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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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41.  ラッシュ/プライドと友情 《ネタバレ》 
 毎度毎度そこそこな映画を撮るって印象のロン・ハワードですが、今回は熱く燃える映画を送り出してきました。   正反対の性格であるように見えながら、実は似た者同士であるラウダとハントが、ガキの意地の張り合いみたいな次元からお互いを高めあって成長してゆく様を、テンポよく心地よく感動的に描き出してゆきます。   ただ、あくまで主役になるのは人間であってF1についての映画ではないので、その部分に対する拘りは薄いかなぁ、って。   排ガスや摩擦熱でタイヤが焦げる匂いが漂ってきそうな映像がいっぱい散りばめてあって、それは十分に拘ってそうにも思えるのですが、モナコやニュルのコースなんて、今時のオタクならば忠実に再現されたテレビゲームによって細部まで頭の中に記録されているようなモノなんですよね。で、この映画の映像がその記録領域をキッチリ刺激してくれるかっていうと、そこまでの拘りはないっていう(ハントがコースをイメージするシーンに辛うじて表れてましたか)。   実況音声や文字によってレースの展開や結果が解説されますが、具体的なレース内容はそんなには映像でちゃんと表現してない、抜いた抜かれたの展開を似たようなディティール映像で繰り返している感じで。  一人称と三人称の間を行ったり来たりで、見ているこちらの視点が今一つ、ココ!ってところに固定できないもどかしさ。いっその事、3Dで思いっきり主観映像主体にしちゃってくれても良かったんじゃない?なんて。  そのあたりの拘りの薄さが、やっぱりロン・ハワードなのかな、って。   あと、毎度のロン・ハワード印として嘔吐シーンが頻発するのがどうにもこうにも。まあ、実は小心者な彼を表すという点で仕方ないのかもしれませんが。   F1に対するフェティッシュなくらいのマニアックな拘りの表現がもっともっと欲しいと思うものの、娯楽映画としてのバランスはこのくらいがちょうどいいのでしょうね。そこに拘ると、それこそ「とてもじゃないけれど理解できない」領域を描いちゃう事になるわけですから。
[映画館(字幕)] 7点(2014-02-28 06:49:29)(良:2票)
42.  キック・アス ジャスティス・フォーエバー 《ネタバレ》 
 前作に比べるとヌルくてフツー。   だけど神格化された存在である前作の、流行りの血みどろバイオレンス描写とメタヒーローもの状態(メタだらけになったらそっちが主流になってしまうという矛盾を生むのよね・・・)がちっとも好きでない私にとってはむしろ今回の方がまだマシ、って感じで。   キックアスよりもヒットガールの方が扱いが大きいんじゃない?って感じは、前作で評判だった部分を拡大しちゃう続編モノ、っていう安易な流れを踏襲してたりしますが、ヒットガール好き的にはそれはそれでいいんじゃない?って。バンでの逆襲シーンは単純に燃えますしね。  今回はヒットガールと普通の女子高生との間の揺らぎが存在していて、前作の「まるで嗜虐的に悪人をどんどん殺しているように見えてドン引き」って部分が抑え気味になってますし。   一方のキックアスに関しては凡人と言うより常識人化していて、言動も、与えられたドラマもフツーで(『バットマン』か?『スパイダーマン』か?)つまんないキャラに磨きをかけているようで、キックアスという看板はそろそろ終了かなぁ、って感じがしないでもなく。   だけど「個人的には前作よりはマシ」なだけで、今回は傑作!とかいう訳ではなく(ゲロゲリ棒なんて小学生並みのネタを見て喜べる訳もなく)、クライマックスの乱闘の凡庸な感じも含めて(あれ、もっと犠牲者が出ないと全体の流れから言って不自然)、決して好きではないです。   まあ、「美しい映画」が見たいと思ったらそもそもこれは選ばないでしょうけど。美しい『キック・アス』が見たい、なんて言うのは絶対にあり得ないわがままなのかな。世の中には美しい血みどろ映画もあったりするんですが。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-23 21:25:10)
43.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
