9.人は樹海に入ると一人芝居をせずにはいられない・・・。というのはもちろんいちいち相手の受け答えをこちらに聞かせるために反芻しながら携帯電話で一人芝居をする池内博之と動かない死体を相方にしてコントを始める萩原聖人のこと。説明セリフというよりもこのあまりの露骨さは舞台劇を樹海でやってもらったと思ったほうが良いかもしれない。と良心的にとらえたとしてもしつこさは残る。物語は「自殺はダメ」ってことになるんだけど、説教臭くない。さりげない。メッセージ性は当然弱いんだけどいい話だったなあという余韻は残る。樹海の画も怖さもなければ死の臭いも感じない。だからといって生の源とも思わない。自然の驚異が描かれるわけでもない。ただの森。美しい森。ここが青木ヶ原ですよってだけ。ここはもったいないような気もするがそこに意味をつけちゃうと説教臭くなるのかもしれない。でもやっぱりもったいない。過去の挿入は抜群に上手かった。4つのエピソードが現代と過去を行き来するのに全く戸惑うこともなく物語を堪能できます。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-04-28 13:31:07) |
8.それぞれのエピ面白かったです。一言言いたいのは、田中さんイキロ! 【虎尾】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-10-02 15:32:44) |
7.自殺を取り巻く、状況・環境・事情・年齢・体調・天候・季節・等々を、考えれば考えるほど、自殺とは奥深い。個々のアイデンティティも無視して、とりあえず「自殺はアカン!」と、闇雲に言ってイイものか、と考える。そもそも、そんなメッセージがいよいよ届かなくなった所で自殺が成されるんだし、無駄なんじゃないかな?とさえ、正直思う。今年(2007)から自殺の報道規制も緩和されたりしたが、それによって自殺者が増えたんだか減ったんだかは、よくわからない。相変わらず「死ぬぐらいだったら」的な他人事の極みのようなコメントを、コメンテーターは恥ずかしげもなく嘯く。自殺を取り巻く包囲網は、どこか柔らかく、脆く、雑だ。そういう環境なんだと、私自身、どこか、諦めてる感じだ。 ………でも、やっぱり、自殺はしないでほしいんだと、言いたいのだ。私は。そして、恐らく、この作品も、そうなんだと、思う。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-30 00:49:38) |
6.確かに不思議な余韻があるいい作品だと思う。ただ映画にするほどではないかもしれません。映像はきれいでした。演技者の力量が高い事も成功の要因だと感じます。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-08-07 12:20:55) |
5. 所々味わい深い良いシーンがあります。それぞれの役者の力を引き出していたと思います。この監督の今後の作品に期待します。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-03 10:59:49) |
4.緩やかに繋がった四つの「ちょっと良い話」からなる、映画版「人間交差点」って感じ。それぞれ面白い物語でしたが、私が一番良かったのは塩見三省と津田寛治の話。年代も職業も違う全く接点の無かった二人の男が、自殺した見も知らぬ女をきっかけに出会い、たった一夜で絆を深めていく。互いの人生を語り、そして見知らぬ女の死を悼んでる内に、ごった返してた居酒屋も徐々に空き始め、追い立てられる様に店を後にする二人。私がこの席にいたとしても劇中の津田寛治同様、無理矢理にでももう一軒つき合って貰ったと思います。演者では池内博之の一人芝居が良かった。不自然な状況を説得力を持って自然に演じていたと思います。そして全体的にハイ・クォリティに作られてたのも好感度高いですね、7点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-10-04 00:03:36) |
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2.テーマがいいですね。「遠い世界に」もこの作品とマッチしている。樹海へ行く人の年齢幅をもっと広げてほしかった。 【Syuhei】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-05-14 17:09:52) |
1.古くから自殺の名所として知られる富士山麓の青木ヶ原樹海を舞台にした群像劇。4つのエピソードから成るオムニバス作品だが、それぞれのパーツが微妙に絡んでいる点が、人間の運命の不思議さをまず感じさせる。各エピソードが前後しながら描かれていく構成は巧みで、長尺でありながら些かもダレる事なく興味を繋いでいく点では、実に効果的である。テーマは人間の「生と死」を見つめたものだが、決して陰惨な物語ではなく、「死」と対峙して始めて「生」の意味を知るという、むしろ「人生賛歌」という肯定的な意味での「再生の物語」だと言える。「生」の象徴である富士山が「正」のイメージならば、その裾野に広がる樹海はさしずめ「負」のイメージということになろうか。しかしながらこの樹海こそが「生命の宿る源」なのであり、生い茂った木々に抱かれて、人々は生まれ変われるのである。そういう意味においても、樹海はこれ以上ない舞台設定だと言える。映画の中で実際に自殺してしまうのは一人の中年男だけだが、この「田中さん」を演じる田村泰二郎の“死にっぷり”は見事(?)で、自分が生きてきたという痕跡を残すことで、死してなお人に知って貰いたいといういじらしさと、死にたくて死ぬのではないという深い孤独と哀しみを感じさせる。生き延びた萩原聖人のセリフ、“田中さん、臭いがきつくなってきましたヨ”などと、夜を徹してのこの「死者との対話」はアブノーマルながら、むしろ人生のしみじみ感を溢れさせている。そしてそれ以上に感銘を受けたのが津田寛治と塩見三省の居酒屋での芝居。二人の何気ない会話には、庶民のささやかな生活感というものが滲み出て、今まさに生きているという実感が込められて描かれている。時間の経過と共に徐々に客が少なくなっていき、やがてガランとした店内風景の描写。 そしてひとつのアクセントとしての、ぞんざいな女店員との間の取り方の巧みさ。店を出た後、意気投合した二人が調子外れで「遠い世界に」を口ずさみながら夜の町へ消えていくまでの一連のシークエンスと、小さく折りたたんだ虎の子の壱万円札への思いを鑑みると、新たな人との出会いと一期一会の切なさに、胸に込み上げるものがある。東京タワーの置物、ピンクチラシ、携帯電話、お供え物といった小道具も実に意味深く、また瀧本智行は初監督としての気負いをまったく感じさせず、ベテランのような充実した仕事ぶりである。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-09-27 18:31:16) (良:1票) |