《改行表示》 62.《ネタバレ》 鬼も逃げ出すという「羅生門」で“人間の愚かさ”を描いたように、本作もシェイクスピアの悲劇「リア王」をベースに神や仏も泣き出すという“人間の愚かさ”を描き切っている。 しかし、ここには「羅生門」のような“希望”はない。あるのは残酷なまでの“醜さ”だけだ。 舞台は架空の戦国時代であるが、現代にも通じる“乱”れた世界に対する“嘆き”が込められた作品であり、製作者の黒澤のメッセージや深い想いが感じられる作品だ。 また、「影武者」でも描かれていたが“破滅”に対する美意識も高い。 長く暗く陰惨な映画ゆえに一般的に好まれない映画ではあるが、個人的には、評価の高い「羅生門」よりも、評価がそれほど芳しくない本作の方を好む。 仏の絵が地面に置き去りにされて、悲しげにこちらを見つめており、盲目の青年が崖の上に取り残されているというラストのカットも秀逸だ。 ここで終われば完璧だと思った瞬間に、きちんと幕を閉じたのはさすがだ。 「果たして仏は我々を見守っているのだろうか」「この“乱”れた世で生きるということは、盲目状態で崖の上を歩くようなものなのではないか」と黒澤は言いたかったのかもしれない。 素晴らしい作品であると感じるが、何点かは不満な点もある。 ①「三の城襲撃について」 襲撃に至るまでの展開がやや早すぎるように思われる。 次郎が秀虎を体よく追い返すまでは理解できたが、肝心の襲撃に至るまでをもう少し分かりやすく構築した方がよかった気がする。 あれでは、単なる「謀反」のようにしか感じられなかった。 ただ、演出は素晴らしい。 呆然とする秀虎の背後をびゅんびゅんと火矢が飛び交うような現実離れしたリアリティのない演出ではあるが、あそこまで思い切った演出をするのは難しいものだ。 ②「ピーター演じる狂阿彌について」 彼なりに健闘していたように思えるが、本作の裏の主役でもある大切な存在こそが「狂阿彌」である。本作の成否が彼に掛かっているといっても過言ではない。 この世の“表裏”を見聞した彼の言動こそが、本作のキーとなるはずだ。 道化である彼が一見狂っているようにみえるが、“乱”れた世で一番まともだったのが、彼だったというオチに持っていきたかったところだ。 少々感情を表に出しすぎているところがある。ストレートではない悲哀を感じさせるキャラクターに仕上げることができれば、より傑作に近づいた気がする。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-01-05 17:15:21) (良:2票) |
61.《ネタバレ》 一代叙事詩。一瞬のダイナミズムを切り取ってきた中期の黒澤作品と異なり、「影武者」や「乱」は一時代を描く。そこにある歴史を眺めるため、ダラダラしてるように見えてしまうんだと思う。そういう視点を楽しむとまでは僕にはなかなか難しいようです。切り開かれた林での戦い…「ラストサムライ」の合戦シーンはコレからきてるんでしょうか? 【ようすけ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-12-08 18:26:09) |
60.冒頭の猪狩りの主役はどこまでも青く続く広大な山々。唯一家族がそろったシーンを唯一陽光まぶしい晴天としたこだわりの中で、丘の頂点に立つ人物を別の丘から撮るという贅沢。カメラから何百メートルではきかないかもしれない距離をおいて演技をする俳優たち。人間の小ささと共に舞台の背景である「世界」を最大限に見せてくれる。後半でも野村萬斎が城跡に佇む超ロングショットが無常観を醸している。一方、合戦シーンは全体を捉えずにまるでカメラが合戦のど真ん中にあるかのようにその躍動だけを見せてくる。台詞回しは不自然な舞台劇風。もちろんその時代の自然な会話というものを知らないのであくまで私見ですが、仕切りの無い、あるいは無いように見せた世界で演劇をする。つまりは映画は嘘の世界であり作られた世界であるということを前提に、でも視点は無限にあるのだという監督の映画観の表れのような気がしました。とにかくこの妥協無き画は天晴れである。 【R&A】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-03-26 14:16:42) (良:1票) |