 子宮とか胎児とか(へその緒付き)生命の誕生とか、せっかくそういう事を得意気に書いてやろうと思ったのに、既に町山さんがパンフで書かれていてガッカリだ(笑)  なので違うアプローチ。   シリアスな物語であり、かつ短い上映時間の中に芸術性がきっちり折り込まれている映画なのですが(再生の物語をサンドラ姐さんが好演しております)、同時にアトラクション映画としても非常にポイントが高い作品になっています。   『宇宙戦争』でトライポッドの攻撃から車で逃げるシーンや『スター・ウォーズEP3』冒頭のコルサント上空の戦闘シーン、あるいは『クローバー・フィールド』の手持ちカメラが捉えた日常と非日常が完全に繋がったシーン、それらを更に超える映像的な高揚感がこの映画には溢れています。要は「それ一体どうなってるの?」ってすっごい長回しがあったりするわけで。   キュアロン監督の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でカメラが鏡の中の空間を出入りしたように、今作でもカメラは自在に動き回り、更に3Dと立体音響によってスクリーンと客席との隔たりを限りなく減らし観客を作品空間へと誘います。   91分間、座席にしがみついて目は画面に釘付け、それはもはや映画というカテゴリを超えてアトラクション感覚。実はお正月映画らしい見世物映画。   なので、なるべく大きなスクリーン、いい音響の劇場で見る事をお薦めします。いや、音響はいい悪いはともかく大ゲサなくらいウーファーぶいぶい言わせてるようなハコが好ましいです。そういう作りの映画なので。  「IMAXのいちばん前の席で見て正解!」(木場ですが。川崎のいちばん前はスクリーン近過ぎてお薦めできませぬ)みたいな、私のようなバカも大満足の逸品でございました。
[映画館(字幕)] 10点(2013-12-13 22:00:22)(良:2票)
44.  悪の法則 《ネタバレ》 
 その「黒幕」が統べるように「七つの大罪」の一つ一つをまとったような存在として頂点に君臨し、それはまるで悪魔の具象化とも言えます。その影響や誘惑を受けた者がそれぞれに様々な形で罪を犯し、それが各々の破滅に繋がってゆく、そしてそれを予言するかのような象徴的なセリフの数々。そう考えるとこの映画、どうも宗教的な説教クサいシロモノって感じがします。   この世に悪魔ってモノが存在するのならば、それはやはり人の中から生まれるものですよ、発端はごく小さな選択であっても誤りは誤りであって、過程にいかなる分岐を持とうとも、到達する結果は最初の誤りが導くものですよ、自らの欲望は他者の欲望と決して調和する事なく果てなき諍いを生むのですよ、まあ、そんな映画。   作品世界はなんていうかハリウッド版『もう誰も愛さない』、あるいはセリフいっぱい版北野映画、もしくは残虐版テレンス・マリック映画みたいなもんで。  描かれる事自体はごくごく単純で特に難解ってわけではなくて、元々あまり物語のディティールなんかは伝えようとしていないように思います。   ひたすら鬱々とした展開が続くのですが、その魔性とか残虐性とかに何らかの抗い難い魅力があるのか?というとそうでもなくて、ただひたすらにグロテスクな生(或いは性)と死とがあるばかりで、それはリドリー・スコットって人のカラーなのでしょうかねぇ。『ハンニバル』や『ブラックホーク・ダウン』『プロメテウス』にも通じる、即物的描写が生み出す露悪趣味っぷりに辟易。主人公が受け取ったDVDの中身のように「見せない事で伝える残虐さ」もありはしますが、ならばそのスタイルを通しても良かったんじゃないかと。せっかく長々とセリフで説明しているのですから、それをわざわざ具体的に映像でトレースするのは悪趣味としか思えません。   大量の象徴的&説明的セリフに埋められる事によって逆に映画に生まれる隙間、その密度の無さを「独特の空気感」とか表現するよりは(元々そこまでのセンスを最近のリドリーが持っている気はしないんですよね)、なんか退屈なモン見たって言っちゃった方が私としては自分に正直かな。   見終わって「これからの人生、決して長くはないのだからなるべくならもうこういう映画は見たくないなぁ」としみじみ思わせてくれる作品ではありました。
[映画館(字幕)] 4点(2013-11-18 23:04:47)(良:1票)
45.  トランス(2013) 《ネタバレ》 
