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戦略大作戦(1970年【米】)ガールズ&パンツァーのレビューを書き進めるために鑑賞したら、何ともマイフェイバリットな怪作だったという…ガルパンより点高くなっちゃったよ。
色んな方が色んな突込みを入れてらっしゃいますけど、まずアレでしょ。『戦略大作戦』という壮大すぎる題名。 コレって配給の宣伝部が「Dデイ以降の大陸戦でフランスの開放が遅々として進まなかったのに連合国が勝てたのには、こんな秘話があった!」的な惹句で広告戦略を考えたからじゃないですかね。ある意味、このタイトルでめっちゃ内容に合ってると思うし、見事なミス(?)リードぶりだと思います。 「戦略」と一口に言っても、現実の歴史が採った戦略はもっと残酷です。パリ解放を「戦略的」に遅らせようとして連合軍司令部が苦慮する(兵糧をパリ市民に配らなきゃなんなくなって補給線が維持できないからっていう…)事情をバックに描いたのが『パリは燃えているか?』ですよね。 んでまあ、次点で多かった「あの量の金塊をどうやってさばくんだ」的な突込みは製作者の期待するであろうところで、アメリカのホラ話にもよくある、広げた風呂敷をたたまないという突込み待ちエンディングじゃないかと。この、最後の最後で落語みたいな落とし方を持ってきたセンスがたまんなく好きです。 時期的にもアメリカン・ニューシネマの最中にあたる作品だし、一筋縄には行かないでしょう。いやこの映画がニューシネマの枠の中にあるっていうんじゃなくて、ニューシネマの場合は「俺たちゃやったことの制裁はキッチリ受け入れるぜ。だがてめえらに尻尾を振るのは断る」っていうドライさがあるわけですよ。この作品でやったら、ラストで黄金積んだまま地雷踏んでドッカーン…The END みたいな。そうはしないで、やりたい放題やり続けて日常へ戻るでもなく、どこかへ消えていってしまう。ニューシネマのアウトサイダーたちじゃなくて、もっと庶民的な、現場感ありまくりの観客と同レベルの目線の奴らが、走って走って、なんだかよく理解できない高みにまで駆け抜けていってしまう。その、ニューシネマたちとは真逆のアプローチが、ちゃんと昇華されたラスト10分がもう快感でした。 しかも、こんな「物欲」ベースのわかりやすい戦争映画なのに、作戦のもつれから来る増援・大部隊化や、損失の見切りの甘さから来る泥沼化や、部隊間の戦功争いや、そんなシリアスな戦争映画で扱われるようなエピソードがガンガン入り込んでくる。 非常にコンパクトにまとまった「戦争映画博物館」…というか、凝縮された作戦あるある光景、みたいな気もします。 ま、でも本命はやっぱオッドボール三等軍曹だよなあ。 彼が登場したとたんに世界のカラーが塗り替わるもんなあ。 あんな衝撃キャラだったとは思いませんでしたよ。 「橋は…あると思えばある」(戦争映画史に燦然と1ページを刻む大名言) かませ犬サザーランド(親)の面目躍如作品だったようです。 |
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