2.《ネタバレ》 絶望的な状況と希望に溢れた関係が同じ空間内に存在しており、その相反する状況がとてもコミカルで口元がニヤニヤしてしまった。ルカの切迫した感情が、アバーハによって次第に解きほぐされ、癒され、そして家族がどうでも良くなっていく様が素敵だった。また、二人が愛し合う姿は生きることそのもののように見え、それは戦火が激しくなればなるほど二人の想いも燃えていき、活き活きと輝いていくように見えた。“死”と“生”は常に表裏一体で、その状態がまさに画面の中にしっかりと描かれていた。エミール・クストリッツァ監督の作品を観ていると、そのことを常に意識して作品を描いているように思えてくる。生きることが恋をすることで、恋をすることは生きること?なのかな?まぁ、それはさて置いても、ロバとルナが失恋で死にたいと思うのは、つまり生きる希望を見失ったからだと思った。アバーハの魅力には、脳天打ち抜かれたように頭がクラクラした。笑顔も顔をクシャクシャにして泣きながらルナの名を呼ぶ姿も、ルナの服を口に銜えて走る姿も、上目使いも、全部可愛い。それを観ただけで満たされ、癒される。動物たちのように、無邪気で無知で愛くるしく、純粋無垢で自由奔放で抱きしめたくなる。クストリッツァ監督の女性の趣味があまりにも素晴らしい!