 ミステリーにした時点で「違うんでないか?」と。だってこの映画にはルールがないのですから。ルールがないとミステリーは成立しませんからね。   もちろん、この映画が楽しませようとしているのは謎解きのシチュエーションではなくて、それが現実か、それとも作られた記憶なのか、どこに真実が存在するのか、って部分なのですが、現実と催眠状態との区別を付けない、それが誰の催眠状態なのか判らない、そういうルール不在の映画であると判った時点でさーっと興味が無くなってしまいました。だってそうなるともうなんでもアリだもん。   あとはもう作品の雰囲気、空気にノレるか否か、みたいな状態になってしまって、私としてはもうノレませんよ、って。物語を二転三転させて種明かしの更に奥にある真実の、でも?みたいな描き方までしたところで、いやもういいから、どうせなんでもアリだから、って感じ。  突き詰めていっちゃうとどんどん嘘臭くなっちゃって、どれもこれも現実ではない、ってな事になっちゃいますし。  一定のルールの元で観客と対決してみせて欲しいんですけどねぇ。   エレベーター、鍵、ガラス窓とその内と外、そういう「意味ありますよー」って思わせぶりに散りばめられた要素、そこをじっくりと考察してみたいと思わせるだけの魅力が感じられませんでした。
[映画館(字幕)] 4点(2013-10-13 16:18:08)(良:1票)
46.  ワールド・ウォー Z 《ネタバレ》 
 絶望が全力で追いかけてくるって感じは良かったです。頼りになるはずの存在がどんどんと潰されていって、頼りない主人公が世界を救わざるを得なくなる、それはハラハラさせてくれる絶好のシチュエーション。  お金かかってる分、スペクタクルな要素もいっぱい見せてもらえて。  世界を救うための移動が点ばかりで、その点と点の間にあるハズのモノを見せてくれない事にちょっと不満を感じたりもしましたが。   ただ、これ自分にはゾンビものとしてよりも『コンテイジョン』や『感染列島』みたいなパンデミックものの系譜に映って、となると「患者」に対する配慮が足らなさ過ぎな感じがしてしまって。  ゾンビものにだってそうなってしまう事の悲劇がよく描かれるわけですが、ここのゾンビさん達はただ化け物になっちゃいました、で完結してて、状況に対する絶望感はあっても人間性を失ってしまった存在に対する絶望感みたいなのはスルーされちゃってて。それじゃいくら裏に人種や信仰の差別に対するメッセージを秘めているにしても(イスラエルのシーンなんてモロですし)、そこから人間性を排除しちゃったら無効なんじゃないの?って。   サービス精神旺盛な見せ場の連続と(クライマックスは建物の中で鬼ごっこでしたけど)、出ずっぱりブラピの俺様っぷりに、ちょっともう少し見えていていいハズの色々なものが隠れてしまってたかなぁ。
[映画館(字幕)] 6点(2013-09-05 21:16:49)(良:1票)
47.  ダイ・ハード/ラスト・デイ 《ネタバレ》 
【ネタバレ注意:鑑賞後にお読み頂いた方がいいと思います】   『1』から『4.0』まで全て先行上映で見ていて、今作も初日に(今回は先行が無かったので)勇んで見に行ったのですが・・・   ※もはやアレをジョン・マクレーンだと思う方が難しいです。一般の犠牲者を大量に出したって構わないって姿勢はただの凶悪なハゲおやじ。それ、ニューヨークが舞台でも同じようにできた?   ※これまでのシリーズが全て2時間超なのに今回はタイトな98分、単に見せ場の数が少なくなってスケール小さくなってますって状態なんですよね。話は『4.0』の前半45分くらいに『3』のラストくっつけたようなモノ。画面もシリーズ初のビスタサイズって事で縮んじゃったし。この程度で『ダイ・ハード』の看板ぶら下げちゃうのもねぇ。『小・ハード』とか『ダイ・ソフト』とかでいいんじゃない?   ※「親として間違ってた」ってセリフを立ち聞きする事でドラマが成立する、なんて考える脚本家がそもそも残念な存在なのかな。   ※クライマックスのオチの映像を予告編やテレビCMで流しちゃう配給会社は最低ですけど、そもそも見せ場がソレしかないような状態なのも事実なワケで・・・。   ※つーか、大きな二か所の見せ場がどちらも同じネタです、ってどんだけ芸無いの。ヘリ相手に落下。どちらも平面的な縦スクロールアクションでファミコンのゲームみたいですよ。『忍者くん』か? 『うる星やつら ラムのウェディングベル』か?   ※『1』の魅力って小物なの。色々な小道具・小ネタに通った血がドカーン!って一大事と対比されてスリルやサスペンスやドラマを生んでたの。靴とか、フォトスタンドとか、クマのぬいぐるみとか、クリスマス柄のテープとか、ロッカーに貼られたヌードグラビアとか、生垣の植物のトゲとか。  だけど『2』以降はそれを軽視しちゃって、そしてこの作品で行くとこまで行っちゃった、とにかく壊したり爆破したり殺したりすればそれでいいんでしょ?って。  いやそれならシュワでもスタローンでもラングレンでもヴァンダムでもセガールでもベレンジャーでもリーアム兄さんでもいいんだってばさ・・・
