1.《ネタバレ》 重いテーマと誠実なメッセージに射抜かれました。吃音症の教師の言葉は、数こそ少ないがひと言ひと言が重く響く力を持っている。ストーリーは中学のイジメ問題を中心に展開するが、学校の中に限られた話ではなく、もっと普遍的に意識されて然るべき問題の核心を突いていると思う。「反省」自体が持つ曖昧なニュアンスを反省文の枚数で計ることは、事象に形式的な決着を付けるための詭弁にすぎない。仕事上の事故などを「始末書」で決着させるのは仕方がないとしても、教育の場に相応しい方法論とは思えない。ではどうすれば良いのか? 教師は「責任を持て」と言った。これには、自分の目からも鱗が落ちた想いでした。大事なことは、忘れて終わらせることではなく、抱き続けること。それが事実の中身を反芻させ、傷付いた者の心情を汲むことにもなり、再発の抑止以上の意味をもたらすのでしょう。転校した生徒の机を教室に持ち込んだ一連の行動は、無骨ではあったけれど、教師と園部君の会話シーンで納得しました。この映画の良いところは、回答に絶対性を持たせていないことだと思います。ラストの反省文も全員が提出した訳ではない。学校側が書かせた5枚の反省文も否定している訳ではない。メッセージの受け取り方を観賞側に委ねている。だから尚更、考えさせられる。きっと肌に合わない人もいることでしょう。大人になっても悔やむことは起こります。若い頃に比べて、塞ぎ込む心を早めに戻す術も身に付けました。でも、悔やまれたことのエッセンスを抱きながら暮らして行きたいものだと、この映画を観て思いました。