655.飛行機の中で観ました。
感想。眠くはならないです。それ以上のものはございません。
映画には、いくら「突っ込みどころ」があってもいいと思います。
それをもってあまりある魅力があれば。
又,製作陣が最初に提示した「約束の線」を自ら超えなければ。
しかし...
例えば、黒澤明、宮崎駿、武満徹,小沢征爾等のインタビュー/対談、スタッフの話、等をお読み下さい。
作る側の心構え,最低ラインというもののご参考になるでしょう。
「突っ込みどころ満載だが、魅力溢れる作品」の代表格として、「太陽を盗んだ男」を挙げたい。
特典DVDもご覧になれば更に「なるほど」と思われるでしょう。
勿論私にとって、そうした資料は「後付け」のもので、
彼らの作品はそんなことを知らなくても楽しめる、とてつもないパワーを持った作品です。
その源泉を知りたくて、その一部に触れて、「成る程!」というわけです。
この作品からはそうしたパワーが感じられない。
何に対してであれ,感動できる心は素晴らしい。
しかし、客が育たねば,映画の質はますます衰退します。
同時に、提供する側の心構えや「ここでOK」というラインが下がれば,作られるものの質も下がる。
そうした作品が全体に占める割合が上がれば、全体が薄まる。
客はその中で相対的な判断を行う。
そしてその中の作品や監督を「目標」にしてプロになる者。
そして彼らの「目標」は「目標」で「最低基準」でないために、さらに質が低下したりする。
料理同様,芸術にも「口に合う,合わない」という要素は存在する。
例えばベジタリアンであっても、近江牛というものは良質のものなのだ、と認める心は持ち合わせておきたい。
この映画がここまで絶賛されてしまうのは、私たち客側にも問題あるのでしょう。
トム・クルーズは現代の大スターであり、ハリウッドの中で最もパワフルな人物の一人です。
彼に「ここでOK」と思わせてはいけない。もう一押し,ふた押しさせるのは、観客の眼です。
「ここで大丈夫と思ったら、もう一押し。それが映画だよ」
と
その昔、黒澤明は言われたそうです。
このような現象は、音楽界、マンガ界においても非常に顕著なものですが。