7.これはおったまげた!カンヌ国際映画祭は芸術の香り高い映画を選定・評価するところだと思っていたのに、カンヌ国際映画祭でパルム・ド・オル(最高賞)を受賞したこの作品は完全に反体制宣伝(というよりも喧伝)映画です。ヨーロッパ映画界の危機意識がそれだけ高いというわけでしょう。どちらかと言えばブッシュには反対している私でさえも何だかボクシング・リングの上で両手を後ろ手に縛られたボクサーを、もう一人のボクサーがめった打ちにパンチを食らわしている様を見ているような感じが否めませんでしたが、この感じが快の部類に属するのか不快の部類に属するのかはよくわかりません。ムーア監督はすでに去年のアカデミー賞受賞式でブッシュ大統領に挑戦状をつきつけていたので体制側の監督(陰の声:そんな監督いるのかどうか・・・)もイラク戦争を擁護する作品を作ればよかったと思います。(陰の声:軍艦マーチをバックに「大本営発表」???)でも体制擁護映画と二本立てにしてもこちらしか見ない人がほとんどだったりやなんかして・・・。長くアメリカに住んでこんなに熱い映画上映は初めての経験でした。私が見たのは月曜日の夜10時からの上映でしたが、会場は大入り満員で時間を気にする人もないようで、上映中の爆笑や拍手、特にエンド・ロール開始の時の大喝采と「ワンダフル!」の掛け声は初めてでした。(この映画を見に行くのはブッシュに反対する人だけだということを念頭においてください。)バグダッドの街角に集う人々の平和な談笑や子供たちが遊ぶ光景が阿鼻叫喚に変わったシーンで流れた涙には人道上の涙と「私が納めた税金がこんなことに使われるなんて・・・。」というくやし涙が混ざっていました。この映画を本当に見てほしいのはイラクの人です。映画のスクリーンだけではなくそれに反応するアメリカの人たちを見てほしいと思います。アラブ圏の人は民主主義や自由とはミニスカートをはいて街を歩いたり酒や麻薬をたしなむことだと思っているようですが、真の民主主義や自由とは反体制映画が堂々と上映され、人々が臆することなくそれを見に行くことができ、上映会場の内にも外にも警官や憲兵が立っていないことなんです。 【かわまり】さん 6点(2004-06-30 01:12:56) (良:3票) |
6.アメリカが「世界の警察」で、米大統領が「世界大統領」なら当然、我々日本人もアメリカの真実を知らなければならないし、知らせてもらわなければならない。そういう意味でマイケル・ムーアってのは凄い貴重な人材なんだよね。ただ、今回の映画は「ボウリング~」ほど「日本人が知りたい(知るべき)事」が描かれている映画ではない。日本の政治家の汚職にも興味がない人が沢山いるのに、ブッシュ家とサウジ系オイルマネーの繋がりに興味を示す人はほとんどいないだろう(事の真偽においても)。この映画で本当に見るべき所はやはり、アメリカ社会の底辺は破壊し尽くされたイラクと何ら変わる所がなく、そこにいる人々が「自由を守る戦い」のお題目の下にイラクに赴き、戦いの意義も見出せないまま死んでいくという事実だろう。世界唯一の超大国、愛国英雄主義のアメリカが黙殺してきた事実が。ムーアが一番声高に言いたかった部分はここだろう。確かに映画全体は編集を駆使し、偏向した内容かもしれないが、この部分だけは「自由が燃える温度」を感じることが出来る。 【C-14219】さん 6点(2004-10-20 21:49:12) (良:2票) |
5.GyaOでみました。面白いですよ。ボーリングフォーコロンバインもそうでしたが、完全に報道特集○○に迫る!みたいなのりで、その手の番組が好きな人にははずれはないと思います。ただ、映画としてみるとどうでしょう。最初から、ビデオ用として作られているならわかります。また、アメリカのように平日の昼間なら500円くらいで映画を見れる環境ならわかります。日本の1500円の上映料金を考えると、払えませんよね。 【シネマファン55号】さん [インターネット(字幕)] 6点(2007-09-09 10:17:14) (良:1票) |
4.子供を戦争で失った母の悲しみは理解できるのですが、徴兵ではなく志願だし、息子が軍人になった時点で戦争で死ぬ可能性があるという認識はなかったのか?ちょっと尋常ではない騒ぎ方が気になった。中間選挙では民主党が勝ったし、ノー天気な米人もイラク戦争は明らかにオカシイって事にようやく気がつき始めたって事でしょう。ちょっと時間が掛かりすぎだけど。議員の息子をイラクに!というのはよかった。私は日本の政治家を含む公務員の子供は義務教育は公立校への入学に限定すべきと思います。教育改革を訴えて公立校の質の向上を図るならそれぐらいは当然かと。別に死にはしないんだし。 【東京50km圏道路地図】さん [DVD(吹替)] 6点(2007-01-14 04:35:56) (良:1票) |
