2081. 死に花
《ネタバレ》 人も羨む悠々自適の毎日を送る老人が咲かせようとした死に花。優雅な悪巧みの成功譚は突っ込みどころ満載ですが名優達が醸し出す人柄にそれほど目くじらをたてることもなく。一方で目に焼き付いて離れないのが遠山貞子が咲かせた大輪の死に花。空前絶後の衝撃的なショット。生きていく張り合いや喜びについて考えさせられました。 [DVD(邦画)] 7点(2012-05-25 18:34:54) |
2082. ル・アーヴルの靴みがき
《ネタバレ》 密入国者の少年を助けようと奮闘するマルセル。考えると義は密告者にあるのですが、奥さん、ベトナム人、パン屋さん、八百屋さん、パブの主人、犬のライカといった損得抜きの思いやりに満ちた面々との関わり合いを見ると、密告者の何とも寂しい姿が強烈な印象を残します。警視の胸中にも同じような寂しさがあったのかと想像します。結末はお伽噺のようでした。毎年季節が来れば桜は咲き、毎年二人で眺めるのでしょう。心地良いラストショットです。 [映画館(字幕)] 7点(2012-05-14 22:35:15) |
2083. アフリカの女王
全編殆ど二人芝居の冒険物語。向こう見ずで頑固ながらもふと気弱な一面を見せるロージー、彼女に呆れつつも知識と知恵と腕力でもって彼女を守るチャーリー。共に垢抜けないものの、その心模様が実に見応えがあり、男らしさ、女らしさを示してくれる姿に最後まで釘付け状態でした。敵方が貧弱なのが玉に瑕ですが、ラストは爽快感がありました。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-07 00:46:43) |
2084. 未完成交響楽(1933)
シューベルトの交響曲第7番が未完成に至る物語。エミー、カロリーネ、シューベルトの心模様と三者のどうにもならない恋の成り行きが何とも切なく、セレナーデを始めとする楽曲がその思いを更に掻き立てます。ユーモアの洒脱なセンス、ハッとするショットの数々も印象深く、作品の完成度の高さに驚きます。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-07 00:30:20) |
2085. 幾つもの頭を持つ男
初見。リアルタイムで観られた方はさぞや驚いた事でしょう。他愛の無い映像に不快さはないものの面白味もありません。『っていうか映画っていいたくない作品』に抵触しますが、先人のチャレンジ精神に加点致します。 [インターネット(字幕)] 3点(2012-05-04 15:47:18) |
2086. マージン・コール
「誠実」「信頼」という言葉を知らない、金の為なら何でもする、面々の行動原理が明快でした。ただ、「大変(であろう)な危機」が思わせぶりで全然真に迫って来なくて、全く盛り上がれませんでした。お目当てのジェレミー・アイアンズの健在ぶりに加点。 [DVD(字幕)] 3点(2012-04-30 19:08:57) |
2087. 歩いても 歩いても
子供時分に沢山観たテレビドラマの様でした。子供が成人した身となった今、共感したり考えさせられたりすることが多々ありました。ただ、あまりにも起伏のない展開に映画にした意義に疑問を感じました。 [DVD(邦画)] 4点(2012-04-30 18:51:57)(良:1票) |
2088. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
パニックムービーの一級品。今観直してみてもその思いは変わりません。窮地にあって誰に付き従うか等生死を分けるものは神のみぞ知る紙一重である事を思い知らされます。その神様。苦しい時に頼るのではなく、どのような結果であっても感謝するのだと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-28 10:12:27) |
2089. インセプション
《ネタバレ》 意欲的なアイデア、小綺麗な映像、耳触りのよい音楽、立ち居振る舞いが小洒落ている登場人物を演ずる豪華俳優陣。それらが活かされていない脚本と編集のせいで面白くもなんともなく、ダラダラ長時間退屈さに耐えてグッタリした企画倒れの作品でした。ミッション(失笑もののショボさ)だけならまだしも、欲張ってくっつけた妻子の陳腐な話が頻繁にこれ見よがしに現れるのがどうにもこうにも不快でした。ハッピーな結末ですが、ミッションは成功ですか?父の愛情を知り更に発展させようとするんじゃないのですか??? 見てくれのみの作品にこんなツッコミは野暮ですか? [DVD(字幕)] 1点(2012-04-17 18:13:02) |
2090. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 初見。期待外れ。帰還兵、独りぼっち、荒んだ街。トラヴィスの心情を思わせぶりに描いていますが、単なる狂人。その無軌道ぶりは狂気がなせる業と多少は理解出来るものの、ラストでいけしゃあしゃあと運転手に戻っているのに唖然茫然。一瞬アレは彼の妄想だったのかと思いました。3名を惨殺した者を英雄扱いする新聞記事(大統領候補が殺されていたらどんな記事になっていたのか)と共に、狂気を描いた作り手のほうがよっぽど狂っていると感じました。 [DVD(字幕)] 2点(2012-04-15 20:09:27) |
2091. ぼくの美しい人だから