[映画館(字幕)] 4点(2013-02-17 00:05:59)(良:1票)
48.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 
 映画の、舞台との違いと言えば場面を瞬時に切り替えられる事にあって、革命前夜、キャラクター達の姿を次々と切り替え捉えてゆくフラッシュバックの高揚感などは映画独特のものであると思います。  でも、それ以上にこの映画が舞台との違いを意識させたのは「表情」。カメラが寄る事で視界いっぱいに表情を捉える事ができるのが映画。   この映画、最初に闇があって、そこに光を当ててゆく事で人物を浮かび上がらせるという映像の作り方をしています。その光は罪を持つ人にとって微かな光であり、希望が与えられる、神の祝福を得られる可能性が見えた時に、光はその明度を増します。  その光の前で苦悩し逡巡する人々。その迷いによる動きの揺らぎが光と影のコントラストを変化させ表情を作ってゆく、つまり、徹底的なアップの連続に意味を込めた映画だったと言えます。   神の祝福を受ける事でその顔が光に包まれる、ジャヴェールはその機会を得ていながら(ちゃんとジャヴェールにも光がもたらされようとしています)自らそれを拒み、その顔に影を落としたまま消えてゆくのです。  バルジャンもまた沢山の罪と苦悩を生き、彼の翻弄された生は顔に様々な陰影を落とす事になります。   ですが、大人になったコゼットはどうでしょう? 神の祝福を受けたかのように輝き、ラスト近くに至っては自ら発光しているかの如き輝きで周囲までも照らしているのです。  失意の中にあったマリユスを照らし、最後には彼女の光に照らされ輝くバルジャンとファンティーヌ。それは救済された者の顔であった訳です。   個人的にはラッセル・クロウの声はどうかと思いましたが、総じて表情と、そこから絞り出される歌声が強く印象に残る作品でした。   映画は光と影と音が紡ぐもの。であるならば光と影、そして声をその主題に置いたこの映画は大変に映画的であると言えないでしょうか?
[映画館(字幕)] 8点(2013-01-05 15:26:04)(良:2票)
49.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
震災によって日常が簡単に崩れてしまう事を実感し、原発事故によって放射性物質に怯え、国に国民を安心させる能力が無く政治が国民を欺いているようで信用できない、何を頼り、何を信じて生きていけばいいのか見えてこない、そんな今の日本人の心に合っているような内容の映画でした。正義の味方とは何ぞや?と問うた時の1つの答えが描かれます。法の番人でただ人々を救ってくれるだけの便利な存在に限定されるのではなく、人々の正しさを求める意志を喚起させるもの。無関心でいる事、自分だけのために生きる事から脱却し社会形成への参加を示唆する、そんな奥深さを持った作品でした。もっとも、映画そのものはやや歪な感じが。これまでノーラン作品ってクドくて途中で飽きちゃって仕方なかったのですが、今回は2時間44分しっかり楽しめました。でも、その長さを以ってしても大急ぎのダイジェスト状態。切り過ぎのせいかカットが繋がらずに1シーン内で時間が飛んでしまっている箇所が散見され、登場人物は生身の人々まで含めて神出鬼没、一方で他のエピソードが流れている間、殆ど動かなかったと見受けられるキャラ続出。詰め込み過ぎですね。重層的に描く事で(それは反芻される空と地上と地下のモチーフにも象徴されます)世界の成り立ちを表しているのだと思いますが、層の一つ一つは扱いが軽く薄べったくなってしまった感もあって。アクションをいっぱい盛り込んだ娯楽映画にこれだけの要素を織り込んでいるのですから上手い作品ではあるのですが。蛇足ですがこの映画で初めてアン・ハサウェイをイイと思いました。まあ「ああいうキャラなら誰でも手放しで喜んじゃうクセに」って言われたら反論できませんが。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-27 22:01:19)
50.  アタック・ザ・ブロック 《ネタバレ》 
