10.時々、ホラー映画なんかのあらすじを読んで、どうしてこんなネタで映画を一本作れるんだろう、と不思議に思うこと(だから要らぬ関心を持ってしまうこと)がありますけれども、本作もそういった種類の作品ですね。何しろ、洗濯したシーツをプレスする機械が、人間を襲うんだってさ。こんなネタで映画を一本撮ってしまおうという、勇気と厚かましさ。「地獄のデビルトラック」のスティーブン・キングが原作で、「悪魔の沼」のトビー・フーパーが監督。と聞けば、もはや付ける薬もないというか。
こういう作品を見てると、世の中ちょっとスティーブン・キングに甘すぎないかい?という疑問が湧いてくると同時に、世の中ちょっとトビー・フーパーに厳しすぎないかい?という疑問については引っ込めざるを得なくなる訳ですが、それはともかく。
プレス機が襲ってくる、というよりはコレ、劣悪な環境がもたらす労働災害なのであって、中には「これこそプロレタリアート映画だ!」というヒトもいるかもしれません。人々を威圧するような巨大プレス機と、日々、危険と隣り合わせの作業に従事させられている従業員たち。ただ、このプレス機、もっと非人間的に容赦なくガッチャンガッチャンやってくれると、「蟹工船」にでも何にでもなったかも知れませんが、実際に映画に登場するのは、いかにも時代がかったレトロっぽいプレス機。人間の尊厳自体を圧殺するような迫力は無くって、むしろ、どこか懐かしさを伴った不気味さ、なんですね。やっぱりあくまでこれはホラーです。
で、こんなネタで映画になるのかと言えば、洗濯工場のロバート・イングランド社長がやたら不気味だったり、なぜかドサクサに紛れて冷蔵庫まで人間を襲ったり、と、よくわからんながらもしっかりホラーやってて、10分もあれば充分かと思われたネタが、気がついたらそれなりに膨らんでて。
で、いよいよ、「プレス機が人間を襲う」という看板に偽りなしのクライマックスへと突入。
とにかく、製造業の経営者の皆さんは、本作を観て、自社工場の安全性についてもう一度確認されたし。