59.黒澤明のカラー作品の中で最高の作品でしょう。 【NAONAO】さん [DVD(邦画)] 10点(2006-12-29 20:03:55) |
58.《ネタバレ》 主演の仲代達矢、原田美枝子演じる楓の方の鬼気迫る演技。城攻めの合戦シーンには圧巻。まだCGの技術が発達していない時代だからなのか、実物大の城と炎の中で撮影されたシーンは生々しく、泥臭く、重い迫力を感じさせる。地方豪族である登場人物たちの装いや、板敷きの城の内部、随所にリアルさへのこだわりが見えた。・・・・・・壮大な阿蘇でのロケの中、最初の猪狩りのシーン以外は、晴れの空の記憶がない。随所にスモークがたかれ、曇り空が延々と続いていくような何とも湿っぽい映像の中、無い腹を探りあい、自ら好んで殺しあいの結果を招く人間の愚かしさが、ずっしりと感じられる。 【six-coin】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-07-27 13:07:09) |
57.最近、見直してみると..やはり、つまらない..言いたいことは分かるが、説得力が無いし、ストーリー自体が、かなり幼稚!..とても、黒澤作品とは思えない... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 2点(2006-06-26 12:33:19) |
《改行表示》 56.久々に「お腹一杯になる映画を観たな~!」と思える映画です。 色の鮮やかさは言うに及ばず、国が乱れる様を描いたシナリオが逸品。 あの傾国の美女は原田美枝子ですか…あなた怖すぎですw 悲惨すぎる話ですが、非常に楽しめました。 【ふくちゃん】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-01-13 12:02:41) |
55.黒澤明はカラーを使いこなせなかったカントクなのかもしれないなぁ。。。 つか、全然面白くないよ、これ。 なんとも盛り上がらん映画だった。 あの黒澤の大作ということで、アカデミー賞獲りも期待されたが、全然獲れんくて、結局、駄洒落おやぢ和田勉の奥様、ワダエミさんが唯一衣装デザイン賞だけを獲りましたな。 さすがの黒澤も枯れちゃったのかなぁ。。。と悲しくなる映画です。。。 【とっすぃ】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2005-11-22 00:02:30) |
54.正直言って、大殿よりも三兄弟よりも狂阿彌よりも、楓の方が一番インパクトがありました。もう怖い怖い。『蜘蛛巣城』の山田五十鈴以来の衝撃です。本作も『影武者』同様、無駄に長過ぎる気がします。大殿と狂阿彌が歩き回るシーンなんて、もっと削っても良さそうなものだが。 【とかげ12号】さん [DVD(吹替)] 6点(2005-11-20 19:23:57) |
53.白黒のほうが黒澤映画はいいのが多い気がする。 【Sleepingビリ-】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-08-23 02:49:39) (良:1票) |
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52.なぜこの作品が前作「影武者」より好きになれないか考えてみた。結果、主役の仲代を引き立てる為、脇役に格下の俳優を起用していると思った。ほぼ仲代と同格の山崎努を競演させていた前作は、劇を2人で支えていたが、本作は、仲代達矢1人でがんばっていたように思う。(彼は名優であるけれど三船・勝新のようなスターではない。)どうしても俳優陣が弱すぎる。本来なら3人の息子の1人くらいには、若き日の仲代・山崎クラスの役者が要る。根津甚八の演技が弱い。 【Waffe】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-08-19 03:32:18) |
