3.《ネタバレ》 原作はリアルタイムで既読・・・っていうか、既読か未読か、そんな事は映画を観る上で、ほとんどどうでもいい事。
この作品を、どのような動機で映画館まで観に行ったのか?
それが、この作品を観た人の満足感を左右するだろう。
私は、監督のトラン・アン・ユンと撮影のリー・ピンビンが好きだから観に行った。
彼らのコンビが創り出す映像美は、『夏至』などで既に証明済み。
そのコンビが、かの世界的ベストセラー小説『ノルウェイの森』をどう料理するか?
あくまで主眼点は、トラン・アン・ユンとリー・ピンビンにあった。
それに対し、『ノルウェイの森』という孤高の小説が主眼点になっていると、観た後の違和感や不満足感は免れないだろう。
さて、肝心の映像だが、まずまずといったところだろうか。
ただし、草原に風が吹きすさぶシーンは実に素晴らしかった。
あの風が吹きすさぶシーンこそが、私にとっての最大のインパクト。
問題点は、妙に中途半端なラブシーンが、しつこい位に出てきたこと。
それも菊地凛子たちの観たくもないラブシーンばかり。
肝心の水原希子のラブシーンは無し。
水原希子の、あの細くて綺麗な脚を、もっと触って欲しかったのになぁ。
演技うんぬんは、元々、淡々として退廃的なムード漂う内容なのだから、まあいいんでしょう、あんなもんで。
ラストの、松山ケンイチがヨダレを風に吹き飛ばしながら、絶叫するシーンには息をのんだ。
それと、恐怖を煽る様な音楽とともにカメラが横移動して、菊地凛子の首吊りシーンを映す演出なんかも、なかなか良い。
トラン・アン・ユン監督を目当てで観た人でないと、問題作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』と同様、観る者を置き去りにしてしまうに違いない。