2.アントニオーニの映画を見ていると人間の心の中に見え隠れする気だるさ、やるせなさの中にこそ人間本来の持っている愛情表現みたいなものが感じられる。同じこの監督の愛の不毛三部作全てに共通して言えるのは雰囲気作りが全て似ている。何とも乾いた空気、何とも気だるい雰囲気、モニカ・ヴィッティはいつも何かに対して怯えているように思えてならない。人間は常に死に対して怯えて生きている者なんだよとまるで言っているような感じと同じように男は女に女は男に対しこれまた何かに不安を感じ、常に不安定な生き物であると語っているようである。台詞の少なさ、何の説明もないままに終わってしまうのはこの監督の映画作りにおける一貫性なのかもしれない。とにかく観ていてもよく解らないのだが、その解らない中に観る者への問いかけ、自分達で考えようとでも言っているようである。それにしてもまたまたモニカ・ヴィッティの何とも言いようのないあの目付き、その中にある。隠れているような男を見る時の視線の奥にあるやるせなさ、不思議な魅力に私は作品そのものはまるっきり理解出来なかったけど、モニカ・ヴィッティの怪しげな魅力には完全にやられた。この女優、観れば観るほど益々、好きになっていく。