12.《ネタバレ》 展開が早く緊張の連続でまったく飽きさせない、「三十九夜」のアメリカ版とも言うべきスパイ映画の傑作。
今見ても面白いヒッチコックの高いアクション性は見れば見るほどその面白さにハマる。
カッコイイOP、交差する線、ビルに映る車、人の群、バスに乗り損ねるヒッチコック、エレベーターから降りてくる人々、仕事の話、タクシーによる移動は「めまい」のジリジリとした追跡のスリルを思い出す。
5分を過ぎたところでケイリーを睨み付ける謎の男たちの登場、勘違い野郎ども、早回しによるスリルの倍増は「裏窓」のクライマックスから受け継がれる、当然ドアは開かない、謎の屋敷、見張り、身に覚えのない「罪状」が襲い掛かる恐怖、油断したところに恐怖が襲い掛かるスリルがヒッチコック映画の魅力。
眠らされて起きたら車が猛スピードで走ってて死にかけるとか(スクリーン・プロセスによる見え見えの合成なのが残念)、ふと横を向いたら飛行機がつっこんで来て殺されかけるとか、勝手に殺人犯にされたり、スパイにされたり、列車で謎のワケあり美女に出会ったり行く先々でトラブルが待ち受ける。
暗闇、崖、波しぶき、うつろな眼で暗闇を走り続ける、追突事故、撮られてしまった写真、警察、殺し、スパイ、二重三重に追われる、寝台、サングラスはかけててもあまり効果がないので砕け散る。
何もない平地、通り過ぎる車、砂埃、画面に奔る緊張、いつ何処から何が来るのか解らない恐怖が不気味な唸り声をあげて襲い掛かる! 安全地帯を探して走る走る走る、頭を抱えてやり過ごさねばならない、もうもうと吐き出される煙、トラックのオッサン涙目、野次馬は男の逃走手段を路上に止めに来る。
暗闇に映るかすかな明かり、たった一人で乗り込む緊張、音、銃、像、登る、血、ハンカチ、マッチに託すメッセージ、影、思わぬ「鏡」、出来る家政婦、銃撃!
閉所の緊張から断崖におけるスリルへ、巨大な像の群、小さな閃光の揺らめき、叫び、踏みにじられる手、人の命、断崖から“旅立ち”への生還!
最後まで気が抜けなかったぜ。