2.《ネタバレ》 伊丹万作の傑作喜劇調時代劇。
この映画は原田甲斐の「伊達騒動」、それに志賀直哉の小説を読んでからの方が楽しめるだろう。
冴えない下級武士の赤西蠣太。しかし実は陰謀の真相を探るべく送り込まれた密偵の一人だった。
世継ぎ騒動で揺れる仙台藩。その真相を暴くべく命懸けの日々・・・なーんてシリアスな空気を感じにくいコメディタッチのやり取り。
かといってドタバタしたものではなく、落語の名人が語るような洗練された流れ。
歌舞伎調のキャラ原田甲斐とブサイクな赤西蠣太を演じ分ける片岡千恵蔵の名演。
顔は悪くとも心は腸捻転を自力で治そうとするほどの肝っ玉。
「脱走」のアイデアや追っ手をけむに巻く手口など大胆不敵だ。
少ない時間だが若いサラリーマンのような武士を演じる志村喬の演技も忘れられない。
「時間がありません」もう結婚しろよおまえら・・・