ノーラは卑下し、マックスは世間体を気にしている。歳の差や暮らしぶり以上に価値観の違いがそうさせているように見えました。肉欲以外に何処に惹かれあったのか(特にマックス)分かりません。起承転結すべてがぬるい話でした。野暮を承知で言わずにいられないのがラストシーン。勤務後にしなさい、そこは世間体を気にしなさい、そこは年上を自覚しなさい。 [DVD(字幕)] 4点(2012-04-15 01:09:00) |
2092. ひまわり(1970)
初見。女々しいアントニオと獰猛なジョバンニの悲恋を突き放した目で見てしまいますが、そんな彼女をもってしても堪えきれずに嗚咽してしまう姿はやはり切ないです。愛する者との再会叶わず力尽きた人々の魂の化身となったひまわりで覆い尽くされた光景に戦争の無情さを痛感します。当時困難を排してロケを敢行された事に千金の重みを感じます。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-08 11:56:50)(良:1票) |
2093. 切腹
《ネタバレ》 生き恥を晒す事を良しとしない侍、妻子の為に恥を忍ぶ侍、竹光で切腹を強要する情けを見せぬ侍、お家の体面第一に幕を引いた恥を知らない侍、主君に忠義を立てて切り死にした家臣達。それぞれの境遇での武士としての価値観が、見事な脚本、端正な映像、重厚な演技により浮き彫りにされます。半四郎の覚悟が那辺にあるかが明らかになるまでの息詰まる緊迫感、明らかになる瞬間の鬼気迫る姿は何度思い返しても痺れます。結末に、皆が絶対的な善にも悪にも断ぜられなく、詰まるところ「恥」が命のやり取りになってしまう武家社会そのものの功罪に考えが及ぶ作品でした。 [映画館(邦画)] 9点(2012-04-02 18:50:37) |
2094. バッド・ルーテナント
《ネタバレ》 腰痛持ちになったり、証拠保管室に左遷になったり、不条理を味わうも姑息に立ち回り続ける素行不良の警部補。それなのに都合良く窮地を脱し警部に昇進する不条理を見る者は味わわされます。ただ、悪徳でも同僚刑事の持つ陰湿さがないので嫌悪感がそれほど募りませんでした。度々登場する爬虫類のシュールな画は監督の面目躍如でしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-25 10:51:19) |
2095. 灼熱の魂
内戦での憎悪の連鎖が生み出す残虐なシーンが満載。更に、テロ行為の報いであっても、これ以上の出来事はこの世には無いと思うあまりにも残酷な真相に言葉がありません。宗派の対立が端を発しているならば神とは一体何なのかとの思いが募りました。ストーリー展開の巧みさが見事な作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2012-03-25 10:48:29)(良:1票) |
2096. 疑惑の影(1943)
叔父は何時本性を剥き出しにするのか、姪の命運は。そこそこハラハラさせられました。ヒッチコック作品であったと本サイトで知り、納得するやら物足りなさを感じるやら。 [DVD(字幕)] 5点(2012-03-25 10:37:26) |
2097. 三十四丁目の奇蹟(1947)
競争社会で生きる厳しき現実と、温もり、優しさ、思いやりと言った曖昧なもの。相反するものを本作は絶妙なさじ加減で折り合わせています。見事な脚本に心底唸らされました。私にとっての奇跡、二つを併せ持って毎日を送ることが出来れば・・・ [DVD(字幕)] 10点(2012-03-23 23:34:30) |
2098. 悪い奴ほどよく眠る
現実離れしていた西の素性がばれる瞬間を境に面白味がだんだんと薄れていきました。とりわけ無知でお人形さんのような奥さんに興を削がれました。悪を気取ったところで世間の仕組みには今も昔も勝てないという事を思い知らせてくれるタイトルが強烈です。一番興味深かった人物が、その世間の仕組みを体現していた岩淵。森雅之さんは何処に出ていたのかの答えを本サイトで知り仰天、役者魂に感嘆しております。 [DVD(邦画)] 6点(2012-03-20 09:34:56) |
2099. スーパーサイズ・ミー
その極端さに笑える部分は「黄金伝説」を観ている様でした。企業努力がやり玉に挙げられていますが、子供の頃に習った「公害」とは違い、自らの意志が通用するのです。「お手軽」さにかまけて食べ過ぎたり、子供に食べさせ過ぎたりしているのは自分自身でしょう。出来ない理由を並べ立てて、不都合な結果を他者のせいにするのに白けてしまいます。百万言を並べ立ててもやらなきゃ何も変わらないという監督の敢闘精神に敬意を表します。 [DVD(字幕)] 5点(2012-03-18 13:39:59) |
2100. ブルース・ブラザース
兄弟から何一つとして魅力を感じなかったので、自らのご立派な目的さえ果せれば「後は野となれ山となれ!」のご活躍ぶり、及び、質より量の演出、並びに似たようなシーンばかりの工夫のない拙い編集に白け返るばかりでした。音楽に造詣が無いせいなのか歌のシーンにも入り込めず。期待外れの徒労感に襲われる作品でした。唯一、クスリとさせられたネオナチ司令官殿に敬意を表して「超激しょぼ映画」から「メガトン級の面白なさ」に格上げとします。 [DVD(字幕)] 1点(2012-03-13 21:37:32)(良:1票) |