エドガー・ライト、ニック・フロストというキーワードで期待を抱いたのですが、なんだか思っていたものと全然違った感じで。「不良少年グループVSエイリアン」っていかにもバカバカしく楽しませてくれそうな題材が、何故かかなりマジな映画になっていて。となるとひっかかってしまう箇所が続出。何しろ冒頭で女性をナイフで脅して金品を巻き上げる少年路上強盗グループ、そいつらが主役な訳ですから感情移入なんて生まれようもありません。この連中が笑わせてくれる訳でもなく、さりとてドラマらしいドラマを見せてくれるでもなく、ただ彼らが住む団地を舞台にエイリアンと戦い、メンバーの何人かが犠牲になり、って、ありがちな低予算B級モンスターパニック映画として流れてゆく感じで。ストリートギャングものとしての側面が強く、低所得者のコミュニティ状態な団地に暮らす子供達が、生活環境の影響でまだ幼いうちから社会からはみ出してゆく姿が描かれる点がこの映画独自の個性。でも、そこに入り込むエイリアンが何らかの象徴として映画に正しいメッセージを刻みつけているのかというと甚だ疑問で。まるでエイリアンは抗争の中の一勢力みたい。主人公は捨身の行動によってエイリアンを退治する訳ですが、その彼を英雄として讃えるラストシーンに感じる違和感、彼は自らの行為に対する落とし前を付けただけで、称賛に値するだけの事をしたのだろうか?と。悪に手を染めた少年を最終的に肯定するところにまで持ってゆくだけの説得力は無かったように感じます。そういう背景を持った物語であるならば、もう少し痛みを感じられる映画であった方が良かったと思うんですけどねぇ。でなきゃ意外なシリアスさの中で死んでいった仲間達も浮かばれないでしょ。
[映画館(字幕)] 5点(2012-07-10 23:02:15)(良:1票)
51.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》 
なんだか期待していたのと随分違う感じ。23年の間、7月15日一日だけの出来事を切り取るという手法が何か映画的に面白い結果を生み出すのだろうと思っていたら、別に普通に物語が断片としてほぼ時系列通りに流れてゆくばかり。しかもその物語もステキなラブストーリーという訳ではなく、自分のキモチを押し殺しているようでいて、その実、欲とエゴを剥き出しにしている男と女の物語、みたいな。後半、ああいう展開になるとは思ってもみませんでしたが、最後の数年の悲しい展開、そこから総括されてゆくモノが映画全体を受け止めきれていないような気がして、何やら重たさばかりが残ってしまって。突然断ち切られたところからも映画はあくまで断片で描かれてゆくので、そこからの再生、その生きた証しがきっちり刻まれてゆく感じがもっともっと欲しくて。アメリカ産ながら全編ヨーロッパの映画らしい色調と画風がステキな映画ではありますが、物語の方もヨーロッパ的な「そんなにうまくいくものではないですよ」っていう痛みの強い感じがちょっとツラい映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2012-06-25 06:57:28)
52.  スノーホワイト(2012) 《ネタバレ》 
最初から期待値下げまくって見たらワリと楽しめました。って言っても素直に見るって姿勢には欠けまくってましたが。白雪姫、塔に幽閉されててクラリス(『カリオストロの城』)みたいだな、と思ってるそばから動物戯れ系でナウシカ?みたいになって次にサン(『もののけ姫』)かよ!シシ神様かよ!みたいな状態で。ジブリ臭いわぁ、んでも映像的には全編ほぼ灰色で『ロード・オブ・ザ・リング』風で、あと『ネバーエンディングストーリー』の悲しみの沼の展開そっくりとか『ハリー・ポッター』のディメンター風とか、で最後の方は『アリス・イン・ワンダーランド』のアリスね、みたいな。既存ファンタジーのイメージ寄せ集めって感じではあります。前世紀末に作られた『スノーホワイト』では色々とドラマを抱えたシガニー・ウィーバーに感情移入して悲しい話だなぁって感じになっちゃいましたが、今回のシャーリーズ・セロンには特に感情移入できる程のドラマも無く、ただキレイなだけのフツーの悪い人って感じで。でも、何より失敗したのは、途中で「クリステン・スチュワートってジェットジャガーに似てない?」って思っちゃった事で。もう以降はジェットジャガーが頭にこびり付いて「頑張れジェットジャガー、負けるなジェットジャガー!」みたいな感じになっちゃって。んでも、だからこそ楽しめたんじゃないかと思ったりもして。大体、甲冑身に着けて戦う白雪姫なんて、ネタとしてしか見られんわさ。アリス、白雪姫と甲冑着させたハリウッド、次はシンデレラかドロシーでも武装させますか?
