3.《ネタバレ》 親を選べない子どもにとって、幸せとは?親とは?法律とは?
ベン・アフレック監督作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」でも触れられたテーマ。
シリアスで重い内容を含んだ切ないドラマです。
しかし本作の素晴らしいところは、確かに話の内容は重いのですが、主役のドラッグクイーン、ルディのキャラクターが抜群にいい。
明るく人生を生きていける強さがある。彼のユーモアのある言動も巧く控え目に挿入されています。
その歌声、歌の歌詞と共にルディの生きザマに元気や勇気を貰ったような気もする。
冒頭でいきなりイケメンのエリート弁護士のカレ(ポール)をゲットするのも、そんなルディの人徳でもあるのでしょう。
ルディ、ポール、マルコ少年。3人の日々を追う手持ちカメラの不安定な映像は、3人の本当に幸せな日々が長くは続かないことを感じさせます。
しかし、ルディがマルコに添い寝して聞かせる「魔法使いの少年マルコのハッピーエンドのストーリー」。
これがあっただけに、最後はうまくハッピーエンドに持って行ってくれることを期待したのですが・・・。
後半の法廷劇の中でのルディとポールが熱く語る素晴らしい台詞の数々も、
こういう問題を何とか子ども本位で考えられないものなのかと問題提起を投げかけています。
いい映画だろうなと期待しての鑑賞でしたが、期待以上のいい映画でした。
ルディ、ポール、マルコの家族の姿と、そんな彼らを描く優しい作品の目線。
後半から終盤にかけては、館内の至る所から鼻をすする声が聞こえていました。