4.《ネタバレ》 この映画の製作当時は原水爆に対する不安があった(今もある)。
しかし黒澤明の訴える恐怖とは、原水爆よりも「核」そのものに対する恐怖である。
この老人の行動を「原発から逃げる」と置き換えれば、全く現代のドラマとして成立する。
「核」が止められないものであれば、根本的な不安を取り除くには、この老人のような極端な行動をとるしかない。こういうテーマで直接的な表現をせず、ドラマによって「核」の恐ろしさを訴える黒澤明の才能はやはり尋常ではない。
この映画の製作当時から半世紀たっても、この恐怖がさらに身近になっていることに、どうしようもない人間の愚かさを感じる。
今こそリメイクする価値があると思うのだが、各方面から絶対阻止されてしまうだろう。
しかし、今だから平成の「生きものの記録」を見たいと思う。