74.ムーア氏の前作『ボーリング・フォー・コロンバイン』は、アメリカ世界の現代的セキュリティの問題を鋭く解いた秀逸なドキュメンタリーであったと思う。それを認めた上で僕は、セキュリティというタームが必然的に覆い隠す人間の本質的な生の歪んだ物語にこそ目を向けるべきなのではないかと前作のレビューで書いた。 しかし、それはどうやらムーア氏の仕事ではなかったようであるw 『華氏911』は、前作で示した彼の社会構造論的な解釈を踏襲し、アメリカという脅迫観念に縛られた国家が必然的に志向しながら常に隠匿せざるを得ない社会的構図を様々な角度から追求した渾身のドキュメンタリーであるといえる。さらにそこから導き出される国家による作為的なセキュリティに対する本質的な懐疑を素直に表明しており、僕はこの点を大いに評価していいと考えている。 この映画そのものをムーア氏の妄想だとする意見もあるかと思うが、映画の中で取り上げられた事実或いは解釈は、僕にとって特に目新しいものではなかった。つまり、こういった事実或いは解釈は、アメリカだけではなく、日本でも既に指摘されているものである。 大局的に見れば、この作品で取り上げられた事実或いは解釈に僕は大いに納得する。しかし、人間一人一人に目を向けてみれば、やはりこういった国家的セキュリティ批判という考え方が個々人のある種ナイーブな側面/その視点を覆い隠してしまうのではないか、という思いも拭いきれない。 この作品の中には、人間の原理という地平において、もっと捻じ曲がった物語が見え隠れしている。それはセキュリティという次元の問題とは全く別のものと思われて仕方がないが、今のところこれをムーア氏に期待するのはお門違いかもしれない。 それにしても、アメリカという国は懐が深いと思わざるを得ない。この映画の内容も然ることながら、こういう映画が存在すること自体がある意味でアメリカなのだと思う。僕は素直にそう感じた。 |
73.ムーアお得意のブラックホラーコメディー?なドキュメンタリー映画。それにしても今作はめちゃくちゃつまらない。これを観て、「そうだったのか!」「ブッシュは酷い奴だ!」なんて単純に思っちゃったらそれもまた怖いだろ。内容が事実かどうかは置いといて、作り方が物凄く偏った視線なのが物凄くイヤ。なんか色んな意味で胸糞悪くなった。こんなんなら丸々2時間、馬鹿ブッシュ(ここは認める)の無能っぷり、呆けっぷりを晒してみんなで笑う映画のほうがよほどいい。つーか何度も言うけどコレは映画じゃない。金を出して観るモンじゃない。 【カワサキロック】さん 3点(2005-01-18 10:54:43) |
72.ん~、伝えようとしている内容についてはこれ以上ないくらい賛成で、僕も「ゴアがあの時当選してたらなぁ・・・イラクにも地球環境にも優しかったのにな」と思っているので、内容に関しては拍手喝采。よくぞ作った、と褒めたいんですが、なんだかアメリカ政治の暴露映画みたいで少し安っぽく感じてしまいました。前作ぼーりんぐふぉーころんばいんに比べても、むーあの遊び心というかユーモアが少なかったように感じるし。映画としての完成度に少し疑問を抱いた作品でした。ただ、見てよかったと思います。僕もイラク戦争に関して無知のきわみだったので。 【とむ】さん 7点(2005-01-16 00:01:45) |
71.ブッシュ以上にムーアの胡散臭さが鼻につく。 スクープした事実や関係者の証言、ショッキングな映像、遺族の叫びを 意味ありげに並べて観客をある方向に導く手法は、それに政治的な意図が含まれてると途端に卑怯で腹立だしく思えてくる。 遠まわしに悪口言わせるんじゃなくて、自分の口ではっきり喋ってほしい。ぐだぐだ2時間もそんなの見せられる奴のことをちったぁ考えろ。でもバグダッドの惨状は心に刻んでおくべき映像だった。そこに免じて4点。
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70.いずれにしてもパワー溢れる映像作品だね! 【k】さん 8点(2005-01-04 18:31:14) |
69.完全に中立で公平な報道などあり得ない。報道には必ず発言者の主観が入る。アメリカではちゃんと学校で習うことだそうです。この映画、基本材料は「ブッシュは悪」で作られています。まずこのことを記憶に入れてから鑑賞したほうがいいと思います。それでも、僕がアメリカ人だったらブッシュには投票しないでしょう。 【チビすけ】さん 7点(2004-12-25 10:36:48) (良:1票) |