[映画館(字幕)] 6点(2012-06-21 21:10:15)(笑:3票)
53.  ヒューゴの不思議な発明
物語やエピソードは必ずしもちゃんとした流れが作られておらず、例えば公安官から逃げて窓の外にぶら下がるシーンではハロルド・ロイドへのオマージュ以外の、物語的に次に繋がる有機的な展開を与えるような事がなかったりして、話としての弱さを感じたりもするのですが、この映画全体こそが仕掛けられた装置なのでは、と思います。これは「ハードウェアとしての映画」についての映画。人の手によって動かされ、与えられた役割を果たすオモチャや人形のゼンマイ、時計の歯車、汽車の車輪、そしてカメラと映写機のクランク。回転する装置よって紡ぎ出されてゆく世界。あの人形に象徴されるように、物体が人の想いを得る事で心を持つ。映画がただ作品=ソフトウェアとしてのみで完結している視点からは決して生まれ得ない、ちょっとフェティッシュな作品であると思います。この映画がプロの人々が選ぶアカデミー賞で作品賞にノミネートされた理由が判る気がします。観客は与えられたソフトウェアとしての作品に触れているのですが、撮影現場ではハードウェアに生命を吹き込んで初めて映画が動き出すのですから。アタマだけ、感覚や理屈や理論だけで映画が撮れる訳じゃないですもんね。物理的作用の賜物。特殊音響装置であるセンサラウンドがきっかけで映画を好きになった私なので、3DやCGというメリエスの精神の延長線上に存在しているギミックを駆使し、見世物装置としての視点から映画を捉えたこの作品には、とても心躍り、動かされるものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:20:13)(良:1票)
54.  マリリン 7日間の恋 《ネタバレ》 
表面をサラリサラリとなぞるだけのもどかしい映画。ローレンス・オリビエを演じるケネス・ブラナーはなかなか人間クサい面白い存在感を見せておりますが、主人公となるコリンがいけません。終始ニヤけているばかり、ただ下半身で思考するバカって感じで、ラストに至り、成長した?どこが?みたいな(成長をわざわざセリフにしちゃうあたりが、なんつーかもう・・・)。この映画、結局は『カイロの紫のバラ』の実在版みたいなモンなのですが、決定的な弱点が、その主人公の品性と、そしてマリリン・モンローという存在の捉え方。ミシェル・ウィリアムズはマリリンを好演しております。スクリーンに映る彼女はマリリンに見えない事もないです。でも、ノーマ・ジーンではないです。ノーマ・ジーンとしての彼女を捉えなければならないであろう幾つものエピソードが、まるで生の存在感を見せようとはせずに逃げ続けているような感じ。人としての存在感は既知の表面的なエピソードばかりで回避され、カメラのフレームの外側の描写であっても、ただ持ち前の性格で男を手玉に取るだけのシンボライズされたマリリン・モンローでしかない状態。そここそをドラマとして描いて見せて欲しかったのですが。登場人物それぞれが、映画製作の背後に存在する虚と実のギャップに悩むハナシであるのに、この映画そのものが虚の部分ばかりで実に迫れていないって、どんな冗談なのよ?という感じではありました。つーか、ラストの酒宿のシーンでカタルシスを与えようってな了見であるならば、所詮マリリンを捉える視点ってその程度だったのかっていう、こりゃまた随分と安い、意識の低い映画ですなぁ。ノーマ・ジーンを描き分けられてこそ、マリリンである事の意味というのが浮き上がってくる訳ですからねぇ。
[映画館(字幕)] 4点(2012-03-29 23:26:55)(良:2票)
55.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
昔から変わらぬフィンチャー映画の、タイトル部分はカッコ良く(しかし撮ってるのは今回もフィンチャーとは別の存在だ)、本編はちょっとクドくて、テンポ良い編集なワリに展開は鈍重ってパターンを踏襲してはおります。もうちょっとシャープに切れないかね? 長いよ。冒頭からしばらくはシンドいシンドい。事件に関わる人の名前をだーっと羅列して、ミステリーなんだからここで人物関係を覚えましょう、って状態に辟易。しかも実は大してその人物関係が重要じゃないんだ、これが。別にここをちゃんと覚えておく必要はなかったりするんです。だけど映画が進むに従って、どんどん面白くなってゆくという。並行して描かれるミカエルとリスベットのエピソードが、一体どこでどういう形で交わっていくのか、まるで見当も付かない状態から、どんどんと相互が有機的に作用してゆくようになる状態にワクワク(一方でミステリーとしては別に何か新しいトリックがある訳でもなく、ちっとも面白くなかったりするのですが)。