8.《ネタバレ》 他レビューサイト等で本作のレビューを見てみると、ほとんどの人が「怖い」としか言っておらず、デ・ニーロのファンも他の映画のレビューは長く書いてあるのに、本作だけ文が短い。なぜだろう?と思っていたが、いざ観てみてわかった。
「怖い」
本当に、この一言に尽きる作品です。何が怖いって、ロバート・デ・ニーロ演じるマックスという異常者の狂気がその場の空気を埋め尽くしていて、ニック・ノルティ演じるサム、その妻のレイ、娘のダニエル…だれかが画面に登場すると、もう緊張感で空気がピリピリ。そして登場するマックス。狂気剥き出しで吠えまくるラストも凄かったですが、ロバート得意の妙なニヤけ顔連発で大して何もしない前半-中盤のほうが、怖かった。ロバートのニコニコ顔はあまり良い兆候ではない。そう思って観ていました。
そしてロバートが醸し出す映像面の恐怖をさらに盛り立ててくれるのが、バーナード・ハーマンの音楽。もう完全なる恐怖映画の音楽で、私はロバート主演のホラー映画でも観ているんじゃないかと思いました。すごく秀逸な音楽だけど、スコセッシ映画特有の雰囲気もしっかり出している。バーナードの履歴を読んでみると、『市民ケーン』『知りすぎていた男』『めまい』などなど、古き良き名作を多数担当していた事がわかった。そして本作の原作となる『恐怖の岬』も、担当していたようで、どーりで凄いわけだ。
でも一番凄いのは、この映画を撮影したマーティン・スコセッシ。原案・原作があったとはいえ、そのリメイクでここまでの映画を創れるのは、監督として一流だから。つい最近も、『ディパーテッド』で賞を獲ったそうで、これからも第一線で活躍していってくれることを切に願います。そしてまたマーティン×ロバートコンビが観られる事を、ファンとして期待する。
『ミッドナイト・ラン』や『ミート・ザ・ペアレンツ』など、明るいロバートばかりを観ている人にとっては相当ギャップが生じると思いますが、まさにアカデミー助演男優賞級の演技、是非観てもらいたいものです。
アクションもこなしていて、91年の映画なので今のロバートとは違いますが、彼の凄さを改めて思い知った。
オススメ!