11.《ネタバレ》 「予定調和を壊す空気・間」を堪能する映画。
1986年4月、今は無き有楽町スバル座での単館ロードショー。
中学3年生の自分が始めて一人でチケットを買い、劇場鑑賞したのがこの作品。
といってもちろんジャームッシュも主演ジョン・ルーリーも、(字幕の)戸田奈津子女史
だって知るわけない、単に親離れして、大人じみた背伸びをしたかっただけの事。
当時の世評としては「映画ファンには大好評、一般的には?」というのが通説。
そりゃあそう、80年代はまだ「脱力系ギャグ」という笑いは認知されてないから。
観客が想像するストーリーをことごとく外していく、ずっこけロードムービー。
ズレというか不調和を楽しむ映画として、私は彼の映画が好きだ。
気付いたら最新作「デッド・ドント・ダイ」までちゃんとスクリーンで追いかけている。
ヴィム・ヴェンダースやニコラス・レイ、そして小津安二郎を知ったのもこの映画だし、
音楽(スクリーミン・J・ホーキンスとかジョン・ルーリー、後にトム・ウェイツ)なんかも
彼から知った気がする。 彼の文化的教養に、自分影響されまくり。
そして齢50代になりつつある私、この度リバイバル上映(ヒューマントラストシネマ有楽町)
にて鑑賞。「この映画が人生最初の映画館(おひとりさま)体験で本当に良かった」、
心底思ったよ。
この映画はぜひ、スクリーンで見て欲しい。 特に若い映画ファンに。