ゆえにラストでリスベットがそれまで殺していた人間的な側面を見せる切なさが迫ってきます。リスベットはしたたかに生き、レイプすらも予測して計画を練る訳ですが、じゃあ、あれに対してリスベットが痛みを抱いていなかった、作戦にまんまと引っかかった事への成功を喜べたのか、と言えば、決してそうじゃない事は、あの夜、リスベットが一人帰路につく後姿に悲しいくらいにこびりついている訳で。ただ、そういうリスベットの痛みにもう少しだけちゃんと寄れなかったかな、っていう感じはします。最後まで見て、事件の真相部分も含めて、やっぱり『男が作った映画』ってニオイが漂っている感じで。素材に対して大切に描いているつもりで無神経な扱いをしてしまっている感が無きにしもあらず。その部分をあまりにあからさまに扱ってしまっていて、さりとてセカンドレイプについて言及している映画って訳ではないですからねぇ。娯楽映画という名の様式が、その部分の問題を逆に浮き彫りにしてしまった感もあって、見終わって面白かったけれど、でもちょっと心にひっかかってしまう、って映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-26 21:15:34)(良:3票)
56.  マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙 《ネタバレ》 
ちょっと肩すかしではありました。認知症を患った状態で回想されてゆくマーガレット・サッチャーの記憶という表現スタイルは、めぼしいところを見繕って抓むかのように断片化され、見応えのあるエピソードをずっしりと味わわせようとはしてくれません。少女が政治に目覚めてゆく過程も、一介の議員が首相にまで登り詰めてゆく過程も幾つかの短いエピソードに集約され、省略されてしまうので、全体的に物足らなさが残ります。彼女がオックスフォード大学に受かった事を喜ぶ父と、拒絶するかのような態度を取る母、彼女の家庭の状況、立場をあれだけで表現するのは上手いというよりは、もう少し突っ込んだドラマを見せてよ、って感じで。ですが、メリルの演技によって、イギリスの歴史に名を残す女性首相の存在感に関しては「もの凄い」レベルで伝わってきます。メリルの演技は『ジュリー&ジュリア』の時のように、ある意味、役を楽しんで作っているんじゃないか?って感じもありますが(あの発声っぷりはいかにも彼女の「芸」ですよね)、妻であり母であり首相であったマーガレット・サッチャーという人物の生が流れ込むように伝わってきて、見ている間、何度もメリルとサッチャーの両方の顔を思い出さないと頭の中で区別がつかなくなってくるような感じで。一人の女性と一国の主との狭間でいかに自分であり続けられるのか、その辛さ、重さ、痛み、それは映画の力というよりはメリルの力によって説得力を伴って描出されていた感じがしました。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-18 15:47:59)(良:2票)
57.  宇宙人ポール 《ネタバレ》 
『スーパー8』よりも更にスピルバーグの血が濃い映画で、だけどアチラは昔の子供時代のノスタルジー、こちらは昔をひきずったまま大人になってる現在のイタい人のハナシ。冒頭のほんの数カットで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『ポルターガイスト』そして『未知との遭遇』!ってハマれる人間には間違いなくツボを押さえて来まくる映画です。この映画の情報を一切シャットアウトしていても、映画を見ていてポールがどこを目指しているのか(ワイオミングって言われたらねぇ)、黒幕の正体が誰なのか(この人しかいないでしょ?)はすぐに判ってしまって、その通りになる事に無上の喜びを得られるっていうのがとても幸せな事で。大量のレイア姫(しかもEP6のジャバに捉えられてる時の衣装!)や聖櫃が眠っている倉庫、クリンゴン語にオタク歓喜。だけど、それだけでいいんか?っていうのがこの映画でもあって。価値観が固まって停滞したところから先に進む事を示してみせるワケです。『けいおん!』に今更どハマリして、スタンプラリーで池袋から新宿そして渋谷に流れた末の映画館でこの映画を見てる自分の状態が、なんとも内容によくマッチしていて。まあ、だけどこの映画のメッセージは、それでいいから突き進め、って事だと理解するコトにしました。はい。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-18 23:37:51)
58.  アーサー・クリスマスの大冒険 《ネタバレ》 