3.本作で言うとおり、ブッシュに騙されるつもりはない。しかし、一見「太っ腹」に見えて実は「腹黒い」マイケル・ムーアにも騙される気はない。人の「腹を探って」、「私腹を肥やす」姿は「片腹いたし」。少しはその醜い腹を引っ込めた方がいいのでは・・。"Shame on your stomach,Moore!!" 【STYX21】さん 6点(2004-09-04 03:05:18) (良:1票) |
2.(皆さんに対抗して私も少し長めのコメントをお許しください) 面白いかどうかと言えば、私には全体的に余り面白い映画ではなかった(字幕を追うのに忙し過ぎたし、同時に出来る限り頭の中で翻訳作業をしたりしちゃったからかな。隣にいた高校生位の一団は途中ですっかり飽きちゃったみたいだし…)。本作の前半はドキュメンタリーではなく、(【ぐるぐる】さんご指摘の様に)ニュース映像を都合の良い様にコラージュしたに過ぎない。パフォーマンス好きの小泉首相ならば簡単にこういう映画を作れると思った。また、9.11の映像を使わない代わりに、もの凄い音響効果を加工したりしてるのもあざとい(イラク空爆等の音響も凄い。本作は一応ドキュメンタリー映画ですけど、出来る限り音響設備の整った劇場で鑑賞することをお勧めします)。しかし、ブッシュ大統領への誹謗中傷からイラク戦争の現実へとシフトし、「取材に基づくドキュメンタリー」に変わってからは多少面白く観れました(私の使う「面白さ」の意味は斟酌してください)。やっぱり最後はマイケル・ムーア永遠のテーマ、階級闘争へと論理を展開して幕を閉じましたね(【anemone】さん、これこそがムーアの「私怨」なんですよ)。思ったのは、本作はアメリカで公開してこそ意義のある映画だったということ。そして私も、ムーアが「ブッシュにはもう騙されない」というナレーションで締めくくった様に、「ムーアには騙されない」と心に誓って劇場を後にしたのでしたとさ…。ということで、作品の出来不出来以前に、ムーアの心意気と、アメリカ公開を断行したライオンズ・ゲートに敬意を表して、おまけで6点献上。 【sayzin】さん 6点(2004-09-03 00:06:55) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 う~む、テーマがテーマなだけに評価し難い作品ではある、不謹慎、と言われるのを覚悟のうえでエンターテイメントとして評価するなら前作より劣るのは間違いない、なぜなら前作には「銃」という明白な「悪(もしくは「必要悪)」がテーマだっただけにコロンバイン高校の事件は悲惨ではあるのだが、悪と分っていながらも銃を持たざるをえないアメリカという国家の滑稽さを笑うことができた。また監督も過度に主張するのではなく、終始「なぜ?」という疑問を投げかけていたのがエンターテイメントしていい方向に働いていたと思う、言ってみれば前作は「誰もわかっている」事をおもしろおかしく監督が代弁していたに過ぎないのだ(だからと言って作品の質が低いわけではない、念のため)しかし本作は監督の主張の映画である、政府の主張はウソだらけだ、と批判するのは結構だが、監督であるマイケル・ムーアは真実だけを話しているのか?これは別に監督の主張はウソだ、と言っているのではない、彼から私が学んだ事を実践すれば当然そういった疑問が浮かんでくる、「銃=悪」ならまず疑問は湧かないが(おそらく多くのアメリカ人も)ブッシュを含む政府高官の言う事は全てウソでマイケル・ムーアの言う事が全面的に正しい、という認識はこれはこれで危険ではある。特に日本のワイドショーがよくやる文脈を無視したコメントの引用などは、どうも素直に信じられないし笑うことも出来ない、また愛国者だった女性が子供を失ったことによって批判者に転じるくだりなどは、あまりにも話が出来すぎていると言われても仕方が無いだろう、そもそもムーア自身も「人道的な戦争」の欺瞞を指摘していたのに、息子が戦死したからといって主張を変えるこの女性の心理を私は理解できない、もちろん肉親を失うことは何よりもまして悲しいことであるが、「戦争=死」という子供でもわかる(と私は思う)認識がこの女性には欠けていたのである、息子に軍隊を薦めた責任をこの女性はどう思っているのだろう、(戦争など人道的であるはずがないのだ)こういうテーマはエンタテイメント色を削ってでも出来る限りフェアにやるか、そうでなければ安易に手を出さないほうがよかったのではないか? 【るね】さん 6点(2004-08-22 03:00:59) (良:1票) |