1.面白すぎてウマ過ぎて、ここまで来ると何だか腹立ってくる(笑)、会心のSFミステリー。この時代の人々、自分自身は家で寝そべったまま、自分のコピーロボットを操り、実際の社会活動はこのコピーロボットが行っているという設定、これはもう、映画開始早々から、「あちゃ~、この映画、どうやらヤヤコシイことになりそうだぜ~」と、嬉しくかつ腹立たしくなってきます。勿論これは、ネット社会の匿名性を戯画化したものでもあるんだけれど、決してそれだけには収まらない。ヒネリの効いた設定が生み出す、錯綜する(といって訳がわからなくなる程は錯綜しない)ストーリー展開の妙味。またこの設定は、時にぶっ飛んだアクション、時にユーモラスなアクションをも生み出しますが、同時に、「老いの悲しみ」という普遍的なテーマもはらんでおります。いや実際、ブルース・ウィリスも、自分の老いをさらけ出し、結構、役者魂かけてこの主役やってますよね(そもそもアクション映画のヒーローでこんな弱っちいヤツ、初めて見ましたよ)。停止した奥さんのロボットの前で愕然とする彼の姿が印象的。そんでもってラストは、「何かが終わるとともに、別の何かが始まる」という素朴な感動、コレ、ちょっとホロリと来ました。ジョナサン・モストウ、このヒトやっぱり、某ヒット作の第3作とやらを撮るような人じゃなくって(アレはアレで結構いい仕事したとは思ってるんですけれども)、ほっといたら勝手にオモロイ仕事をしてくれるタイプの人だと思います(しかしこの映画を観てると逆に、モストウ版「ターミネーター4」ってのがもしあったら、ゼヒ観てみたくなる~)。