68.俺はアメリカ人でもなければ16歳なので有権者でもない。俺がこの映画観たところで、大統領選挙選でどちらかに票を入れることも何も出来ない。そんな奴がこの映画観てどうするんだとレンタルした直後から鑑賞に至るまで思い続けてた訳なんですが、鑑賞後、むしろ俺のような高校生や中学生に観てほしい映画だと思いました。まず観終えて真っ先に思ったのは「アメリカは恐ろしい国だ」と言うこと。何が恐ろしいって世界トップクラスの一国の舵取り、尚且つ世界中をリードしていかなくてはならないはずの人物があれだけアホだったのかと言うことに尽きる。今まで全く知らなかったブッシュ大統領の9・11一連の事件での行動1つ1つが「これがあのアメリカの大統領がすることか!?言うことか!?」と常に静かな憤りが頭に流れていました。戦場はアフガンからイラクに変わり、ビンラディンを捕まえることも忘れて今度は「大量破壊兵器を持っている」と断定的に決め、フセインのイラクを攻撃。ビンラディンをシカトしたのは勿論のこと、確たる証拠も無しにイラクを攻撃したブッシュの罪は非常に大きい物だと思いましたね。確かにフセインを拘束できたのは良かったかも知れない。だが、無いはずの大量破壊兵器を探したことでどれだけの若いアメリカが犠牲になったのか?何の罪の無いイラク人がどれだけ多く殺されたのか?劇中でまざまざと見せられる酷い映像の数々。遺族の人の心の痛み。それらが強く胸に響いてきました。いろんな所でよく耳にする言葉「無意味な戦争」をこれほど実感したことはありません。これ以上難しいことはまだまだ世間知らずで無知な身なので書けませんが、この映画を観たことによってブッシュ政権が行ってきたことで世界にどんな影響を与え、その一連の行動で犠牲になった人々の無念さを知ることが出来ただけでも俺としてはこの映画を観た価値は十分あったと思います。 |
67.正義は、勝った者の物。すなわち、勝てれば全て良しだ。 だから、ブッシュは、正義を手にするために、選挙の捏造や、大量破壊兵器調査の捏造をした。一方、マイケル・ムーアは、正義を手にするために、ブッシュの悪事を誇張する編集をほどこした映画を創った。真実はどちらにも無い。ただ勝者が真実を自称し、新たな現実を始めるだけだ。そして、映画公開直後に行われた大統領選挙で、ブッシュが勝った。正義は、ブッシュの手にあった。 …でもそれは、短期的なものに過ぎないのかもしれない。歴史が一巡しないと、何が正しかったのかは、誰にも分からない。だから、ムーアは、戦い続ける。しかし勘違いしてはいけないのは、ムーアが戦い続けるのは、「負けたから」に過ぎず、正義があるからではないことだ。 ……こうした政治上の戦いを、「双方とも、極端」と言って、切り捨てるのは、容易い。だが、政治上の戦いとは、多くの場合に極端と極端の戦いなのだということを、忘れてはいけない。なぜならば、民衆は、極端な意見ほど、熱狂的になり支持するものだから。 だから、極端だからといって、目を背けてはいけない。この映画は、その大切なことを、教えてくれる。そのために創られたものではないけれど、影響力の大きさから、痛感せざるをえないのだ。我々は、この偏った映画を観なければいけないし、その極端さから、その反対にあるものを考えて、自分の考えを構築しなければいけないと思う。 【IKEKO】さん 7点(2004-12-13 01:07:44) |
66.日本の報道特番なんかのほうが中身が濃いものがある。しかしこの作品は日本だけではなくあらゆる国々に向けたものであり、また中でもアメリカの人達にこそ見てほしいと作られたであろう作品。もしその国のメディアが報道の自由を奪われているのだとしたらなかなかのインパクトを持っているんじゃないだろうか。政策に都合のいいものしか報道しないアメリカと同様、ムーアも政策に都合の悪い映像だけを繋ぎ合わせた。一方だけからの情報よりも二方三方とあったほうがいいに決まっている。あとは見るものがそこから真実を見極めればよい。ただ、ムーアは本来アメリカの暗部にメスを入れたかったのだと思いたいが、はたしてその辺りはどうなのだろう。ブッシュ批判を露骨に繰り返すことでかえってうやむやになっている気がする。描かなきゃいけないのはブッシュではなくブッシュを動かすもの、すなわちアメリカ合衆国そのものなのです。 それでもこの作品の持つパワーは評価したい。中身が個人攻撃であろうと、アメリカ人が自国の現職大統領を批判した映画を世に出した功績は大きい。私は自分よりはるかに強い相手に向かっていく人は好きです。 【R&A】さん 5点(2004-12-03 14:09:23) (良:1票) |
65.個人的な感想を言うと視野が狭い人が作った、できの悪いプロパガンダ映画。他にも突っ込むべき所があるだろうに。 【flyhigh】さん 3点(2004-11-30 17:13:04) |