前半の、クリスマスプレゼントを世界中の子供達に届ける、そのクリスマスカラーに溢れたアクションとスペクタクルの世界はワクワクしてとても楽しめました。だけど、たった一人、プレゼントを渡し損なった子供のために、主人公アーサーとおじいさん、一人のエルフが制限時間内にプレゼントを届けるという冒険物語になってから、なんかどんどんテンションが下がってしまい。出発時の旧型のソリに乗ってのワクワクは、おじいさんの迷惑っぷりを原因とする物語の空回りの繰り返しによってどんどんと冷めてしまい、後半は退屈し始める始末。あれ、せめておじいさん原因は1つ2つに止めておいて、もっと他の新たな難関が、ってカタチにすれば良かったのにね。孤島に墜落して物語が落ち込んでからの逆転展開もあまり盛り上がりになってない感じ(あの、周回軌道を描くソリを捉まえるって部分に説得力のある流れがないような)。四散したトナカイの回収は本編中でしてくれないと気になっちゃって仕方なかったですし。結局、サンタクロース一家の、一家族の物語として閉じている、そこに今一つ魅力が足りない気がしました。主人公と父母、お爺さん、兄。この限られたドラマを語る人々にあんまり魅かれる事がありませんでした。もう少し面白味のあるキャラが居て良かったと思うんですけどね。あと一人、家族が居るだけで良かったんじゃないかな。つーか、ヒロイン不在映画なワケで、それだけでなんかね・・・
[映画館(吹替)] 6点(2011-12-04 20:17:21)
59.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 《ネタバレ》 
前日に『タンタンの冒険』を試写で見ていなければ、もう少しだけ楽しめたんじゃないか、って気もします。物語的には結構退屈で(ワリと初期に目的が明示される事で映画全体がどの程度のハナシになりますよ、っていうのが説明されちゃうという)、だからポイントになるのはキャラの面白さやアクションシーンって事になるのですが、キャラ的にはみんな中途半端。ミラはステキですけど途中でいなくなっちゃいますし、オーリーも活躍しないままいなくなっちゃいます。さりとて三銃士+ダルタニアンが個性を発揮してくれるかと言うと、なんだか悪役やら王と王妃の方に興味引っ張られちゃってイマイチ目立ちません、って状態で。アクションシーンなんかは頑張ってる方ではあるのですが、旧来型のアクション映像だねぇ・・・って。せめて『タンタン』との間に別ジャンル一本挟んでおくべきでした。映像的にはイラストやCGと実写とがスムースに入れ替わってゆく部分が面白かったのですが、どうせならばあのセンスで全編通しちゃえばいいのに、って思いました。あくまでそういう個性的な映像はちょびっとだけなんですよね。でも、そんな中で王妃役のコがなんか良かったです。美人じゃないのにミラよりヒロインより魅力的かも、みたいな感じで彼女がずっと映ってたらもっと楽しかったのになぁ、なんて思ったりもしました、が、それじゃ別の映画だ。
[映画館(字幕)] 5点(2011-11-13 17:18:56)
60.  エイリアン 《ネタバレ》 
ジョーンズかわいいわぁ。スクリーンで見るのは今回が初めて。『2』以降は全て公開時に見てるのですが。って言うか、これだけは、ちゃんとしたものを見る事自体が初めて。ビデオやDVDでも見てなくて、テレビ放映のカットされたバージョンを何度か、って。戸田恵子の声で「おふくろさん!」ってヤツ。テレビで見ただけの状態では、ただのSFホラーって印象が強かったのですが、こうしてスクリーンで見ると、美術の素晴らしさに目を見張ります。さすがにコンピュータやディスプレイ周りのセットには時代を感じるものの(ブラウン管に出力された映像関係は特に)、エイリアンを始め、宇宙船、工場のようなノストロモ号内部、巨大なエイリアンの化石、宇宙服等々、画面の隅々まで意匠を埋め尽くしているような感じでホレボレします。『2』以降も美術的には凝って魅力的なカラーを見せていますが、『1』は別格。なんで宇宙船の中があんなにも蒸気だらけ?って思いはしますけど、そういうものだ、っていう確固たる主義の元にデザインされている感じ。リプリーの言動が実のところアッシュ以上に不可解だったり(3人になった時点で残りの2人と何故わざわざ別行動するかねぇ?)して、人のドラマの部分はそんなには印象に残らないのが難点ではありますが。ジョーンズ探しを繰り返すのもねぇ。リプリーにとっては2人よりもジョーンズの方が大切でした、ってのはネコ飼いとしては判らんでもないですけど。エンディングに流れるジェリー・ゴールドスミスの美しいメロディも印象的でした。
[映画館(字幕)] 7点(2011-10-02 14:32:12)(良:1票)
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