6.若き日の「ロバーツさん」と「オハラハン隊長」がチンピラ仲間として登場するのが見ものと言えば見もの。18年後にはダブル主演ということで、冒頭のクレジットも「左下」「右上」に配置されて同格扱い。その二人が本作では、片や主演、片や端役。
そのポール・ニューマンですが、本作ではどうも演技過剰で浮いている感じ。ロッキー・グラジアノ本人に取材した部分もあるのかも知れないけれど、とりあえず「しっかり演技しなきゃ」と、ハリキリ過ぎなんですかねえ。この人やっぱり、横にレッドフォードみたいなイモっぽい人を付けてあげると、ちょうどバランスが取れるのかも知れない。
ま、しかし、本作の主人公自体が相当に破天荒な人物ですから、浮いた演技が多少鼻につくところがあっても、一方でそれが、作品のユーモアにうまく結びつく瞬間もあったりする訳で。
で、そういうユーモアを、はたまた迫真のボクシングシーンを、時に意表を突く形で、カメラが巧みに切り取って見せてくれます。クライマックスの試合における、たまらない臨場感。
主人公の地元では皆ラジオにかじりついて応援している、ってな場面、さらにクライマックスを盛り上げていて、『ロッキー』でもこれを参考にしたんでしょうなあ。