1.《ネタバレ》 そうそう、クライマックスがホントに凄い。傘を渡された高橋英樹。この次のシーンから画面ががらりと変わる。夜の雨の中、傘と着物が光を当てられ眩しく輝き、「いざ行かん!」てなセリフが聞こえてきそうな颯爽とした走りが映される。舞台劇のような、歌舞伎のような、つまり現実的ではない見せるための走り。鳥肌が立った。色とりどりのの光を放つ襖を開けてゆき、アクリル板を使った真下から捉えた殺陣。清順美学炸裂!その怒涛のクライマックスまでもけっこう好き。伊藤弘子がここでも男を引き寄せる不思議な魅力を持つ女として登場しているが、その妹役の和泉雅子の明朗快活でお転婆で健康的な可愛さが抜群に良く、これが任侠ものであることを忘れるくらいに明るく楽しい空気で溢れさせる。刺青を背負う男もこんな娘に迫られたらたじたじである。そんな笑いも交えつつ描かれる朗らかな日々から一転する清順ワールド。この強引さがたまらん。