13.《ネタバレ》 「ビバリーヒルズ・コップ」(元々はスタローン主演作の予定であり、没になった脚本が本作に流用された)
「ダーティハリー」(本作の元ネタの一つであり、出演者も何人か共通している)
「フェア・ゲーム」(本作と同じく「逃げるアヒル」を原作としている)
といった具合に、様々な映画と縁がある一作。
でも、映画本編を観た限りでは、あんまりそんな感じがしないというか……
良くも悪くも個性が光る映画になってましたね。
例えば「主人公のコブラはダーティハリーを意識したキャラなんだよ」と言われても「えっ、そうなの?」と驚いちゃうくらい、ちゃんと独立したキャラになってると思いますし。
当時はイケてたかも知れないフラッシュバック演出などが、今観ると古臭くてダサく思えちゃう辺りも、何かそれはそれで「独特の味わい」になってる。
あと、自分としてはコブラに対し(銃を仕舞う仕草とか、気取り過ぎだろう)と、最初は共感を抱けなかったはずなのに、観終わった頃には、すっかり彼を好きになってたんですよね。
硬派でハードボイルドな主人公かと思いきや「やたら健康に拘る」「マッチ棒を咥えてるのも、気障というよりは禁煙の為にやってるだけ」「本名はマリオンで、女みたいな名前だと気にしている」といった具合に、次々と新情報が判明し、意外と愛嬌がある奴なんだって分かる形になってる。
それでいて序盤に描かれた「気取り過ぎな恰好良さ」も失われていないし、この辺りのバランスは本当に良かったですね。
犯人に対し「お前には黙秘権がある」と言った後「だから、そのまま黙って死ね」とばかりにトドメを刺しちゃう場面なんかは、素直に恰好良いなって思えますし。
冷蔵庫からピザを取り出し、鋏で切って食べるシーンなんかも、真似したくなるような魅力がありました。
敵が狂信的なカルト団体であり、陰鬱な作風なのかと思わせておいて、主人公もヒロインも相棒も全員生き残るという、能天気なハッピーエンドだったっていう落差も、何かこの映画を象徴してる気がしますね。
派手なカーチェイス有り、ニトロで加速する車というギミック有り、美女とのロマンスも有りで、贅沢な作りになってるのも良い。
意地悪な目線で観れば「あれこれ色んな要素を詰め込み過ぎて、破綻してる映画」「スタローンの魅力に頼り切りで、作劇による面白さなんて皆無の映画」って酷評する事も出来そうだし、自分としても、決して「出来の良い映画」とは思えないんですが……
それでもやっぱり、こういう映画が好き。
そして何より、スタローンが好きなんだなって事を再確認した一本でした。