《改行表示》 51.赤黄青そして黒と白、綺麗だな~って覚えがあります 悲しいお話 【栗頭豆蔵】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-03-30 12:30:29) |
50.見ていて綺麗だなとは感じましたが、それ以上でも以下でもなかった。 【AXL侍】さん 5点(2005-02-25 02:35:26) |
《改行表示》 49.仲代達也のメイクが濃すぎてゲンナリするが、それは置いておいて、素直に面白いといえる作品です。 原作も学校で習ったはずだけど覚えてない。だから白紙の状態で見たわけですが、十分理解できるわかりやすいお話。 戦国時代についてもよく知らないけどこれでいいと思いますよ。時代考証的にどうかなんてこの映画には意味ないと思います。 でも日本人ってホントに名優ってのが少ないと思います。要は演技が下手。仲代クラスの俳優なんてハリウッド映画の端役クラスでもゴロゴロいるし。 この映画だけに対する批判ではないんですが、演技の下手さのせいで感情移入しきれないってのが残念。 ちょっと言い過ぎたかも。現代人が戦国武将を演じるってことそのものが困難なんだからある程度は目をつぶらなくてはいけないのかもね。 |
48.2回目見たときは、すごく面白かったけど、ラストのピーターのセリフはやっぱりちょっと説教くさいなぁ。合戦シーンは改めてみてもすごかった。 【夏目】さん 7点(2004-11-10 16:54:51) |
47.確かに、映像や衣装は鮮やかできれいだった。城攻めのシーンもけっこうハラハラする。ただそれだけだった。 【アルテマ温泉】さん 5点(2004-09-19 18:02:22) |
《改行表示》 46.黒澤明の大フアン。映像および色彩はやはり素晴らしい。 合戦シーンは日本映画の中では秀逸。戦術的面白さを視覚で表現し騎馬、歩兵の動的迫力は凄い。 しかし私には狂阿彌はしんどい、また仲代の演技が余りにも舞台的で浮いた感じがする。 晩年はいよいよ心理的な内面表現、またメッセージがくどく感じる。 でも長い割には十分楽しめた。 【ご自由さん】さん 7点(2004-07-26 20:30:33) |
45.うわぁ~~何かもう凄い・・・という感想しか思いつきません。でもそれじゃあ小学生以下なので、もう少し考えてみます、ハイ。 画面のどのシーンを切り取っても完璧な絵になっている。ワダエミの衣装は、最初は違和感があったけれど、戦国日本に似た異世界とでもいうよう雰囲気を漂わせつつ、キャラクター個々の個性を反映していて、観終わる頃には完全に虜になっていました。仲代達也の大袈裟で型通りの演技も、この非現実の世界に馴染んでいた。しかしこれが映画として面白いかというと・・・・ウゥウウウウウン!! あんま面白くないかも!!! ごめんなさい、中だるみしました。ピーターが・・・鬱陶しい。彼のシーンがせめて半分だったら、もうすこし記憶に残る映画になったかもしれない。彼の鬱陶しい喋りと髪の毛と動きばかりが気になって仕方なかった。 【ともとも】さん 7点(2004-07-13 21:47:49) |
44.舞台劇をミックスしたとはいえ、戦国時代の風情をぶち壊す、ワダエミの衣装はどうにかならなかったのか。黄色に黒の家紋、鎧に水色の羽織は全くセンスを疑う。同じ家系(兄弟)で赤・黄・青と、ここまであからさまだと普通退くだろう。実際、ストーリーは好きである。兄弟は最初から馬鹿にしか見えないが、それを補うに十分なのが原田美枝子の存在であった。ただ、なんの躊躇も無しに無慈悲に父親を殺そうとする安易な描写のため、テーマの「人間の愚かさ」までは感じることは出来なかった。実際に城を建て燃やしたという城攻めのシーンは映画史に残る出来で、それだけでも一見の価値はあると思う。重量感のある城門、弓矢が刺さった死体に黒澤らしさを感じた。 【まさサイトー】さん 4点(2004-07-04 01:58:11) |
43.戦国の戦いをなんの観点からみればこうなるのか?意味不明。つまらなかった。 【杜子春】さん 1点(2004-06-28 22:24:38) |