|
コードネーム U.N.C.L.E.(2015年【米・英】)面構えの話ですが、鋭角的なソロに丸いイリヤ。それって絵的にどうなのよ。
…っていう違和感というか不満が冒頭から炸裂し、まったく作品にのめり込めませんでした。残念。 角を立てず、何でも密やかにオシャレにスパイ稼業をこなしていく、《柔》のソロ。 超優秀で仕事は速く、べらぼうにタフだけど空気読まずに暴れまくる《剛》のイリヤ。 この対比でオリジナルの魅力が出来上がってて、そこにロバート・ボーンの顔とデヴィット・マッカラムの顔がかぶさって 0011 の世界が完成するわけで。 この対比のメリハリは新作では大幅にトーンダウンし、イリヤの性格付けに子供時代のトラウマまで持ち出す始末ですよ。 当時のスパイものに出るソビエトの特務機関員は、背景なんて語らなくてもみんな人心を殺した冷酷なロボットだっていう合意はできてると思うよ。 何でそこにメス入れてムダな潤色した上に、ご丁寧な心理描写まで入れてしまうんだか…。 イリヤの行動規範はソビエト仕込みの明快なモノで、個人の生い立ちなんて要素は入らない方がいい。絶対にいい。 対するソロはちょっとダメダメ感のあるのが持ち味なんだけど、割と完璧なダンディをこなしちゃってスキがない。 そもそもスーパーマン役のヘンリー・カヴィルを持ってきた時点で完璧感が漂いすぎ、「いやここはむしろベン・アフレックの出番じゃねーの?」とか思います。 西か東かってだけじゃなく、いろんなモノがキッパリと色分けされていた60年代。 その空気を思いっきり殺して柔和にして、重厚でスピード感あるけどカラーに欠けたアクションを挟んで、すべてが程よく調和のとれたエンターテインメントに仕上げられた結果、オリジナルに抱いていた凸凹コメディみたいな魅力が消え去っていました。「最近よくある出来のいいリメイク」以上の感想が出てきません。 これは、単独の映画としての評価じゃなくて、リメイク・原作つきゆえの評価だから不当とは思うけどね。 やはり、主役の二人の顔でガクンと評価を下げざるを得ませんでした。すまぬ。 |
|