4.この映画の出来不出来をとやかく言うつもりは全くない。5点というのはあくまで便宜的な点数である。彼の主張がどうであれ、ぼくはマイケル・ムーアの立場を尊重する。この映画が作られたことの正当性を擁護する。100の大きな言説よりも、5秒なり10秒なりの映像のほうが衝撃的である、ということを改めて感じる。イラクで傷つき、死んでいった罪なき子どもたち、行きたくもない戦争で命を落とした兵士たち、パンクを聴きながら人を殺すことに快感を見出す兵士、エトセトラ。映像の持つ力は計り知れない。だが、その映像も流されないことには何の意味もない。今まで何度も見たWTC倒壊の映像のシャワー。それがアメリカ人たちを烈火のごとく怒らせた。直接9・11に関係のなかったぼくたち日本人さえも怒らせた。だが、アフガニスタンの映像は。イラクの映像は。卑劣で、残虐な戦場の映像は、ぼくらの上に豪雨の如く降り注いだか。ぼくらは怒っただろうか。マイケル・ムーアは怒っている。本気で怒っている。これだけ怒っている人がいるのを、久しぶりに知った。その怒りをぼくは決して批判できない。 |
3.米国の大学のラウンジで、当時つきあっていた彼女が「ちょっと実験をしてみよう」と言って、近くにいた学生の1人に声をかけました。「何の用?」と尋ねられると、「ちょっと待ってて」と引き止め、次の学生に声をかけました。数十人が立ち止まると、それを見たほかの学生たちが続々と集まり、「なにかここではじまるらしい」と声が聞こえてきます。30分程度で、そのラウンジには、2000人以上が集まりました。それを見届けたところで、私と彼女はこっそりとラウンジから出ました。米国人は、「ストリームの気配を感じるとそれにとりあえず飛びつく」国民性があります。そして、アカデミー、カンヌをモノにしてしまったムーアには、人を呼び止め、席につかせる力があります。ムーアの手法は、暴力的で、狡猾。論理的に欠点が多いのですが、勢いがそれを補っています。私は、たまたまラウンジに入ってしまった米国人が、自分で考えることを放棄し、本作に拍手を送っているのではないかと不安を覚えました。イラク問題の是非は、話し合う、またそれぞれが持論を主張する価値があります。ムーアの主張は、個人的には賛同しています。しかし、ときとして「メディアの暴力」とも思えるそのやり方は、「私の好みではありません」。また、今後、ムーアの粗悪コピーが出てくることも、(その可能性は低いとは思いますが)懸念しています。 【DONGYAOS】さん 5点(2004-06-30 02:42:42) (良:2票) |
2.日本の報道特番なんかのほうが中身が濃いものがある。しかしこの作品は日本だけではなくあらゆる国々に向けたものであり、また中でもアメリカの人達にこそ見てほしいと作られたであろう作品。もしその国のメディアが報道の自由を奪われているのだとしたらなかなかのインパクトを持っているんじゃないだろうか。政策に都合のいいものしか報道しないアメリカと同様、ムーアも政策に都合の悪い映像だけを繋ぎ合わせた。一方だけからの情報よりも二方三方とあったほうがいいに決まっている。あとは見るものがそこから真実を見極めればよい。ただ、ムーアは本来アメリカの暗部にメスを入れたかったのだと思いたいが、はたしてその辺りはどうなのだろう。ブッシュ批判を露骨に繰り返すことでかえってうやむやになっている気がする。描かなきゃいけないのはブッシュではなくブッシュを動かすもの、すなわちアメリカ合衆国そのものなのです。 それでもこの作品の持つパワーは評価したい。中身が個人攻撃であろうと、アメリカ人が自国の現職大統領を批判した映画を世に出した功績は大きい。私は自分よりはるかに強い相手に向かっていく人は好きです。 【R&A】さん 5点(2004-12-03 14:09:23) (良:1票) |
1.内容は単なるドキュメンタリーだが、この映画の存在自体に意義があると思う。ただ肖像権云々で訴えられそうな気もする。たいがいどの国の政治家も外面はいいので、こういうオフ映像を撮れた事自体を賞賛したい。んで5点。ストーリーとしては何を一番訴えたかったのかがハッキリとしていないので不満。よし、日本でも小泉首相をテーマに映画を撮ってみようか。でも警備がいささか厳しそうなので、盗撮に優れた監督じゃないといかん。あ、そうだ、盗撮に長けた田代まさし氏がいるではないか。タイトルはズバリ「純ちゃんの応援歌」でいかがだろうか・・・たぶんNHKでは放送禁止になるだろう。一番の問題は、田代氏が復帰するであろう数年後に小泉首相が政権を握っているかどうかだ。 |