃ、トラウマで今よりもっと屈折した人生歩んでいた事必至ですわ。でもわかるわかる、セックスって刺激がなくなってくると、よりシチェエーションや手を変え品を変え、快楽をとことん追求しようとしてしまう貪欲な生き物なんですよね、人間って。僕は当人同士さえ同意の上ならという条件付きで、ことエロに関してはどんなプレイも有りって考えている人間なんですが。あ、でも痛いのは嫌かも。ラストに至っては、正に昆虫雄雌交尾を思わせる二人の絡み合いに、扇情的な内容ながらも真面目に人間の究極の性愛を捉えようとしている増村監督の意気込みが伝わってきます。切断シーン、もし血しぶきなんか上げさせたら評価落とそうと考えてたんですが、そこは慎ましい処理だったんで気に入りました。いつもの飄々とした二枚目役の時とは顔つきまで変貌させ盲人を演じた船越英二がとにかく凄いっす。エロに王道なし、変態道万歳!! 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-08-22 11:46:16) (良:4票) |
9.《ネタバレ》 ヤバイです。もう最初からとにかくヤバイです。緑魔子演じるモデルの彫刻を撫で回す船越英二、物凄い変態ぶりです。増村保造監督、もう、あなたの創る世界は本当にどれもがヤバイです。本当に変態です。変態映画を撮らせたらこの監督の上を行く者はいなでしょう!船越英二のあの変態ぶりに加えて緑魔子の変態女ぶりも凄まじい。生まれた時からずっと眼が見えなくて不自由な生活をしてきた船越英二、この二人と船越英二を一人で育ててきた母親との壮絶なバトル、息子への嫉妬、息子を逆に誘惑する女への嫉妬、女と女の女にしか解らないであろう嫉妬、監督の増村保造て人は男なのにどうしてここまで女の気持ちを描けるのか本当に不思議だし、頭が下がる。謝って母親を自分の手で殺してしまった息子、船越英二と悪魔のような女、緑魔子の二人の演技が本当に怖いぐらいで間違っても夜には見れません。あの女の人の裸ばかりの蝋人形のセットも本当に不気味!人間の感覚をまるで人間ではなく昆虫のようにして描くと同時に人間の愛の怖さ、深さまで同時に描き切る。正しくこの監督の本領発揮の凄い映画!あまりの怖さにもう一度、観たいとは思えないが、ここまで人間が壊れていく様子を描いた作品はそうはないと思うぐらいこれは観ていて本当に怖かった。正しくタイトル通りの映画だと感じるとにかく怖い、怖い、そして、何もかも本当にヤバイ映画です。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-07-13 11:33:28) (良:3票) |
8.《ネタバレ》 最初の船越英二が女性の彫刻を撫で回すシーンから既に異様な雰囲気が漂いまくっていたが、とにかく凄い、凄すぎる作品だ。人間の裸体を模した悪趣味としかいいようのないアトリエやそこで繰り広げられる緑魔子と船越英二の変態プレイが何とも強烈で怖く、こんな映画を撮れるのはまさしく増村保造監督しかいないであろう。何かに取り付かれたような変態男を演じる船越英二の演技や、彼に協力する母親役の千石規子、船越英二との関係を続けていくうちに盲目になり、自身も狂っていくヒロインを演じる緑魔子と、登場人物が三人とも怖く、中でも千石規子が死んでからのあの展開は見たのが夜中だったこともあってか、眠れなくなってしまうのではないかとか、夢に出てはこないだろうかと心配になってしまった。映画としては船越英二の悪趣味なアトリエのセットがいかにも大映らしい丁寧な仕事で素晴らしいし、増村監督の演出も本領発揮というか、いやちょっとこれは暴走気味と思えるくらいに作品に対する気合いの入り様が伝わってくる傑作だと思うものの、やはり怖すぎてまた見たいとは僕もおそらく思わないかもしれない、でもとにかく本当に凄い映画を見てしまった。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-10-30 15:39:04) (良:2票) |
7.《ネタバレ》 触覚の世界で快楽を追及するとこんなすごい事になってしまうのか。って妄想をかきたてる、とっても怖い映画でした。でも、拉致監禁された彼女はもともと按摩に強くしなきゃ感じないって言ってたので、そーゆう素質が眠ってたんだろうとも思います。映画としては、古い邦画にたまにある、変なところでリアルじゃない演劇っぽい描写のおかげで、冷静には観れました。例えば、どんな風になってもパンツはしっかりはいてるとことか、互いに傷つけあってボロボロなのに、そんな風に見えなく体は綺麗なままなとことか。暴れてもみあってるとこもなんだか、もっさり。だからお母さんが死ぬとこもありえないくらいコントっぽい。さらに逃げ惑うとこが、緊迫感なしの鬼ごっこみたい。一歩間違えれば笑ってしまうよーな描写。でも、これを今時のリアルな感じでやっちゃうと、今度は逆にエグすぎて普通の感覚じゃ観れなくなるんやろーな~。まー、綺麗な描写は、盲目の人が観てるイメージなんだと思えば、おかしくないとも感じれるから、これでえーんかも。とにかくお話は原作未読なのもあってか、かなり怖かったです。あと、アトリエが漫画ベルセルクの蝕の舞台にそっくりなので、あれはここから影響うけたのかも。あ、女優の方は今の感覚でもすごく綺麗。船越は昔っから船越なお顔。でした。 【なにわ君】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-09-26 19:10:02) (良:1票)(笑:1票) |