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64.いまや「ペンは剣よりも強し」以上に「映像はペンよりも強し」。 彼の書いた本もヒットしましたが映像で見るとそれ以上のインパクトがあります。 与えられた情報や映像による大衆操作の危うさや胡散臭さについてはテレビ映りを気にする議員や、イラクで死亡した兵士の棺を放映しないなどにも描かれてます。力のある者は自分に都合の悪い映像は隠し、プラスになる映像だけを流して都合のいい流れを作ることも出来る。 真実が何かを知るためにいろんな情報を得て総合的に考えることは大切なことで、この作品で見る映像も貴重な判断材料の一つだろうと思います。 恐怖が銃社会をなくさないようにテロの恐怖を煽って戦争を正当化しようとする。 これは真実なのか意図的に作られたものなのか、壮大な破壊で利を得るのは誰なのかなど多くのことを考えさせられます。 どうであれ戦争は合法的な殺人で、一部アメリカ兵がイラクでゲームをするように高揚してる姿はおぞましい。 チャップリンの殺人狂時代のヴェルドゥ氏の最後の言葉は今一層重く響きます。 愛する母国が誤った方向へ進んでいることへの大きな危機感が監督を突き動かしているのでしょう。 愛国者法をスピーカーで読み上げ、議員にはイラクに子供を志願させたらとパンフレットを配るなど、監督の行動力と堂々と発言する勇気は相当なものです。
【キリコ】さん 8点(2004-11-28 20:11:40) (良:3票) |
63.本当は点数をつけるべき対象の映画ではないと思いますが、自分がこの映画を見て受けた衝撃の度合いとして、この点数を献上させていただきます。もちろんこの映画に描かれているアメリカ像を鵜呑みにするわけではないのですが…。いろいろと考えさせられる作品でした。 【K】さん 8点(2004-11-27 15:57:43) |
62.アメリカに対する映画の意味を考えると、低い点は出せない。 ただ、やはり「ボーリングフォーコロンバイン」に比べると彼は悲壮感がなくなった。 その辺が、「エゴ」と世間で評価されてる見たい。
ムーアもリッチになってしまったんだと少しがっかり。
ただし、作品の完成を代行できる人物がいないという意味で、ムーア自体が戦場に行く必要はないと思う。その辺の道理は気にしないで次回に期待しますよ。 【セクシー】さん 10点(2004-11-27 11:14:38) |
61.もう少し笑える所が欲しかった。 【たま】さん 6点(2004-11-25 22:08:25) |
60.I saw realities of war in this movie.. 【kaneko】さん 5点(2004-11-22 05:04:21) |
59.真面目な映画って、なんか書きづらい。でも、普通に映画として、全体的に見て4点かな。構成や展開がいまいち、ちょっと分かりづらいです(アメリカや経済を知らないと本当のことは分からない)。 PS ドキュメンタリー限定にしたら、+3点ぐらいになるかも。 【ぱんこ】さん 4点(2004-11-21 18:29:25) |
58.ホワイトトラッシュやカラード、それからヤッピーの皆さんは この作品を観たんだろうか。観たところで、ラストのおばさんのように 「新しい視点」を獲得できたんだろうか。 その視点を得たことが幸せな生活につながるんだろうか。 ムーアに少なからず好意のある人や、アメリカ以外の国の人々には届いて、 溜飲を下げるにはもってこいのアイテムだろう。 わかっている人達がこの作品をみて「ああ、やっぱり!」と再確認しあって、 それで終わり。なんだか妙に閉じている気がしたなぁ。 【ナクサライト】さん 5点(2004-11-21 17:15:02) |
57.タブロイド紙のゴシップ記事を集めたような映画で、興味を引こうと躍起になりすぎ、肝心な問題に対してツッコミがかなり甘い。これでは民主党のコマーシャル映画と言われてもしょうがない。イラク問題でユダヤ・イスラエルに一切触れないんじゃ説得力なさすぎるよ。ブッシュを貶めるために都合のいい映像を集めた映像集でしかない。 【亜流派 十五郎】さん 2点(2004-11-19 19:05:09) |
56.この映画がヒットしても、ブッシュが当選するというんだから、やっぱバカでまぬけなアメリカ人だなあとつくづく思う。まあ都市部はケリーが取っていたので、問題は中西部なんだろうけど。ドキュメンタリーとしては、打倒ブッシュに照準を合わせているので、まとまっているが、逆にまとまりすぎてムーアの毒っぽさも出し切れていない感じがする。オスカーなんかもらったりするから、次はなにをやろうかと”お勉強”に精を出すようになってしまい、出たとこまかせで突き進む本来のパワーがなくなってしまったのではないか。華氏911 1/2も同じノリになったらやだなあ。 【tantan】さん 6点(2004-11-14 21:50:24) |
55.自分の無知さを痛感させられた作品でした… だって全然話についていけなかったんだもん 【kokayu】さん 6点(2004-11-11 20:17:04) |