11.アレクサンダー・ペインらしいちょっとホロ苦さのある、苦味のあるコメディ。
決して軽い話ではないと思う。先立つ妻の浮気に、広大な土地をめぐる一族の様々な思惑。
それら重さのある要素をハワイの大らかさに実に旨く包み込ませています。
末っ子に母の運命を説明するシーン、土地の処遇についてマットが一族に説明するシーン。
重くなりがちな、話がややこしくなりがちなシーンも台詞を廃し、そっとさりげなく見せてしまいます。
偏屈な妻の父親が娘に別れを告げるシーンも良かった。マットと娘達(&姉のカレ)が病室の外からその様子を静かに見守る。
ハワイ音楽も巧く空気を和らげるのに一役買っています。
主要キャストが皆、それぞれに素晴らしい仕事をしています。
ジョージ・クルーニーはどんな役を演じても巧いなあと思う。いい円熟味も加わってきました。
長女を演じたシェイリーン・ウッドリーも好演。そして見逃せないのが彼女のカレの存在。
最初登場した時には、なんだこのアホな男は?と思ったけど、終盤までずっと家族と一緒にいる。
普通、フクザツな事情のある家族旅行にまでついて来るか?と思ったけど、
この男もコミカルな存在もまた、本作には欠かせない重要なピースとしてとても巧く機能していました。
奥の方でその様子を微笑みながら見ている。そんな感じでこのカレにも一緒にいて欲しかったとも思えましたが、
1つのソファーで、1枚のブランケットで3人がくるまってテレビを見る3人の姿に希望が感じられるラストでした。