6.乱歩好きにとって、乱歩映画は、見るのがちょっとオソロシイのです。あの世界観を映像化することによって「ゲテモノ」に成り下がる可能性が容易に想像できるので。実際「ゲテモノ」系映画もありますし。そんな中で、本作は、原作を思いっきり換骨奪胎し、独自のワールドを作ったことで、映画として、なかなか上質なものに仕上がっていると思います。中でも、美術は素晴らしく、あのアトリエは、原作の描写にかなり忠実に再現されており、よくぞ作ったものだ、と感心します。「盲獣」というには、船越英一はキレイ過ぎる感じはありますが、緑魔子を配したのは大当たり。余談ですが、昨年の大河ドラマに彼女が怪しい老婆役で出ていたのを見たときは、感動しました。NHKもなかなか良いセンスしています。てなわけで、ラストへ向けて一気に倒錯世界が全開になるわけですが、まあ、とにかく、こんな作品が40年近く前に作られていたことに注目ですね。乱歩好きとしては、怖いもの見たさで『芋虫』を映画化して欲しいものです。ま、ムリでしょうが。 【すねこすり】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-07-28 15:49:12) (良:2票) |
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5.《ネタバレ》 キャストは3人だけですが、みな見事に乱歩ワールドの住人を演じてくれました。船越のねっとりとした真正のマザコンぶりには寒気がしたし、千石規子のキチ母像にも説得力がありました。そして何より緑魔子。正気を失っていく演技もさることながら、脱ぎっぷりがお見事でした。役になりきる演劇人の姿。裸の出し惜しみをしている人気女優のみなさんは、彼女の爪の垢でも煎じて飲むといいでしょう。緑魔子の妖艶な肢体なくして、本作は成立しなかったと思います。素晴らしかった。エログロ描写のさじ加減も絶妙でした。過ぎては一部の好事家向けになってしまうし、手ぬるいアプローチでは乱歩の毒は伝わらない。強いアングラ色を発しながらも、大衆性を失わなかった事を賞賛したいです。例えば四肢の切断シーン。スプラッター映画なら、大量の血しぶきと共に捥がれた腕を見せたでしょう。でも提示してしまったらそれ以上でも以下でもなくなる。直接的な残虐描写が幅を利かせている昨今、観客の想像力を利用した演出の優位性を再認識しました。乱歩の世界観を味わう映画としては、ほぼ満点の出来。洗練されていない美術セットや褪せたフィルムの色味も含めて、映画の味だと感じます。もしかしたら公開当時より30年経った今の方が、より鮮烈な印象を与えてくれる映画かもしれません。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-05-13 21:08:41) (良:1票) |
《改行表示》 4.船越英二氏といえば、近年ポリデントのCMで、孫役の娘に「おじいちゃん、口くさ~い」 なんて、暴言浴びせられながらも「えへらへら♪」と笑ってたダメダメじいさん的なイメージが記憶に残ってしまった というのが非常に哀しく残念で、自分的には、熱中時代先生編で 凛となさって優しく寛大な姿でいらっしゃった校長先生役のイメージが今でも鮮明に記憶に残っています。たかが私如きが言うのもなんですが、非常に良い役者さんだったと思います。 しかし、そんな船越英二氏が若き日にこれほど変態チックな 「●くら」役に挑戦なさってたなんて、、ちょいとびっくらいたしました。 ※ 「●くら」については今でいう差別用語にあたるのであまり連呼できません。 劇中、英二氏は これでもかってほどに何度も何度も連呼なさってましたね 古き時代を感じます・・ 【3737】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-11-03 15:51:59) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 この作品を観た後に原作を読みました。原作に比べて話がスッキリしていて、まぁ映画に調度良い感じかなと。俳優サン達の淡々とした演技は好みに依るんでしょうが、自分は好きでしたね。映画全編に漂う雰囲気は最高です。但、他人に勧められるかと云うと微妙ですな。勧める相手を慎重に選ばねば…。 【キノコ頭】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-09-25 12:09:53) (良:1票) |
《改行表示》 2.船越英二が“キチガイめくら”に成りきっているのがまず素晴らしい。 触覚だけが異常に発達した船越英二は、理想の体と肌を持つ女性を見つけ出し、自室のアトリエに監禁することに成功し、日夜からだを触りまくる。 そしてついにはその女を犯してしまう。 なんという偏執的でエロティックな設定なんだろう。 やっぱり、こういう設定を考え出した江戸川乱歩という人は偉大だ。 偉大すぎる。 しかし、その乱歩が描き出す世界は極めて小説的であり、それを映像化することは困難である。 本作がその困難さを乗り越えたかといえば、やや疑問。 やはり、乱歩が創りだした倒錯の世界は、小説の中だからこそ生きるのではなかろうか。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-11-25 01:28:51) (良:1票) |
1.スッゲェなぁ、こりゃあ…。盲目故に妄想を誇大化させ、触覚を鋭敏に研ぎ澄ませた男。獲物となった女は闇に囚われ、やがて自身も光を失い、触覚世界の住人となる。盲獣と化した雄と雌の根源的な本能が、暗黒の中で限りなく蒸留され純化していく。エスカレートした触覚の欲望は、痛覚の欲求へと至り、遂に禁断の領域へと達する…。ダリを思わせるシュールなセットの中で、イッちゃってる船越英二と処女だと言い張る緑魔子が、凄いコトになっていきます。江戸川乱歩自身をして、「ひどい変態ものである」と言わしめた原作が著されたのは昭和6年(満州事変の年)。こんな昔に、既に究極のフェティシズムが表現されていたとは、全く持って勉強不足を痛感致します。ということで、少し気後れしつつ気圧されて、つい8点献上。 【sayzin】さん 8点(2004-12-07 00:04:25) (良:1票) |