1.先ず、京都アニメーションは21世紀になってから、数々の名作を配し、海外まで人気を轟かせた功績は大きい。
そんな会社に対して八つ当たりで行われた犯罪でこの映画に携わった多くのアニメータが亡くなった事は
残念で仕方がない。故に、ここに哀悼の意を示したい。
さて、だからと言って映画の評価は別物である。
原作を知らない、TV版を見ていない身としては、かなり素直に見られた気がしている。
分かりにくい所は多々あるが、内容的にはかなり面白いと思う。
但しシナリオは正直言えばシャマラン並みに複雑怪奇だ。
現代のある手紙から過去の話に遡って物語が始まるのはよくあるパターンだ。これ自体は悪くない。
でも物語に関連してくる話と、現代との結びつきは嘗て祖母が毎年誕生日にドールという郵便サービスから手紙を受け取っていたという事以外に関連性が無く、その意味で現代に生きる少女が全く狂言回しの役回りを演じきれていない。
それがどういう事になるかと言えば、物語の整合性を求めない事となり、結果的に少女の必要性を感じない結果になっている。また、話の盛り上げ方が良く分からない。ドールと呼ばれる仕事を請け負う女性を主人公にしている割に、ラストでの感動が無いのだ。これはその前に挟まれているエピソードがあまりにも悲劇且つ感動的である為、そちらに全てを持っていかれた感が強いと思う。これってシナリオが悪いのか、演出が悪いのか…まぁどっちもだと思うね。
内容自体は決して悪くないのだが、映画単体で考えると、少し首を捻らざるを得ない。